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『小説家になろう』サイトの更新情報を検索します
検索結果:973 件
「あ、おい! 今の音、あれさ……がぁ! おま、な、何を!」
「黙れぇ……俺はぁ捕まらんぞぉ……」
「ば、馬鹿! やめろ! はなせ、マジでしま、絞まってる……か……ら……」
「ふーっ! ふっー! 俺は逃げきってみせるぅぅぅ……」
「あき、あきらめ……」
バラバラと近づくヘリコプターの音。それが徐々に遠ざかっていく。
ただ、それはおれの意識そのものが遠のいているからであった。
ヘリの光は確実にこちらに向かってきている。尤も首を絞められている今、天の迎えのようにも思
えるが。
折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2024-02-04 11:00:00
877文字
会話率:30%
IN:0pt OUT:17pt
総合ポイント:22pt 評価ポイント:22pt
「ユー、いいねぇ!」
節約のため、川の土手で食える野草を集めていたおれは、背後からの突然のその声に驚いた。
振り返ると、そこにいたのはみすぼらしい服装の男。明らかにホームレス。風上に立っているせいでツンとした臭いが鼻を突いた。
おれは一瞬でも、芸能事務所からのスカウトだと期待を抱いた自分を恥じ、面倒くさいのに絡まれてしまったなぁ、とその後の会話、相槌を打つも上の空。はぁ、そうですか、はぁ、はい。と、流れで「ついておいで」と言われ、はいと返事してしまった。その手前、無
視して帰るのも、ばつが悪いので仕方なく男のあとに続いて歩いた。
折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2024-02-04 11:00:00
1081文字
会話率:56%
IN:0pt OUT:13pt
総合ポイント:24pt 評価ポイント:24pt
「……ひっ、だ、だれ!」
その少女はひとり、森の中を彷徨い歩いていた。
夏休み。仕事で遠出するという父親に無理やりくっついてきたはよかったが、代わる代わる知らない大人に愛想を振りまき、そして父親の陰に隠れ、ひしっと父親のズボンを掴んで大人たちの呪文か暗号のような会話に耳を傾けることに飽き、ひとり森の中へ入ったのだ。
どこへ進み、どこで見上げても背の高い木々が少女を見下ろす。
空は曇天。じめじめと蒸し暑く、少女は手をパタパタ、ワンピースのスカートや胸の部分をパタパ
タ、ブゥンと虫が耳元を通過しバタバタ。泣きっ面に蚊。バチバチと腕を叩き、手のひらの血の玉を見て、卒倒しそうになるのを、ぐっと堪えるが、ガサガサと茂みが揺れれば短く悲鳴を上げ走り、立ち止まってはまた空を見上げ、と繰り返す。
「ねぇ……だれなの……?」折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2024-02-03 11:00:00
3914文字
会話率:51%
IN:0pt OUT:20pt
総合ポイント:10pt 評価ポイント:10pt
――ウーラ、ウラウラ、ランラララー。ラーウーラーウウラララララー。ウーラン、ランララウララーララララーウウラン、ランララウラーウララララーウーラーララウラウラララララー
紅藤色の空。流れる小川。麦わら色の芝生のような大地が広がるウーラモス星。
そこで暮らすウーラモス星人は、やや丸みを帯びた五芒星のような形をしていた。ヒトデのような見た目と言ったほうがわかりやすいかもしれない。
彼らは単為生殖であるが親愛の情を伝えるように、ぎゅっと抱き合うことを好み、個体同士が近づけ
ば必ず優しくハグを交わす。
歌と平和をこよなく愛し、彼らの小さな小さな星は常に優しい歌声が流れており、穏やか。まるで夢を見ている最中の緩慢な脳のよう。そんな優しい世界。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2024-02-02 11:00:00
942文字
会話率:6%
IN:0pt OUT:19pt
総合ポイント:20pt 評価ポイント:18pt
ひょんなことから魔法のランプを手に入れた男。
そんなもの嘘に決まってる……などとは思いもしない。手に持てばわかる。なんとも不思議な気配を放っているのだ。
男はよくあるお話と同じようにランプを擦った。それで中にいるランプの精霊を呼び出し、願いを叶えてもらおうと考えたのだ。
……が、ランプの先っぽから煙が出るもその量は一定。沸騰するヤカンにも劣る。それに加え、手を休めれば煙もまたランプの中へ引っ込む。
最終更新:2024-02-02 11:00:00
723文字
会話率:55%
IN:0pt OUT:14pt
総合ポイント:54pt 評価ポイント:48pt
『おまえ、脳みそ未発達か?』
『ほら、叩くと軽い音がするぞぉ。みんな聞こえるかー?』
『もしもーし! おまえの存在自体にクレームがあるんですけどぉー! どこで受け付けてるんですかー?』
『猿。猿猿猿猿猿ぅ!』
『お願い。単純に聞かせて? どうしてそんなに仕事ができないの?』
『飴やるよ。ほら、飴と鞭ってやつだ。ほら、食えよ。今だよ今。……てめぇ、仕事中に飴舐めてんじゃねーよ! 飴だけに仕事舐めてますってか! おら、拾えよ。今吐きだしたやつ拾えってんだよぉ!』
『お前の代わりな
んざいくらでもいるんだよぉ』
『死んでも問題ないよ。死ねよ。はい、死刑。死刑死刑死刑ぃ!』
『まーたコモリくんが篭っちゃうよ』
『ふふっ』
彼はそのドアを閉めたあと、壁に額を擦りつけ、ふぐぅと声を漏らした。頭の中で反芻されるは、先程の、そしてこれまで受けた課長からの叱責の数々。
『まーたコモリくんが――』
