とある晴れた日の午後。風が吹き抜け、カーテンを揺らす。ベッドの上で上半身を起こして窓の外を眺める彼女は、すぅと鼻から息を吸った。そして、彼女は春の香りに思いを巡らせる。春は出会い、そして別れの季節だと……。
彼女は今度は息を吐いた。ただ
し、そばにいる彼に気づかれないように、そっと。彼が動かす筆の音を聞いていたいから。
しかし、彼はぴたりと手を止め、彼女を見つめる。それに気づいた彼女が困ったように笑顔を作ってみせると、彼もまた同じように笑う。
――わかってる。『あたしはもう長くない』なんて後ろ向きなことを考えること自体よくない、あなたがやめて欲しいって思っていることは。でもね……
彼女は心の中でそう呟き、そしてその言葉を押しとどめる。彼女がまた息を吸うと今度は嗅ぎ慣れた病院の匂いが鼻腔を満たした。
――あたしが生きてこの病院から出ることはないんだろうな……。
彼女は今浮かんだその想いを頭を軽く振って追い払い、そして彼に向かって明るい声で話しかけた。
「どう、よく描けてる?」
「……ああ」
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最終更新:2024-07-06 11:00:00
2303文字
会話率:84%
昏睡状態の友人に会いに行った。
彼女はベッドに横たわり、私からの呼び掛けに僅かに瞼を持ち上げるばかりである。
あぁ……どうしてこんなにも……死にゆく人間と言うのは痛々しいのだろう。
注意事項1
起承転結はありません。
短編詐欺に思われたら
申し訳御座いません。
注意事項2
こんなタイトルですが、生々しい死の話。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2023-07-05 20:58:38
1078文字
会話率:42%