葉山藩庶務役平士の鹿山猪四郎は、貧弱な体で容姿もさえないことから劣等感に苛まれていた。
ある日、猪四郎は馬に頭を蹴られたことをきっかけに、馬の言葉がわかるようになる。にわかに信じられないことだが、そのことで、間一髪、裏山の崩壊から厩の
馬達を救うことになる。
更に、猪四郎に不思議なことが起こっているのがわかった。人が心に思ったことも聞こえるようになったのだ。この能力により、猪四郎は、次第に周囲から出来る者として認められていく。
自分は特別な存在になったとばかり、貪欲になった猪四郎は名を上げようと必死になっていく。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2023-09-24 19:31:52
23867文字
会話率:46%
徳川幕府も体制が整い、目立った騒乱の無く安定期に入っていた。
東北の葉山藩の御蔵役平侍の鷹橋一成は平凡な日常を送っていた。
その鷹橋家の墓付近で幽霊が出るという噂が聞こえてきた。それが、決まって毎月十二日に見られるらしい。十二日は
一成の父惣兵衛の月命日である。墓には父が眠っていた。父は心残りがあり、何かを訴えているのか。
確かに、父は剣の道を目指したものの、ある時謀反者の討手となった際に負傷して右手が不自由となりその道を絶たれていた。
折しも、葉山藩ではその実権を握っている主席家老が急死していた。藩の新しい主席家老が誰になるかを巡って藩内に色々な動きがあり、さらに、新田開発にかかる賄賂疑惑も持ち上がっていた。一成も平侍ではあるもののその騒動に次第に巻き込まれていく。
新しい主席家老は誰になるのか、賄賂疑惑は解決されるのか。そして、父の幽霊は本当にいるのか。
折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2022-10-15 16:31:08
32723文字
会話率:35%
東北の葉山藩の目付役である高橋惣兵衛のもとに新しい下女のヨネが来た。ヨネは言葉が不自由で人見知りが激しいが、物の長さや高さを瞬時に正確に判る才能があった。
藩は治水用の堤の工事を行っていたがその検査役が殺される。工事の不正に絡んだ殺人と
思われた。堤の高さは八尺とされているがヨネが言うには七尺。工事を請け負う近江屋が代金を水増ししていると踏んだ惣兵衛は、堤の完成検査にヨネを連れて乗り込む。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2020-12-31 23:28:36
22802文字
会話率:62%