昔から世界を裏側から支配してきたとされる魔術。様々な国、宗教によって組織化され、その魔術によって争い続けてきたとも言われている。
その魔術の源泉は遥か昔にあったとされる楽園「エデン」にあり、魔術を極めればその「エデン」に辿り着けるとされたた
めに魔術師は魔術を極めるために様々なことをして、それこそ抗争も行っていた。
その魔術師は身体のどこかに証である何かの形が産まれた時点で浮き上がってくることが確認され、その証がなければ魔術師としての才能は皆無だった。
イギリスの魔術組織に所属する主人公は、日本人とのハーフということもあって魔術に関してはズブの素人である中立国日本に派遣されることとなる。
その日本で、魔術的抗争は禁止されているのだが、何故か騒動に巻き込まれていく──。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2019-12-20 20:00:00
93890文字
会話率:57%
三日夜市水都町――
港湾部として船舶による物流が盛んに行われていた町、水都町。しかし、かつての工業地帯として活気は既に失せ、空き倉庫の増加、工場の撤退が続き、行政による開発の手も引いた今では〝捨てられた港街〟として、知られていた。
一
旦、都市近郊を離れれば、その薄暗い町の負の部分が浮き彫りとなるほどに、近隣住民はその港へ近づくことさえしなかった。
そして今、三日夜市は〝ある猟奇的異変〟に見舞われている。
謎の失血死体が連日のように発見されたのだ。遺体は全身から血を抜かれ、皮膚が象皮のように硬くなった状態で発見された。犠牲者の数は公にはされず、三日夜市は戒厳令を敷いたものの、住民への不安は解消されることなく、人々は「またミイラ死体が出たらしい」と、陰で囁き合っていた。
犯人は一体誰なのか――
そんな中、教会から命を受けて此処、三日夜市の私立桐園高校へ通う少女がいた。名は〝灰耶桐絵(はいやきりえ)〟――父をイギリス人、母を日本人とするハーフである。英名はキリエ=アイゼン・スタンフォード。青い瞳。母譲りの凛とした表情。大和撫子を彷彿とさせる立ち振る舞いには、見る人を魅了させるものがあった。
そして桐絵は魔術師でもあった。教会直属の暗殺集団〝魔女狩り(ヘクセンヤクト)〟の一員として、此処三日夜市へ派遣されたのである。
桐絵は教会配下のこの学校にて、学生として身を潜めながらも、昼夜問わず、三日夜市界隈を震撼とさせているこの猟奇事件の犯人の調査を続けていた。
『吸血鬼を、必ず見つけ出して殺す』こと――
それが、桐絵に課せられた使命の正体であった。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2018-09-16 15:35:47
44063文字
会話率:40%