イーリス公爵家、長女のローザと次女のルナは顔も背格好もそっくりな年子。
舞踏会に初めて参加した夜。ルナは庭園でウィクトル王太子に出会い、魔法植物の話で大いに盛り上がった。
博識で心優しいウィクトル王太子とのひと時で、淡い恋心を抱いたルナ
。自分も社交界にデビューすれば、またお会いできるだろうかと思っていた翌日。父親とローザ、ルナの三人は王宮に呼び出された。
待っていたのは国王と王太子。
なんでも、イーリス公爵家の令嬢に話があるという。
「それにしても本当にそっくりだ。レディに失礼なことをたずねて申し訳ないんだけど、昨晩僕と魔法植物の話をしてくれたのはどちらかな?」
王太子にたずねられ、ルナは自分が名乗り忘れていたことを思い出した。
そのわずかな間に――
「それは私ですわ。昨晩は名乗りもせず申し訳ありませんでした」
素早く口を開いたローザを後で問い詰めるも、「ああ言えば王太子妃になれるんじゃないかと思って」と返され。その晩、王宮から帰ってきた父に「ローザを王太子殿下の婚約者に望まれた」と告げられてしまう。
ローザの思惑通りに事が進み、王宮へと移り住む姉を見送ったルナ。
侍女たちをさがらせ、人目を忍んで涙しているかと思いきや……
――うふふっ……ここまでは順調ですわ!
くつくつと笑うこの妹、悲壮感の欠片もない。
「ルナ! 私を騙していたのね⁉」
「いやだわお姉様ったら。ご自分そっくりの妹が何でも言う事を聞く子に育つなんて都合の良い話、あると思いまして?」
似たのは外見だけじゃない。
何でも欲しがる腹黒姉に、腹黒妹の復讐が始まる。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2025-02-16 02:48:02
389444文字
会話率:48%
そこには過去がいた。
大きな顎を開いて泣いている。
己れはそれいつまでも共にある
肉襦袢のように纏わり付いで着込んでいる。
そこには未来がいた。
綺麗な目をしてくつくつ笑っている。
己れはそれにいつまでも近づけない
誰が為に時
はある?
切望していつまでも渇け
絶望の上で微笑え
折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2017-06-30 01:39:00
915文字
会話率:0%
あたしは妙な夢をよく見る。
夢の中の私は綺麗で、清楚で、優しくて、身だしなみも良くて、料理も出来て、かっこいい勇者の彼氏もいて、国中の希望である聖女である。
…………なんじゃい、それは。こちとら髪はぼさぼさ、シワだらけの服を着て、料理も出来
ない、勿論彼氏なんかいない、そもそも人付き合いなんて大の苦手のコミュ症じゃい。
それでも現実のあたしは最強だ。絶対無敵の最強の人間じゃい。仲間なんていらないもん。イケメンの勇者といちゃいちゃしながら敵を倒すなんて、そんな必要さらさらない。1人で十分、十分なんじゃい。くそぅ、くそぅ、くそぅ。
さぁ行け、あたし。私と勇者がいちゃいちゃしているのを夢の中で見させられ、くつくつと歯ぎしりしながら、孤高の喪女が今日も行く!折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2017-01-03 19:00:00
26475文字
会話率:36%
今日の台所。
明日の朝ごはん。
寝ている間の夢。
くつくつ。
最終更新:2015-07-10 22:53:02
217文字
会話率:0%