魔と人の戦いが、その世界では長きに渡り続いてきた。
魔王が生まれては、魔の時代に。勇者が出現しては、人の時代に。
そうして繰り返されてきた歴史の中、人と魔の時代の狭間のことである。
とある一人の男は、心優しき勇者の手によって戦地より返
されたが、
ただ一つの事実に歪み、狂い、そして戦いに依存する。
ただ、古い傷を、逃れられない喪失感を、一時でも忘れるため。
襤褸をまとい、壊れかけの両手剣を担ぎ、彼は行く。
これは、人と魔の時代の狭間で、
一人の男が、何かをなす事も無く、ただ散り行くだけの話である。
※Ⅰ 挿絵のあるページは題に★があります、ご注意ください折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2018-12-12 18:21:23
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会話率:15%