とある街に奇妙な事件が起こった。
街の名前はルフラン。一部の人間の間ではリフレインとも呼ばれているその街は、昼は明るく活気で満ちていて、夜になると裏の顔を持っている不思議な街だった。
その街で人目も憚らず白昼堂々「奴隷強奪事件」が起こ
ったのだ。
奴隷を持ち逃げ去ったのは〝終焉の者〟と呼ばれる黒衣をまとった長身の男。男は街から離れた大きな屋敷に身を寄せていて、そこで奴隷――もとい、彼の世話を焼き始める。
不審に思い始めた彼は男の目的を探ろうと迷いながらも「何が目的だ」と問い掛けた。――すると、男はやけにまっすぐな瞳で彼を見つめ、低い声ではっきりと言ったのだ。
――私を殺してくれ、と。
この作品は個人サイト「ネリネの咲く丘にて」(http://nanos.jp/nerine85/)と、カクヨムにも掲載しています。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2020-04-09 18:43:31
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会話率:17%