むかーしむかーしのお話。
ある王国にとても綺麗な王様がいました。
透き通るような白い肌、たゆたうような碧い瞳を持っていました。
ある王国にとても優しい王様がいました。
国中を常に見守り、国民全員を慈しみ、慎ましやかに暮らしていました。
誰からも愛され、そして尊敬された、ふたりの王様です。
ただ、ふたりの王様には決定的な欠点がありました。
綺麗な王様は、笑顔の裏に常に腹に一物抱えた、腹黒王様。
優しい王様は、フォローのしようがないほどラスボス感の否めない、醜い身体を持った悪役王様なのでした──────
そしてやがて、ふたつの国の王様は『精霊王』と『魔王』と呼ばれるようになりました。
それはまだ、善と悪、剣と魔法、そして人と魔物が隔たれていなかった頃の話。
荒野に倒れた幼い王女と、魔王の親友の冒険の話。
*この作品は、小説カキコさんでも連載しております。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2016-08-22 15:00:00
5523文字
会話率:31%