それに紛れたこれはオフィスから早足で出る際、同僚がボソッと言った(恐らく彼に聞こえるように)一言。それに笑い声。
コモリくん。そのあだ名の由来通り、彼が今いるのは会社の物置部屋。およそ二畳分の小さな部屋である。
折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2024-02-01 11:00:00
4938文字
会話率:24%
IN:0pt OUT:21pt
総合ポイント:26pt 評価ポイント:26pt
……おれは死んだ。死んだ。死んだ。死んだ死んだ死んだ。と、このように考えるだけで吐き気がし、さっき実際に吐いて、前に並んでいる奴と喧嘩になるところだった。
そう、並んでいる。この列に。この列は一体なんだ? いや、わかるさ。これが何か。天国か地獄の審査の列だろう。そうとしか考えられない。だって、おれは死んだのだから……。あぁぁぁぁ……。
最終更新:2024-01-31 11:00:00
2393文字
会話率:68%
IN:0pt OUT:10pt
総合ポイント:20pt 評価ポイント:20pt
「パラレルワールド。ご存じですか?」
総理のその回答に、質問をした記者はまず我が耳を疑い、次に口を疑った。
今、私は何と質問した? 確か、総理にこう訊ねたんだ。あなたが掲げる異次元の少子化対策とはいったい――
「異次元の少子化対策。それはパラレルワールド、つまり並行世界から子供をさらい、我が国で育てる事です」
記者は目頭を揉んだ。だが、自分の目を疑ったわけではない。頭痛がしたのだ。そして、何かを疑ったと言うなら、それは自分の脳。つまり、これは夢なのではないかと。い
や、やはり総理の頭を疑った。
「あの、総理……真面目に――」
と、言いかけ、記者が口を閉ざしたのは、総理がこちらの話を聞いていないと思ったからではない。閉口せざるを得なかったのだ。記者会見の場、その壇上、総理の隣に運ばれて来た物々しい装置を前にしては。
それは球の無い地球儀のようであった。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2024-01-31 11:00:00
1622文字
会話率:32%
IN:0pt OUT:16pt
総合ポイント:8pt 評価ポイント:8pt
蝉の全盛、世は夏休み真っ只中。彼もまた日々の重圧から解放され、趣味のゴルフを側近たちと楽しんだのち、道が混んでいるからという理由でヘリコプターで都心に戻ろうとしていた。
彼にはそれができる。なぜなら彼は総理大臣なのだ。
だが、さすがの総理と言えど、不運な事故。ヘリの墜落を阻止することはできなかった。
「うぅ……」
地面、雑草と落ち葉の上。むくりと起き上がった総理は顔を歪めた。自身を囲む木々、そこにとまる蝉たちの鳴き声に、まるで四方八方からジリリリと目覚まし時
計の音を浴びせられている気分。最悪の目覚めだ。しかし、ぼやけていた頭の中が徐々にハッキリしていくほどにその最悪は更新されていく。
見回すが周りにヘリ、その残骸はない。機体から放り出されたのだろうか。覚えていない。どれくらい時間が経ったのかも。スマートフォンは失くし、おまけに腕時計は壊れたようで動かない。
チャーターしたヘリでゴルフ場を発ったのは午後三時ごろ。木々の間から降り注ぐ陽射しの感じからして、まだ夕方ではなさそうだが……。
総理はぐぅと声を漏らし、膝に手を当て立ち上がった。森の中は涼しいがあくまでそれは比較的に、の話。水色の麻のシャツは背中に大きな楕円形のシミを作り、土で薄汚れた白のチノパンの尻の部分にも汗をかいている。
「体力は……あるつもりだが……ひぃ、ふぅ、国会にルームランナーを導入することを……検討しないとな……ははは……」
と、ひとり、冗談でも飛ばさなければやってられない。不安と蝉たちの声で気が狂いそうになるのをひしひしと感じていた。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2024-01-30 11:00:00
5929文字
会話率:71%
IN:0pt OUT:20pt
総合ポイント:22pt 評価ポイント:20pt
「へぇー、ここが『セックスしないと出られない部屋』かぁ。なんか殺風景ですねぇ」
その男は部屋を見回しながら、そう言った。
クリーム色の壁に灰色のカーペット調の床のワンルーム。トイレと風呂は別。当然、ベッドがあり、しかも大きい。横には小さな棚。そこにはコンドームやら何やらが置いてある。テレビはなし。冷蔵庫はある。そして、女は……あり。
「……セックスするためだけの部屋ですからね」
彼女はそう言うと目を伏せた。うん、ありだ。全然というかむしろあり。好みのタイプ。
そ
う、彼は舐めまわすように女を見つめ、そして言う。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2024-01-29 11:00:00
3071文字
会話率:62%
IN:0pt OUT:61pt
総合ポイント:34pt 評価ポイント:34pt
「……う、あ、うぅ……ここは……天国……だよな?」
「はい、その通りでございます」
「うおお! ……ああ、失礼。人がいないと思って独り言を言ったものだから、ははっ、大げさに驚いてしまい、ははははは……それで、あなたはまさか……」
「ええ、天使でございます。あなたの担当であります、シライと申します」
「シライ……白井。ああ、その顔と名前、昔どこかで会ったような……それも……そうだ、私が好きだったあの子に」
「そう見えるようになっているのです。親しみを持ってもらいリラ
ックス。お話をスムーズに聞いていただくために」
「そう、か……しかし、ああ、死んだのか……だが、天国がこんなに美しいところとは。死んで良かったとまではまだ言えないが、現世を惜しむ気持ちが失せていくようだよ」
