主人公の僕は、25年前に恋人である雪子を突然に亡くす。
うつ状態にあった雪子は、僕との約束を待ちきれずに家の外に出て交通事故にあってしまったのです。
雪子の死を受け入れられない僕は、その原因を、約束の時間に遅れる残業を命じた同じ会社の怜子に
あるのだと思いこむようにした。
そして怜子への復讐を考えたのです。
その方法は、怜子に絶望の苦しみを与えることだった。
その絶望とは、愛する人から裏切られること。
そして、愛する人がいなくなってしまうこと。
怜子が僕を愛するように仕向けて、そして、怜子を裏切る。
それが復讐だった。
しかし、怜子に愛されるには、怜子を愛さなければいけない。
怜子は勘の鋭い女性だからだ。
詰まりは、怜子に愛されるために、怜子を愛することが必要だった。
怜子に復讐をするために、怜子を愛する。
やがて、僕と怜子は結婚をして、茉莉子という娘もできた。
幸せな家族だ。
僕は完全に怜子を心から愛していた。
しかし、復讐を実行に移さなければいけない。
でなければ、雪子が可哀想だ。
でも、怜子を愛してしまっている僕は、怜子に復讐をする必要があるのだろうか。
今目の前に、愛する怜子と、幸せな家庭がある。
悩みつつも僕は、怜子の前から姿を消す。
そして、復讐を実行に移した。
読まれることのない怜子への手紙をパソコンのデスクトップに残して。
残された怜子は、届くことのない僕への気持ちを独り言のようにつぶやく。
折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2019-05-06 12:50:03
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