天職とスキル。神が人間族に与えた二つの恩寵は、身体能力で勝る魔族と拮抗し、あまつさえ優位に立てるだけの力を与えていた。特に“勇者”の天職を持つ者は、一たび剣を振るえば100の魔族が切り裂かれ、一たび呪文を唱えれば神の怒りがごとく雷が降り
注ぐ、まさに魔族をもってして化け物と言わしめる存在であった。
辺境の村で健やかに育っていたカイルは“勇者”の天職を授かり、王都の学園に入学させられる。だが、同時に授かった“触手”のスキルのせいで差別と迫害を受ける。そして、ついには戦場で彼は味方から、敵ごと魔法で撃たれるのだった。
ケガを負ったカイルは、自身を介抱してくれた魔族の女性と穏やかな時間を過ごす。しかし、ある時人間同士の諍いによって故郷が滅んだことを知ったカイルは、魔王軍に志願し復讐のため戦いに身を投じる。
やがて、≪黒騎士≫の称号を授かったカイルは荒野にて、復讐の最大の壁となったもう一人の“勇者”を待ち受けるのだった。
折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2019-03-19 17:23:42
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