「ふふふっ、そう言っていただけて何よりです。さ、ご案内しますよ。ええと予定の寿命よりもお早い御着きに加え、今ですと――」
――いちゃん
「あ、あれ、声が」
――おじいちゃん
「あの、シライさん、あなたの声が聴こえなくて、それにこの声は」折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2024-01-29 11:00:00
2483文字
会話率:84%
IN:0pt OUT:13pt
総合ポイント:10pt 評価ポイント:10pt
…………なんて言ったっけなこういうの。忘れちまった。なんか長かった気がする。昔何かで知ったんだ。で、すげえって思った。 でも思っただけで、それきりだ。よく調べなかった。バカだからな。そんな気にもならなかったんだ。
バカバカバカと言われてボカボカボカボカと殴られた。クソ親クソ教師クソダチ。裏切られて、また信じて、で裏切られた。信じなくても裏切られた。馬鹿にされる度にどんどん自分がバカになっていく気がして怖かった。でも一人じゃ自分がバカじゃないかどうかもわからねぇ。だから誰か
と一緒にいたかった。
で、またバカにされ、馬鹿を見るんだ。そんなクソの糞溜めみたいな日々だったが、ある時、クソ良い兄貴ができた。
折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2024-01-28 11:00:00
1753文字
会話率:4%
IN:0pt OUT:14pt
総合ポイント:0pt 評価ポイント:0pt
「君、ネットに僕の悪口書いてたよね」
「えっ」
その言葉に一瞬、頭が真っ白になったおれはハッと我に返り、慌てて「だ、誰ですか」と付け足した。でもそれはそう、嘘でもごまかしでもない。本心だ。おれは見た瞬間、その男の姿に全く覚えがなかったのだから。
「ちょっと歩こうか」
最終更新:2024-01-28 11:00:00
3309文字
会話率:60%
IN:0pt OUT:8pt
総合ポイント:12pt 評価ポイント:10pt
ある日の昼下がり、街中を歩いていたとある男。
彼は目の前を歩く女を目にした途端、体に電流が走った感覚がし、思わず近寄り声をかけた。
「プ、プリティッシモン……」
「パ、パウ?」
女は突然、男が口走った言葉に驚きはしたが悪い気はしてない様子。
男もそれがわかると、ソワールソワールと女を口説きにかかる。しかし……
「……ゲグ、グライガガウゥ?」
「ピ、ピネ……」
「ガイガッガガウゴウア!」
「ペピン! ペピン!」
突然、二人の間に別の男が割って入ってきて
、女を怒鳴り散らした。どうやらこの二人は恋人同士のようで、彼氏は声をかけられ満更でもなかった彼女にお怒りといったところ。それがわかり、退散すべきところだが、彼女の余りの怯えように危険を感じた彼は引き下がらなかった。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2024-01-27 11:00:00
1387文字
会話率:66%
IN:0pt OUT:13pt
総合ポイント:8pt 評価ポイント:8pt
【将来が不安です。眠れなくて怖くてすごくすごく怖いです】
【毎日がつらいです。自分でもたまにそれがどうしてかわからないけど】
【学校がいやです。生きていたくない楽になりたい】
【時々、線路が近く感じます】
政府により、安楽死が認められてから一年。希望者は全国にいたが許可が下り、実際に行われたのは、いずれも重度の疾患を抱える者数名のみだった。
最終更新:2024-01-27 11:00:00
1575文字
会話率:20%
IN:0pt OUT:12pt
総合ポイント:10pt 評価ポイント:10pt
『さあさあさあ、今夜も素晴らしい走者出揃いましたっと、おおっと! ははははは! フライングです!
四番、エトウさん、まだですよ! さあ、気を取り直して、あっと今度は二番のキクチさん、お戻りくださいねー。
さあさあ、ああ、わははははは! もう六番のスナガワさーん、勝手に動かない動かない! よろしくお願いしますよホント。スタッフさんもちゃんと抑えててください! ああ三番のハラさん、お漏らしですかぁ! さあさあでは、よーい、ああ、もうはい! スタート!』
ある時、徘徊老人たちの
レースが開催された。
第一回目、その番組予告から不謹慎だと世間から大いにバッシングを食らったそのテレビ番組のワンコーナーだったが、高額な介護費用に喘ぐ参加者の家族にギャラが支払われる他、観てみれば不思議と胸を打つと評判になり第二回、三回と続けられた。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2024-01-26 11:00:00
1323文字
会話率:5%
IN:0pt OUT:19pt
総合ポイント:20pt 評価ポイント:20pt
「この物語の主人公、トワイは母であるルイカと父、ソサンから生まれた男の子である。
そのルイカはユユとホムイから生まれ、ソサンの父はドク、母はランパ。
ユユはリタンとガママの二番目の子でホムイはサキタとグルチの四番目の子。
最終更新:2024-01-26 11:00:00
562文字
会話率:16%
IN:0pt OUT:11pt
総合ポイント:0pt 評価ポイント:0pt
マルチバースで第2次世界大戦の行方を覆すのは、超兵器でも、タイムスリップでもない。
1匹の美しく青い蝶。
ほんのささいな出来事が、想像を絶する結果を引き起こす。
そんな、バタフライ・エフェクト劇場へようこそ。
「ブラジルで1匹の蝶が羽ばたくと、テキサスは竜巻になるのか?」
エドワード・ノートン・ローレンツ
