変わる景色の中で、人はそれぞれの生き方を見つめる——。
東京ドームを埋め尽くす熱狂の中、ギタリスト・志摩九は頂点に立っていた。五度のツアーを成功させ、ファンやメディアの称賛を一身に浴びる。しかし、その栄光の渦の中で、九はふと胸の奥に巣食う
違和感を押し殺していた。なぜか、心が震えない。なぜか、この音が遠く感じる——。
ライブを終えた九は、群衆を避けるように電車へ乗り込む。気づけば終着駅。降り立ったのは、まるで昭和で時が止まったかのような静かな町。そこには、後期高齢者たちがゆっくりと暮らし、懐かしい商店街が広がっていた。九はその穏やかな空気の中で、今まで忘れていた心の安らぎを感じ始める。
ラーメン屋で食事をとり、ふと目に留まったのは古びた旅館。その静けさに吸い寄せられるように、九は扉を開いた——。
変わらない景色を求める者と、変わりゆく景色を追い求める者。九はどちらの道を選ぶのか。名声と成功の果てに、彼が見つける「本当に大切なもの」とは——。
折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2025-02-18 11:30:14
32538文字
会話率:25%
本州最北端――全国的に有名な恐山や大間がある、斧のような形をした青森県・下北半島で、
2017年に初めて開催された野外音楽フェス・まさかリズム。
開催にこぎつけるまでの舞台裏と、開催することによって周囲にもたらされた効果を、
実話を元にして
2つの視点から描いたフィクションの物語。
音楽に情熱を傾けながらも、地元では発表の場が少ないことに悩むカメラマン・卓真。
東京から引っ越してきて、まだ『地方』に馴染めないでいる女子高生・未沙。
ふたりの夢が、まさかリズムで交差する――。
※一部実名は許可を得たうえで使用させていただいております。
※この作品は「カクヨム」にも掲載しています。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2018-11-27 00:26:10
89460文字
会話率:31%