香の記憶は、筆より深く、私を導いた――。
私は燈香《とうか》。
平安のような異世界に生きる、内大臣家の次女。十四の春。
けれど本当の私は、かつて現代で暮らしていた、ごく普通の主婦だった。
趣味は書道。言葉を綴り、墨の香に癒されながら、静
かでささやかな日々を過ごしていた。
そんな私が、ある日突然命を落とし、目を覚ました先は――
香と筆と身分制度に包まれた、華やかな貴族社会だった。
与えられた新しい名と立場。
姉の華怜《かれん》は帝の妃候補に、私は内大臣家の跡取り姫として、
政と文化のはざまで慎ましくも大切に育てられてきた。
都では“美しき姉妹”と囁かれ、
やがて姉妹は、宮廷の目に留まる。
東宮から遣わされた家庭教師。
筆と和歌に優れた蒼き衣の青年――蒼倉 硯清《そうくら せきせい》。
その姿を見た瞬間、私は心を震わせた。
どこか懐かしい佇まい。かすかな香と、筆の癖。
そう――彼は、前世で私がもっとも敬い、想いを通わせた“あの人”に、あまりにも似ていたのだ。
けれど、彼はこちらを知らぬ顔で。
まるで出会ったこともないかのように、淡く距離を保つ。
それでも彼の教える書や和歌は、香のように姉妹の心に染み入り、
姉・華怜の胸に、やさしい恋の色を灯してゆく。
私は、“前世の想い”と“いま芽生えた気持ち”のはざまで揺れながら、
また筆をとる。
そして――
都に漂う、不可解な香。
名もなき第一皇子の死。
かつて亡くなった東宮・悠蓮《ゆうれん》の影。
隠された血筋。消えた跡継ぎ。
香が運ぶ“記憶”と“想い”が、やがてひとつの真実に繋がっていく。
これは、香と筆が紡ぐ転生宮廷ロマンス。
恋と政、家と血と秘密が交差する、少女たちの静かで激しい群像の物語。
香に宿る恋。
筆に刻まれた記憶。
そして――もうひとつの未来。
白と銀の香るあの屋敷、白銀香殿《はくぎんこうでん》から始まった
これは、私の“書き継ぐ物語”です。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2025-06-02 04:51:12
50716文字
会話率:27%
戦船(いくさぶね)銀鉤(ぎんこう)。
日本の平凡な学生だった彼は、ある日突然異世界で目覚めた。
そして、二つの世界の命運を握ることになってしまう。
彼の決断は、如何に。
最終更新:2018-05-12 00:00:00
49961文字
会話率:35%
世界中に「迷宮」が広がった世界(現代)
そこに挑む冒険者たちの愛と勇気の物語…ではありません。
これはその冒険者たちの背後にいる人々と彼らのお仕事の物語。
ほら、貴方も覚えがありませんか?
古くはWizardryの酒場の呑んだくれ、新し
く言えばネトゲの倉庫キャラ。
彼らには、彼らの物語が、あるはずです。
(注)鬱展開が苦手な方にはオススメできません。
どこかが「壊れている」登場人物が多いです。
狂気じみた表現が行われる可能性があります。
ただし、プロローグはこの話の発端であり、ここだけなら
ネタ読み切りなのでそういった要素はありませんので安心してお読み下さい。
不定期ながら更新再開しました(2011.5.7)折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2011-05-07 11:27:27
24205文字
会話率:33%
ある日、主人公がぎんこうごうとうにであって・・・
キーワード:
最終更新:2006-04-21 23:32:58
1661文字
会話率:23%