聖女候補生アンジェラは、聖教会所属の才色兼備の神の慈悲の体現者である。
だが、その麗しい見かけにだまされ、誰も気づかない。
彼女がただの武道バカであることに。(そして、もう一つ大きな秘密があることに)
アンジェラの不幸は、彼女の師事す
る世界最強の武道家が、たまたま聖女のひとりあったこと。
そして、聖女候補として見こまれてしまったことだった。おまけにその聖女は大変に腹黒であった。
・アンジェラ「師匠、強くなるにはどうしたらいいですか!?」
・聖女「ならば、聖女候補生になり、言動ともに女性らしさを極めなさい。女性こそしなやかさの象徴。それと、忍耐の心を養いなさい。あなたが一番好きな〝武〟の言葉を一切口にすることを禁じます。柔と忍耐を極めたとき、あなたは新たな武の境地にたどり着くでしょう」
・アンジェラ 「師匠、ご指導ありがとうございます! 感謝感激です……ぐすん」
感涙するアンジェラ。師匠の聖女が心の中で舌を出しているとも気づかずに。……アンジェラは、武術のこととなると判断能力が低下するあほの子であった。こうして彼女は、(武の)神や(武の)道という()内なしの脳筋ワードを連発し、武道を究めんとしているつもりで、聖女育成街道を突っ走るのだった。
アンジェラ「やるぞ!! 俺は……いや私は(武の)神に愛される人間になってみせる……みせますわ」
そう、そして、こいつは女でさえなかったのだ。
……この物語は、武の鬼たらんとした、一人の少年が、なぜか聖女の鑑として、人々の崇敬と感謝を一身に受けてしまい、頭を抱える女装男子な物語である。
そんなアンジェラの使命は、かつて非業の死を遂げ、凄まじい恨みとともに現世によみがえった十三人の拳鬼たちを討つこと。アンジェラはその鬼の拳と(えせ)聖女のほほえみで、彼らの魂を救済できるのか。無自覚にまわりを恋の病におとしながらの彼女(?)の冒険譚が幕をあける。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2023-10-06 16:33:19
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会話率:24%