アリステラ王国には王家直属の『諜報(スパイ)ギルド』があった。
貧困街出身の『カイン・アベル』は、諜報員(スパイ)として懸命に任務をこなしていたが、『魔力ゼロの無能』と呼ばれ、幾度となく「死地」に送り込まれていた。
非人道的な生
き方を強制されていたカインだが、拾ってくれたギルド長『ジャング・ローリエル』のために、全てを犠牲にして任務をこなして来た。
しかし、カインと同じく幼少から諜報員(スパイ)としての一緒に訓練をしてきた伯爵家次男『サム・ホリエル』の陰謀によって、国王陛下からの王命を失敗した事にされてしまう。
「わかってるな? このギルドの存在を知っているお前を生かしておくわけにはいかない」
一緒に育ってきたサムに嵌められ、父親だと思っていたジャングには「魔力ゼロの無能!」と罵られ、「自決するか、殺されるか」の選択を迫られたカインは、全てが面倒になり、生きる目的を見失い、目の前の状況に絶望する。
だが、「死」を受け入れた時、ある冒険者の言葉を思い出し、ギルドから逃げ出す事を決意する。
カインは『諜報員は力を隠す物』という教えの元、これまでギフト【百面相】の力を秘匿し続けていたが、【百面相】の本当の能力は『契約者』100人分のギフトを使用できる超有能なギフトだった。
華麗にギルドから去ったカインは、
「これからは『カイン・アベル』として自由に生きる!! 俺は冒険者になるぞ!」
と決意する。しかし、12年ぶりに「自分の顔」で外に出たカインは、あまりの恥ずかしさにタジタジで、極度の人見知りを発揮するが、たくさんの出会いによって、徐々に克服していく。
一方、カインを逃してしまった諜報(スパイ)ギルドはカインを屠るために動き出すが、カインの弟子だった『リリア・ミスト』以外、一切痕跡を見つけられない。
カインがギルドを去った事で、構成員達は徐々に命を落としていく事になり、何もかもが上手くいかなくなってしまう。
これは『存在しない人間』として生きてきたカインが、盛大に恥ずかしがりながらも、美人エルフや人狼の幼女、かつての弟子とパーティーを結成し、魔力ゼロにも関わらず、周囲を唖然とさせながら、覆面冒険者として『自由』を謳歌する物語。
折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2022-03-04 17:03:40
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