最終更新:2024-01-25 17:00:00
152944文字
会話率:13%
IN:0pt OUT:30pt
総合ポイント:188pt 評価ポイント:104pt
むかしむかし、ある雪の夜。とある山付近の、かやぶき屋根の小さな家。
そこに住む一人の男。宗兵衛は真っ赤な顔をして己の陰茎をただひたすらにしごき続けていた。
額に汗をにじませ、まるで木と木とこすり合わせて火を起こそうとしているかのように、随分とまた必死に手の皮陰茎の皮。肉と肉を擦り合わせ、せっせとしゅっしゅと自己研磨。見開いた目は血走り、歯茎を剥き出しにし、囲炉裏の火が揺れ影が退いてはまた戻り、ものの怪のような様。
そう、この家には、ものの怪がいる。むろん、それは宗兵衛
のことではない。
あの女だ。宗兵衛がしきりにチラチラと目を向けるあの女こそが妖怪である。そのことは宗兵衛自身も気づいていた。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2024-01-25 11:00:00
4275文字
会話率:21%
IN:0pt OUT:13pt
総合ポイント:0pt 評価ポイント:0pt
俺はロボットだ。そうロボット。この会社に勤めるロボット。
語尾が『ロボット』みたいになっちまったが、そんな仕様ではないロボ。
ほらな、このようにユーモアセンスもある高性能人工知能搭載の紛れもないロボットだ。
尤も、今はどのロボットもこのくらいの思考できる。と、このように科学が発達したこの現代でなぜ、こんな風習が残っているのか。人間はおかしい。本当におかしい人間。
「えー、では諸君らの中から一体、生贄を選ぼうと思う」
最終更新:2024-01-24 11:00:00
2206文字
会話率:65%
IN:0pt OUT:13pt
総合ポイント:20pt 評価ポイント:20pt
「はぁ……」
「ふぅぅぅぅ……」
「はぁぁ……」
「ふー……」
「はぁぁぁー……」
「……なあ」
「ん?」
「訊くのも嫌なんだけどさ、あ、やっぱなしで。あのさ、始まる前に集中したいから、そのため息だけやめてくんないかな」
「でもさぁ……」
「あ、やめろ!」
「え、何を?」
最終更新:2024-01-24 11:00:00
2619文字
会話率:99%
IN:0pt OUT:14pt
総合ポイント:20pt 評価ポイント:20pt
夜。とある小さな居酒屋の暖簾をくぐった一人の男。
店内をチラッと見渡すと客は男性が一人だけ。どうやらもう営業終了の時間のよう。彼のその予想は当たり、従業員の女が彼に向かって「あ、すみませんお客さん。ラストオーダーで!」と、明るく声をかけた。
彼は微笑み頷くと適当な席へ座り、メニュー表を眺める。
「……うっし、これにしよ。すみま、ん?」
と、手を上げようとした時、ふと視線に気づいた。それは離れた席に座るもう一人の客の男からのもの。
「……あの、なにか?」
「あ
あ、いや、別に……」
「そうすっか……あ、先、注文ですか? どうぞ」
「いい、いや、いいんで! どうぞ!」
「そ、そうすっか……」折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2024-01-23 11:00:00
2698文字
会話率:85%
IN:0pt OUT:17pt
総合ポイント:0pt 評価ポイント:0pt
『国の子』それは数十年前、少子高齢化の波を食い止めるべく施行された制度。
かつて、定期的に耳にした親の子殺しのニュース報道。虐待。トイレに出産。コインロッカーベイビー。ニュースになっていないものも含めて、そうのような小さな屍は人々の足下に敷き詰められていた。
『国の子』この歪な社会を救うその内容とは、産まれた赤ん坊をその育てる気のない母親から買取るという単純なものだった。しかし、シンプルゆえにこれが功を奏した。
引き取られた子は『国の子』として専用の寮で暮らし、また専用の
教育機関で学び、ゆくゆくは公務員として国のために働くのである。
折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2024-01-23 11:00:00
2111文字
会話率:55%
IN:0pt OUT:21pt
総合ポイント:38pt 評価ポイント:38pt
絞首刑。それは刑場の隣の部屋。刑務官が三人横並びになり、壁に取り付けられた三つのボタンを同時に押すことにより、刑が執行される。
そう、三つ。そのうちの二つはダミーである。本物のボタン。その一つが押されることにより、踏板が外れ……。
と、ダミーが必要な理由。それはボタンを押す刑務官の心の負担を減らすためにある。しかし、人ひとりの命を結果、奪うという行為に対し、どの程度効果があるのか。
押したくない。そう思うことは仕方がないのである。
「……時間だ。三、二、一、零で押
すぞ。いいな?」
「はい」
「はい」
「三、二、一……いや、ちょっと待て。お前、それなんだ?」
折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2024-01-22 11:00:00
2018文字
会話率:83%
IN:0pt OUT:20pt
総合ポイント:36pt 評価ポイント:34pt
不老不死の研究をしていた博士は、ついにそれを完成させた。
……が、それは人々が思い描いていたものと異なる形であった。と、言うのもそれは
「ひっ!」
「きゃあ!」
「うおっ」
発表の場。とあるホールは、集まった記者や各界の著名人らのどよめきで揺れた。
「そう、見ての通り、わしは幽霊です」
最終更新:2024-01-22 11:00:00
2797文字
会話率:12%
IN:0pt OUT:14pt
総合ポイント:18pt 評価ポイント:18pt
