俺が受肉を幾度繰り返そうとも、この世から争いが絶えることはない。
空と大地の間に生まれし全ての生命は、より多くを求め、より高みを目指して、飽くことなく愛し合い、殺し合い、喜劇と悲劇を垂れ流す。
そんな世界に辟易としながらも、天秤の女神と
の約定に縛られた俺は、今回も渋々と受肉を承諾した。
神の意志の代行者として、弱きを助け、強きをくじく。
この基本理念に従っていれば、いずれの種族も滅びることなく世界の成長曲線は緩やかな上昇曲線を描き、民草にそこそこ崇められて天上の女神もご満悦。
そして、天秤の均衡は維持される。
そう、全ては粛々と、滞りなく処理されるはずだった……
【長編 No.2】執筆期間 2017.4.11 〜折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2021-09-10 17:00:00
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会話率:37%