大学院に進学するため北海道から上京、面影橋近くの貧乏アパートで一人暮らしを始めた文学オタク女子の「私」は、シェイクスピアと格闘するも学業に挫折し、どつぼにはまる。そんな「私」の気散じはひょんなことから仲良くなった、愉快な腐女子たちとの交流と
、面影橋でたまたま見かけた、足をひきずって歩くどこかミステリアスな青年――神田川や雑司ヶ谷近辺の季節の移ろいを背景に、「私」の鬱々としたぬかるみのような日常の「小さな不思議」をテーマにした作品です。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2024-05-25 21:00:00
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会話率:0%
夏の日。とある文芸雑誌の編集会社に務める夏橋 日景(なつはし ひかげ)は、いつも通り、面影橋行きの電車に乗るため、駅のホームで一人佇んでいた。
その間、淡々とした日常と、“何か”が欠けている自分のことを思い起こし、ついつい溜息を吐く。
と、そこへ、予定時間より少し早めに、一両の電車がホームへとやって来た。
いつも来る電車より、少し古めなそのデザインに、懐かしさと非日常を感じる日景。
そして、そこに書かれていた行き先は、「面影橋」の橋が掠れ、こう書かれていた。
――面影行き、と。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2016-06-29 16:52:07
10217文字
会話率:29%