「きゃ、きゃああああああああ!」
「ほ、ほうちょう! 包丁男!」
「包丁だ! 包丁男がいるぞ!」
とある午後の電車、その車内。飛び交う悲鳴に押し合いへし合い、逃げ惑う人々。
しかし、電車は走行中である。どこへ逃げようというのか。それでもそうする他ないのだから仕方がない。
と、その中、流れとは逆方向へ。つまり騒ぎの中心、包丁を持った男の前に出る者がいた。
それも四人。いずれも男。小太り、レゲエ風、スーツを着た男が二人、うち片方は眼鏡。彼らのその行動を英雄願望などと揶揄
するべきではない。そしてそう、たとえどうなろうとも己の身を顧みず、他者のために危険に立ち向かうその姿は英雄に違いないのだ。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2024-01-21 11:00:00
2070文字
会話率:70%
IN:0pt OUT:16pt
総合ポイント:10pt 評価ポイント:10pt
「次の方どうぞ」
「あ、はい……あの、よろしくお願いします。えーっと母の名前はモリ、モリアツコと言います。亡くなったのはええと、五年前で」
「はい、では今、お呼びいたしますね…………あら、ショウコ。元気?」
「お、お母さん……」
「うふふ、また会えて嬉しいわぁ。なーに、泣いちゃってぇ。それにちょっと痩せたんじゃない?」
「ううん、こんなものよ。ふふふっ、あのね、この間ね――」
最終更新:2024-01-21 11:00:00
896文字
会話率:80%
IN:0pt OUT:9pt
総合ポイント:0pt 評価ポイント:0pt
ああ、先生。やぁやぁどうもどうもへへへ、ああ調子はいいよ。いやぁ、街でいきなり声をかけられた時は正直『なんだこいつ』って思ったけど、ははは、今はホントいい気分だよ。いやぁ、いい部屋だなぁ……。おれみたいなヨロヨロボロボロのもんを助けてくれるなんて、あんた優しいなぁ。
しかし、へへへ、まあ、若返り薬っていうのは未だにちょっと信じられないがな。
ん? 不満? ないないない! まあ、ベッドから動けないのはしんどいが、まあ贅沢は言っちゃいけねえわな。え? ああ、もし本当に若返れ
るんなら、ああ、やり直したいことがたくさんあるよ。へへへっ、この関節の痛みも消えるんかねぇ。そしたらまずは思いっ切り走るかな。前はジョギングとか好きだったんだぜ。ここ、あれある? ハムスターがカラカラ回すやつ。へへっ、なんてな。
しかし暇だ。日記でもつけようかねぇ。で、おれは三日坊主だからなぁ……。まあ、気が向いた時に書くかぁ……。記念すべき今日は二月一日っと、やっぱ面倒だなぁ……。
二月十六日
先生のお陰! 吐き気や頭痛が格段に減ったよ。食欲も少し戻った気がする。あと尿の量も。日に日に体の中の毒素が抜けていっている気がするよ。いい気分だ。とても感謝しているよ。ありがとう!折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2024-01-20 11:00:00
1176文字
会話率:25%
IN:0pt OUT:22pt
総合ポイント:10pt 評価ポイント:10pt
家に帰ってきた男はソファーの上にごろり。
体を包むようなその充足感にニヤつき、自然と瞼が下がる。そしてそのまま一眠り。数十分が経ち、目を覚ますと大きな欠伸をした。
そして何の気なしにテレビを点ける。すると驚いた。
ニュース番組のようだが、画面上に映し出されたその光景に見覚えがあったのだ。
『えー、犯人はこちらの店を出たあと――』
――あれは俺が行った店じゃないか。
最終更新:2024-01-20 11:00:00
920文字
会話率:34%
IN:0pt OUT:16pt
総合ポイント:62pt 評価ポイント:60pt
……今の声は多分、ここに来る時に通った林のミミズク。今振ったライトの光から逃げたのはネズミ。遅れてゴキブリが二匹。一匹は身を翻し、こっちに向かってきたと思えば通路の端を走っていった。
ところどころ塗装が剥げ落ち、剥き出しのコンクリートの壁。その色濃いひび割れをライトの光で追うと、天井に大きなシミ。ここは雨漏りするようだ。まあ、不思議なことではない。
窓の外は星明りだけ。真っ黒な林が見える。月が出ていない、不気味な夜だ。いや、こんなところに居れば、どんな夜だって不気味に思
わずにはいられないだろう。
廃墟となった刑務所。その廊下をなんで、おれが歩いているのか。はははっ、収監されに来たんじゃない。おれは自分の意志でここに来た。
折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2024-01-19 11:00:00
3108文字
会話率:28%
IN:0pt OUT:23pt
総合ポイント:66pt 評価ポイント:66pt
「あっ」
「えっ、あ」
えっ
「これ、まずいよな」
「まずい……ですね……」
え、な、なにが?
「だがまぁ、ここをこう、あ、あ、あ」
「あ、余計に、あ」
最終更新:2024-01-19 11:00:00
542文字
会話率:74%
IN:0pt OUT:13pt
総合ポイント:30pt 評価ポイント:30pt
仕事帰りに聖女として異世界に召喚された働くアラサー喪女、深沢籠音。しかし彼女は気付いた。召喚されたのは自分1人ではないことを!
しかももう1人は可愛いJK?アッこれ展開読めた!
それまで培った20年来のオタク精神のお陰であらゆるアイデアロールを的中させつつ、王宮を飛び出して好き勝手することを誓った籠音!柄が悪いぞ籠音!変にチョロいぞ籠音!それで良いのか籠音!
これは勝手に異世界の王国の都合で呼び出された彼女がブチ切れて、「自分好きにやらせて貰いますわー」と正義とかそんなん関係
なく自由気ままに帰り道を探すだけの物語である!
