温厚な長老の目に怒りが満ち、最近アルビノに宗教団体がとんでもない買値をつけたと話した。
「It's not uncommon to have reconnaissance units from other countries」
(他国の
偵察隊は珍しくない)
視覚を確保する網状のベールがついた全身刺繡のかたまりが突然しゃべった。
美しい黄金の髪がランプの光を反射して、陰影を泳ぎ、ピンクゴールド、ヘーゼル、深みあるショコラブラウンと、光の加減により一区切りでは言い表せない美しさが辺りに満ちる。
”…な!”
艶のある黄金の羽を整え、立ち尽くす児童は均整のとれた美顔に切れ長な目じり、真っすぐに整然と正面をみつめる。すらりと伸びた手に浮き出た青い血管が肌の色を感じさせない。砂ぼこりで薄汚れた小屋に不釣り合いな光沢が教団兵のやつれ黒ずんだ顔を照らす。
赤毛の鉱脈を辿りルビーを掘り出すために、彼は美しい前髪に隠れた瞳を確認した。
「〇@ダッガ、バルファサイ$xァー!」
アラムは叫び、地面に額をこすりつけた。
透き通る美白の幼女がもつ神秘的な紅玉《こうぎょく》の虹彩、彼女こそ彼らが探し求めていたアルビノである。
◇アルビノのエマが島にやってくる前のお話です。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2022-04-03 19:28:39
46990文字
会話率:26%
Never Garden < 三芒星編 >の続編です。
ゴミ山で暮らす世界中の子供たちがある島に集められ暮らし、生きる喜びと力を自分のなかにみつけていくお話です。自分個人の中にあるものを発見すれば外に求める手をおさめ、ありのま
まの自分を腑に落として生きていける、都合の良い魔法でなく、人間の体と意識は自分の人生を創造することができるようになっていると彼らは経験を通して伝えています。
言葉も違う、見かけも違う子供たちは赤ちゃんが母親の感情と共に言葉を覚える能力を素直に使い相手の言語を自分たちの会話に取り入れ、いつしか島には世界語なる会話が生まれていきます。その能力は成長し、思考を自由に共有し合い、すぐれた発想を自給自足の暮らしに独自のテクノロジーとして取り入れていきます。
島に漂流した旅人は卓越した島の技術が子供たちの作品であることを教えられるとき、ジョーから「テクノロジーの進歩は人間の仕事ではない」とも言われます。
物に囲まれ、幾分生活が便利になっても、心落ち着かない社会に未来はなく、これまで幾度となく高度に繁栄し滅びた文明があったことを島の遺跡に教わる子供たちは、共鳴振動が物質として形をとるように、人との間にも共鳴によって創造されるものがあると決意します。
島で話される“世界語”ですが、それを島でただ一人の大人、ジョーは「地球語」だと、島を訪れた旅人に洒落っ気を込めて話します。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2022-01-03 15:12:17
58001文字
会話率:25%