その世界には魔王がいた。魔王は言葉を持たぬモノたちを統べた。
人々に望まれ、勇者たる資格を持つ者たちが集い、魔王たちと対峙した――
そして今。世界には多くの〝勇者〟たちがいる。
勇者たちは人類の希望であり、同時に恐怖の象徴でもあった。
力なきものは暴力に怯え、ただ祈り救いを待った。
数多の願いは形をなし、〈聖誓印(ゲシュシール)〉として顕現した。
曰く、人は生涯に二度神秘を願い、叶えることができる。
一度目は己に。二度目は誰かに。
ただし、誰かに願う時に悪しきものを抱けば己の願いを食い潰す。
そんな〝奇跡〟は同様に勇者たちにも与えられていた。
多数の〝勇者〟と勇者から〈魔王化(ダクプリズム)〉化した〝魔王〟が
混在する世界で一人の男は旅を続けている。
彼は〝勇者〟でありながら、それを否定する。
これは誰かに呼ばれた〝勇者〟の物語。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2015-01-10 23:53:05
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