蓮の話をひとつ。ふたつ。ばかり……。
都に住むやんごとない身分の男は、仲間内では池見草(いけみくさ)と呼ばれていた。桃色のその花をたいそう愛していたからだ。
最終更新:2020-07-09 17:57:28
4940文字
会話率:16%
蓮池の畔をお釈迦様が歩いておられました。ちろちろろ、ちろちろろとお釈迦様の御身の周りには、細かな五色の光が、生まれて弾けて消えています。
極楽蜻蛉がふうわりふうわりと、湖面をすれすれに、水を揺らして飛んでおります。時折、空に留まり、尾をま
あるく曲げ、つんつん、つくつくと水を突いておりました。
岸辺にて男が独り。四つん這いになりじっと水底を眺めておりました……。
折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2020-04-10 07:35:51
2715文字
会話率:32%