ある日突然、地球と異世界を繋ぐ《門》が開いたものの、しかし一般人にはまだ関係のない遠い話題であった世界。
とある寒さ厳しい冬の夜道、大学生である雲雀 奏多(ひばり かなた)は一人の不思議な少女と出会った。
――『ひるつてくたさり』。
そう汚く書かれた木版を抱え、電柱の明かりの下で寂しげに佇んでいた彼女の姿があまりにも痛々しく、奏多はつい世話を焼いて借りているアパートに少女を招いてしまう。
だが、異世界人であった彼女との接触が、彼を特殊技能者――ギフトホルダーへと変えてしまうのだった。
数日後、政府の役人に少女諸共確保された奏多は、彼女が異世界の王族であること。なにより己の立場の危うさを知らされる。
地球人にもかかわらず、異世界由来の特殊な力を得てしまった彼は、自身の有用性を示すため、地球と異世界が繋がってしまったがゆえに生まれた次元の歪み――『ダンジョン』の攻略を専門とする組織に加入することになる。姫様と一緒に。
「大丈夫よ、ヒバリ! 私がついてるわ!」
「いや、ちょっ……自重して!」
これは異世界の王族に気に入られ、否応なしに地球と異世界の問題に首を突っ込む羽目になった男の物語である。
折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2017-12-06 23:14:00
31533文字
会話率:34%