「――ようこそ、勇者さん。」ノックもなしに部屋へと飛び込んできた青年とそのお供たちに、あたしは嫣然と微笑んだ。
「さて、と」
一行に顎をしゃくってやると、頷いたヴァルド――あたしの部下で魔族なんだけど―…が、彼らを外へと運び出しに行った。
「!あんた!」
「あぁあぁ、そう気色ばまないでちょうだい。戦うつもりはないの」
「え…?」
一気にいきり立ったはずの勇者さんは、怪訝そうに構えた剣を少し下げた。なんだか気が抜けるわ。――…まぁ、ともあれ。
「戦闘ではない、そう…、きわめて政治的な話。外交ね。」
戸惑う勇者さんににこりと笑って、告げる。
「――有沢龍斗さん、我々と取引をしませんか?」
さぁ、準備を始めましょう。
政治家になりたかった、万能魔王様の話。
*9月辺りまで更新停止予定です。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2013-02-17 22:48:15
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会話率:52%