ー副題~聖女喚んだと思ったらヤ●ザだった~ー折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2024-01-18 17:01:01
59134文字
会話率:40%
IN:0pt OUT:92pt
総合ポイント:92pt 評価ポイント:50pt
「うわっ! ちょ、ちょっと! マナブ! あんたねぇ、外の虫かご! あれ、中身捨ててきなさいよ! 臭いし変な虫湧いてたわよ!
あーもう、ほんっっとヤダー! 思い出したら鳥肌が立ってきたわ! ほら早く! お母さん、お風呂入ってくるから、その間にとっとと捨ててきなさいよ!」
「ちっ、はーい……」
床に寝転び頬杖ついて、テレビを眺めていた私はゴロリと一回転し、起き上がった。
これは私が小学生の時の話だ。
最終更新:2024-01-18 11:00:00
3181文字
会話率:8%
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総合ポイント:12pt 評価ポイント:12pt
目を開けると、私は暗い部屋、タイル張りの床に横たわっていました……。
体の自由が利かず、動かせるのは眼だけ。そして、その部屋には手術台のようなものがあり、その向こう側に男が一人、こちらに背を向けて立っていました。
男は私の視線に気づいたのか振り返り、そして足音を響かせ私に近づき、見下ろしながらこう言ったのです……。
『お前の肉を――キロ頂く、と』
男は私を抱え上げ、台の上に乗せました。そして……そして、わ、私の指をノコギリで切り始めたのです! まるでトマトのように
血が、血が、噴き出して……。それから、さらに、さらに……。
「大丈夫。落ち着いて、そう、深呼吸を」
「はい……すみません」
「もう少し、ベッドを倒しましょうか。疲れたでしょう」折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2024-01-18 11:00:00
1745文字
会話率:54%
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総合ポイント:8pt 評価ポイント:8pt
『なんだ、取らないの?』
「えっ」
『今、熱い視線くれたよね? まあ、また会えるかもしれないしね。その間、よく考えるといいさ』
「え、嘘、待って」
『待てないよ。見ればわかるだろーう…………』
……と、落ち着いて、あたし。これは夢……じゃない。ええ、現実。間違いなく、あたしはこの足でこの回転寿司に来た。
じゃあ、あたし……うん、疲れているんだろうな。だって有り得ないじゃない。エビがレーンの上から話しかけてきたなんて……。
ええ、幻聴に決まってる。それもにぎ
り。にぎりよ。つまりエビの死体の、その肉片じゃない。うわっ、そう考えると他のも何か気持ち悪く思えてきた。まだそんなに食べてないのに……。
ふっー、大丈夫。気を取り直して、お茶を淹れて、よし……。
『やあ。また来たよー』
「嘘でしょ、なんで? ねえなんで?」折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2024-01-17 11:00:00
1982文字
会話率:72%
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総合ポイント:40pt 評価ポイント:40pt
あの大手チェーンのハンバーガー屋の気が狂った。
地域ごとに、商品の価格を変えることにしたのだ。都市部、空港など土地の賃料が高いゆえに生まれた差だとは思うが、狂ったというのはそれが理由ではない。
この町の店だけ、ハンバーガー一個の価格が、なんと驚異の一万円にまで跳ね上がったのだ。
学校帰り、俺は親友の大下と一緒に様子を見に、と、あれは……
「お、おい! 小坂! お前、なにしてんだ!」
「そうだぞ、正気か? 今、お前、中に入ろうとしたんだぞ」
ふらふらと弱った蚊の
ような動きで店のドアに向かっていた小坂を見つけた俺と大下は慌てて小坂を引き留めた。
小坂は「あ、あ、あ、あ」と両手を前に出し、震わせた。
「お、おれ、ただ、気になって、でも、見てたら、きゅ、急に食べたくなってぇ……」
折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2024-01-17 11:00:00
3993文字
会話率:49%
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総合ポイント:56pt 評価ポイント:56pt
「……おい、おい! これ、ふざけん、あ、いや」
ふざけんな殺すぞ、と怒鳴ろうとした俺だったが急ブレーキをかけた。
なぜなら、こう思ったからだ。これを、俺を元に戻せるのは、こいつしかいないかもしれない、と。
「……なに?」
「あ、いや、ふぅー……これは、どうなっているのか教えてくれないか?」
部屋の電気のスイッチを入れ、振り返った奴に俺は努めて優しい声で訊ねた。本当はすぐにでも飛び掛かり、首を絞めてそのテーブルに頭を打ち付け、ビーカーやらが並ぶ棚に顔から掴ませた後
、冷蔵庫に保存している液体を手当たり次第、喉の奥へ流し込んでやり、それから引き倒し頭を踏みつけ、そう、殺してやりたかった。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2024-01-16 11:00:00
2457文字
会話率:45%
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総合ポイント:10pt 評価ポイント:10pt
ある日、一隻の小型宇宙船が地上に着陸。政府関係者が出迎えに集まった。
動きを事前にレーダーで捕捉していたのだ。だが、初の宇宙人との対面に全員、緊張した様子。
地に降り、ほのかに白煙が上がる宇宙船を前に一同、硬くなり待つこと数分。宇宙船のハッチが開き、中から出てきたのは……
「どうモ、みなさン、こんにチワ」
「あ、あ、ど、どうも……」
「着陸前に、この惑星をぐるりト一周し、勝手ながら情報収集しテいました。申し訳なイ。しかし、翻訳機を使用するたメには仕方がなかっタので
す。お許しを」
「あ、そ、それは、ええと、あ、ありがとうございますです……」折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2024-01-16 11:00:00
1547文字
会話率:87%
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街中、陽気な午後。ユイはマッチングアプリで知り合った男と並んで歩いていた。
歳は同じくらい。見た目はまあ悪くはない。だが重きを置くのは性格と資産。ユイは結婚を前提に付き合うかどうかを今日のデートで見極めるつもりだった。
開始からここまでは特に問題なし。多少、心に引っ掛かりはあるが、それが何なのかユイ自身も言語化できずにいた。ゆえに、大したことではないだろう。そう思っていた。
「――かない?」
「え、あの、今なんて? ごめんなさい。ちょっとボッーとしてて……」
「
ん、この辺りに僕の家があるから、ちょっと寄って行かないかい?」
いきなり家に……と、ユイは思ったが、数年前に大型ショッピングモールが建つなど開発が進んでいる駅近くのこの辺りの土地の価格は高い。これまでの会話で賃借ではないことは確定。それも伸び伸びとできるという口ぶりからして一軒家。
もしかしたら古い家かもしれないが前述の通り、土地自体はかなり高額だろう。売れば、どこだろうとマンションを買えるのでは。
そもそも、サイトのプロフィールによると彼の貯金は二千万円以上。ゆえに生活の心配もなし。
と、そう考えたユイは目を強くつぶり、自制する。
お金ばかりのことを考えては駄目。あたしの現状……。嫌な人がいる職場。給料もそんなに貰っていない。だから確かにお金は大事。でも、結局は愛でしょう?
