これは、現代と酷似したパラレルワールドで起こった物語。ある日、突如として人類の前に現れた謎の存在「裁定者」は、性別も顔も持たない白く輝く人型の姿で、「退屈だ。人類をリセットして作り直そう」と宣言した。そして、リセットを回避する唯一の方法とし
て、全人類に「試練」を提示する。試練は、倫理観や価値観を揺さぶる過酷な選択を人類に迫るもので、最初の課題は、一つの村を救うための「グー(力)」「チョキ(切断)」「パー(受容)」という選択だった。
裁定者の試練は瞬く間に世界中で議論と混乱を巻き起こす。各国政府、宗教団体、そして一般市民の間で意見が分裂し、力を使うべきか、犠牲を許容すべきか、あるいは受け入れるべきかを巡って激しい対立が生じる。最終的に、多数派が選択したのは「グー(力)」だった。選択の結果、村は一時的に守られたものの、武力行使による新たな争いが周辺地域で勃発し、人々は「力の代償」に直面することになる。
一方、試練に疑問を抱く若い女性、夏美は、謎の猫「7(なな)」やカリスマ的存在「ガリコ」と出会い、裁定者に直接反抗するのではなく、別の方法で試練を乗り越えるための「善良な勢力」を形成し始める。その頃、裁定者に攻撃を仕掛けたアメリカ軍は、武器を無効化され、兵士たちは赤ちゃんに変えられるという衝撃的な報復を受ける。この出来事をきっかけに、各国は裁定者への直接攻撃を断念し、心理戦や知恵で対応する方法を模索し始める。
裁定者が試練を通じて描こうとする「人類の真の姿」とは何なのか。そして、パラレルワールドに生きる人々は、分裂と混乱の中で未来への希望を見出せるのか――人類と裁定者の心理的な攻防の幕が切って落とされる。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2024-12-16 23:07:03
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会話率:39%