「ハートだよね」折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2024-01-15 11:00:00
3115文字
会話率:76%
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総合ポイント:10pt 評価ポイント:10pt
楽園にて、天使たちは平穏な日々を送っていた。
平たく言えば、きゃっきゃうふふあははの追いかけっこである。意地悪な子を抜いた良い子ばかりの保育園。騒ぐ子や泣く子が煩わしいとは言わないが、そういったやや顔をしかめるような部分さえも抜き取った天使たち。それに加え、天使たちは思いやりが強いものであった。
最終更新:2024-01-15 11:00:00
1495文字
会話率:0%
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総合ポイント:8pt 評価ポイント:8pt
――俺は死んだ。幽霊だ。
事実をあるがままに受け入れるのは彼自身が意外に思うほど早かった。
結論から話すというのを美徳とする者は多い。彼の妻もそうだった。『男のくせにダラダラと結局何が言いたいの?』と彼はよく睨まれたものだ。
それを思い出したゆえに彼は口ずさむ。
俺は死んだ。幽霊だ、と。
最終更新:2024-01-14 11:00:00
4269文字
会話率:12%
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総合ポイント:6pt 評価ポイント:6pt
あんのぉ、今日からおらが暮らす兵舎ってんはこっちですかな。あら、違う? ああ、おらは村から来たんだ。ははは、さいこーの村だんべ。
ん? しょぞく? おらは村から来たって今、言ったでねえか。怒鳴るから人の話がきこえねえんだなぁ。
ん? ああ、集まった人たちんを振り分けるんだべかぁ。おらが村でもあるだよ。いい野菜はこっち。悪い野菜はこっち。いい野菜は自分で食うんだ。悪い野菜は、よその村の奴らに投げつけてやるんだべ。ははは。いい肉はこっち、わるい肉はこっち、ん、もういい?
はいはい、んで、おめんら、何してるんだべ? え? 上官? ははあ、これは失礼しましたべ。いやぁ、おらぁ、わかんなぐってどれも似たようなお顔だべ。でもははぁ、確かにおひげは立派だなぁ。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2024-01-13 11:00:00
1788文字
会話率:0%
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総合ポイント:16pt 評価ポイント:16pt
――よ、良かったら、ぼ、僕と結婚してくださいっ。
――俺と結婚しようよ。
サナエはその日から何日経とうとも、毎日のように二人の男から贈られた言葉を頭の中で反芻し続けていた。
プロポーズされた。それも二人の男性から、ほとんど同じタイミングで。
優越感はあった。だが結婚するにはいい時期だ、なんて余裕ぶるつもりもない。そもそもその二人と出会ったのはマッチングアプリ。他にも何人かと会い、候補者を絞り、これを逃すと次にいつ、気の合う男と出会えるかもわからない。
最終更新:2024-01-13 11:00:00
2274文字
会話率:42%
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総合ポイント:38pt 評価ポイント:38pt
腕が四本。足が四本。目が四つ。あとは人と同じ。これなーんだ?
それはね……僕だよ。正確には夢の中の僕。何年経っても不思議と忘れない。うんと幼い頃、よく見ていた夢の中のことさ。
僕はその四本ずつの手足を巧みに動かし、駆けまわったり道具を作ったり、そう、何でもできていたんだ。
目だってね、死角なんてほとんどなかったのさ。だから狩りは大得意。何でもできる気がしたよ。もしかしたらそれは前世の私の姿だったのかもしれない。どこか遠い星の原始的な宇宙人。
最終更新:2024-01-12 11:00:00
1320文字
会話率:4%
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総合ポイント:14pt 評価ポイント:14pt
『お目覚めですか?』
……耳にジーンと響く、女の優しい声。これは、ああそうだ……どうやら眠ってしまっていたようだ。テレビは……点けたままのはずだが音が……。
『テレビは消しておきました。部屋を少し明るくしますね』
「ああ、ありがとう。うたた寝して、と、クラシックも流してくれていたのか」
『はい、いい夢を見られましたか?』
「ふふっ、さあ、どうだったかな。でも悪くない気分だ……。さて、まだ夜だろう。カーテンを開けてくれ」
『かしこまりました』
自動で開かれたカ
ーテンのその向こう、下に広がるのは宝石箱を開けたような美しい夜景。
だが、見飽きた。もはや、この高層マンションの魅力の一つに数えられない。素晴らしいのは先程から俺と会話しているのはこの部屋の住人のサポートを務めるAI。一部屋ずつ人格が異なる、と言うよりは住む人間によって変化し最適なものになるのだ。
折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2024-01-12 11:00:00
2430文字
会話率:41%
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総合ポイント:16pt 評価ポイント:16pt
一人用宇宙ポッド、Y-22298fは果ての無い暗闇とそれに浮かぶ小惑星帯、その間を縫うように抜け、孤独な航海を続けていた。
その座席に腰を沈める彼は、また一つ大きな欠伸をした。
自動操縦であり、地球本部からの指示通り動き、また定期的に情報を送る。ゆえに彼は何もすることがない。口を開ける時は今のような欠伸かナッツを一つ、放り込むことくらいだ。
気が楽でいいが一人用ということだけあって、いかんせん狭い。
体を縛るベルトを外して立ち上がる気も起きず、手足を投げ出し、お情け
で付けられた小さな窓の外をぼんやりと眺める。
それでも前にいたところよりはマシと思うべきか。
あそこは狭い上にぎゅうぎゅう詰めであった。そしてそれは、このための訓練だったのだろう。他にも毎日やりたくもないことをやらされた。体に針を入れられた。苦痛を与えられた。その繰り返しで変化がなかった。
これに乗せられた時はワクワクしたが、結局は似たようなものか。
自由が欲しい。でなければせめて変化が欲しい。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2024-01-11 11:00:00
1294文字
会話率:36%
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むかしのこと。とある星から来た宇宙人たちによる、地球人女性の誘拐が横行していた。
彼らは人間と自分たちの遺伝子を混ぜ合わせた優秀な雑種を作り、指導者に仕立て上げ、人類の支配を目論んだのだ。
孕ませると言っても人間がするような原始的な方法をとらない。彼らに言わせれば反吐が出るといったところ。彼らの星の文明は地球のそれより遥か上を行っており、機器を女の陰部に押し当てるだけ、ものの一分足らずで事が済むのだ。
よって淡々と。そして慣れてくると、念のためにとわざわざ誘拐し船内で
処置せずとも寝室に忍び込み、ササッと済ませるようになった。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2024-01-11 11:00:00
1201文字
会話率:0%
IN:0pt OUT:22pt
総合ポイント:22pt 評価ポイント:22pt
「どれも似た顔で見分けがつかな」
と、そこまで声に出した父親はあっ、と思った。
夜。自宅のリビング。温め直した惣菜のコロッケを箸でつつきながら、ふと思い、口にしただけのこと。
『仕事で疲れていて、ついちょっと本音が……』と刹那の瞬間に思い浮かんだその下手な言い訳を口にする間もなく、一、ゼロのカウントでくる。しかし、したところできっと逆効果であっただろうから、それはそれでよかったと言えよう。
「は? はぁ!? 似た顔って全然違うからぁ! それおっさんがよく言うやつだよ!
」
凄まじい剣幕の娘に、父親は思わず仰け反った。そして『おっさん』という言葉の響きにひっそりと傷つく。
「はぁーぁ、ほんっっとわかってないね! ほらよく見て! 今映ったのがジュンでああ、ほら、彼がミッツでミキちゃんの推しね!
で、きゃぁ! レン様!」
折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2024-01-10 11:00:00
1408文字
会話率:34%
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総合ポイント:26pt 評価ポイント:26pt
「――本案に賛成の諸君の起立を求めます。……過半数と認めます。よって本案は可決されました」
撮影罪。長い議論の果て、ついに可決され成立の運びとなったこの新法により、許可なき撮影行為は明確に犯罪となった。
どうしてこのような法律が作られたのか。
単純な盗撮の他、仲間内での迷惑行為の撮影及びネット上に公開、リベンジポルノ、電車の撮影の際のマナー違反、競技会場における観客席からの女性アスリートの撮影など砕けた言葉でいうのなら、過ぎた道具を手にした猿共が世を横行闊歩している
せいである。
何かあればすぐにスマートフォンを取り出し、撮影開始。自己顕示欲を満たしたいがだけのために肖像権など知ったことか(実際、知らないのかもしれない)SNSに晒上げ、その対象物が多少の非があるならまだしも、ただ顔がキモい。禿げている。動きが変などと人の尊厳を無視し、晒し者笑い者晒し首縛り首公開処刑私刑私刑ああ、恐ろしや。。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2024-01-10 11:00:00
2401文字
会話率:40%
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総合ポイント:46pt 評価ポイント:44pt
太陽はなく、空全体が白く発光しているようであった。
一本の道路。その両脇は頭をもたげるかのように、葉先が反った雑草が地平線の彼方まで続いている。
彼はひとり、そこを走っていた。
ここが夢の中であることは彼も承知だった。息苦しさ。痛み、疲労は現実とそう変わらないほどであったが、それは彼自身の経験がリアリティを持たせたことに他ならない。
それに加え、夢の中特有の淀んだ思考回路なら、ここが現実だと錯覚することもできたであろう。
しかし、時折どこかからする声が、風もないの
に遠くから流れてくるような声が彼に夢を見る事を、現実から目を逸らすことを許さなかったのだ。
――君は練習中に事故に遭ったんだ。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2024-01-09 11:00:00
2951文字
会話率:2%
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