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検索結果:77 件
作:中西 陽一郎
現実世界[恋愛]
短編
N9499IX
航(わたる)と瑞希(みずき)が二人で暮らすようになってから、三月が過ぎようとしていた。ある冬の朝、スマートフォンの着信表示が微かな電流を航の胸の奥に走らせた。唯(ゆい)の声を聴くのは十年ぶりだった。懐かしい声が胸の奥の扉を直接叩いた。
「剣(けん)が、亡くなりました。」
唯は、注意深く感情の乱れを削ぎ落とした静かな口調で剣の死を告げた。返す言葉を探しあぐねているうちに、唯は葬儀の日時と場所を伝え始めた。航はテーブルの上にあった広告チラシの裏に、震える手でメモを取った。“唯
は、大丈夫か”という言葉が喉元まででかかってたけど言葉にできなかった。窓際に歩いてカーテンを開くと、見慣れていた住宅街の風景ではなく、時間の流れから切り取られた旧い白黒写真のような景色が音を潜めて佇んでいた。今、唯のいる場所でも雪は積もっているのだろうかと暗い空の向こうに思いを馳せた。
「おはよう。」
振り返ると、すぐ後ろに瑞希が立っていた。いつもの朝と1mmも変わらない“おはよう”だった。パジャマの上に僕のスエットパーカーを無造作に羽織り、両手を自分の息で温めながら、僅かに首を傾げて僕を見上げていた。
「雪、酷くならないといいね。」
窓の外を見上げながらそれだけ言うと、瑞希はくるりと踵を返して朝食の支度にとりかかるために台所に向かった。
********************************
剣の葬儀で唯と再会してきた航。
「指一本触れてない。」
嘘をついた。
「いい子だね。あの人の前では。」
「でも、心には触れた。多分。」
少しだけ思わせぶりに言ってみた。瑞希の口が重くなった。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2024-04-22 08:05:15
8048文字
会話率:51%
IN:0pt OUT:8pt
総合ポイント:0pt 評価ポイント:0pt
最高神直属の騎士団ディカニス。ある日彼らは魔王に捕らえられた女神スティルを異世界で救出するが、彼女の魔力は少なく憔悴していた。そこで医者のロクドトは彼女に魔力を供給しようとするが……
「気安く触らないで」
スティルは冷たく言い放ち、ロクドトの顔面に踵を振り下ろしてきた。
嫌われ者の医者と美しき破壊神の、秘密の関係が始まる。
『紫野原魔法探偵事務所』の裏で起きていた話ですが、読んでいなくても楽しめます。
最終更新:2024-04-13 07:30:00
52308文字
会話率:59%
IN:0pt OUT:13pt
総合ポイント:2pt 評価ポイント:0pt
何者かになりたいと願う歌い手の女子中学生と、サムネの絵を描く同級生の女の子の話です。
最終更新:2024-04-06 19:56:39
8989文字
会話率:24%
IN:0pt OUT:12pt
総合ポイント:6pt 評価ポイント:6pt
作:leftycookis
ハイファンタジー
連載
N3465IR
這是一個劍與魔法的世界,早川莎莎為了參加可以實現一切aspiration的星宮祭典,來到斯堪德王國的英德爾學院。 然而,在他抵達學校後意外卻接踵而來,這使得他不得不用非正規手段奪取參賽資格,他干涉了有著雪女外號的莉莉亞.古雷哈特的私事,向三王子旗下的貴族宣戰,再讓委員會的老師欠他人情⋯⋯
最終更新:2024-03-12 21:39:39
1432文字
会話率:8%
IN:0pt OUT:10pt
総合ポイント:0pt 評価ポイント:0pt
ラグナロク西暦840年8月1日。
時は地球連邦軍と宇宙連邦軍との間で長きに渡る戦争の真っ只中。
宇宙を股に駆けるサタン商会の黒い不穏な情報が入り、宇宙連邦軍の第三宙域艦隊の別動隊が調査をしていた。
民間人のスペースノイドに扮したとある隊員の男は、仲間と共に何とかサタン商会が保有する貿易コロニー【ハムレット】に小型輸送船の船長として潜入する。
人の目を盗んで秘密の地下研究所へと侵入する。
そこで彼が見たのは、今まで見たことの無い機体と戦艦だった。
やはり噂は本当だっ
たと確信し、後ろに振り返った瞬間、そこに居たのは自分の額に銃口を突き付けた美しい男の姿だった。
男は引き金を引いて隊員の男を撃ち殺すと、直ぐに踵を翻して不敵に笑う。
「予定より少し早いが、ネズミは早い内に駆除する方が良い」
この物語は、一人の男が世界に復讐して世界を征服する物語である。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2024-03-05 11:00:00
13215文字
会話率:42%
IN:0pt OUT:33pt
総合ポイント:24pt 評価ポイント:20pt
あたいを踊りに誘いたいなら、ステップのひとつでも踏めるようにおなりなさい。
最終更新:2024-02-23 07:00:00
382文字
会話率:0%
IN:0pt OUT:20pt
総合ポイント:56pt 評価ポイント:54pt
作:ねこまんまときみどりのことり
ヒューマンドラマ
短編
N8330IP
「やっと、愛する家族と暮らせる日が来た。可愛いフランシーヌとパシェルよ、ずいぶんと待たせてしまったね。でももう大丈夫だ。
それとアンネットよ、お前とはここでお別れだな。今日からは我が両親が養父母となる。迷惑をかけるんじゃないぞ」
「さよなら、お義姉様。わたしにお父様を譲ってくれて、ありがとう」
歪な笑顔で話す義妹。
それだけ言えば、もう関心はアンネットから離れ、フランシーヌ達に向うチェント。彼女達がお茶を楽しんでいた応接室から、アンネットと前伯爵夫妻は踵を返した。
「
嫌な思いをさせて済まないな」
「ごめんなさいね、アンネット」
「心配しないで。大丈夫ですわ」
生まれ育った生家に別れを告げた、アンネットと前伯爵夫妻は感慨に浸りながらも歩き出し、その場を後にした。
アンネットは、アイモンドール伯爵家の長女。
フランシーヌは、彼女アンネットの異母妹だった。
チェント・アイモンドール伯爵は、彼女達の父親。
アンネットの母ジャクリーンは既に伯爵家にはおらず、今は平民の愛人であったフランシーヌの母親パシェルが伯爵夫人に収まっている。
ある日、川谷で伯爵家の壊れた馬車が発見さたが、母と馭者の姿は発見されず、失踪届けが出されたのだ。
折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2024-02-01 16:55:55
8605文字
会話率:13%
IN:0pt OUT:26pt
総合ポイント:1874pt 評価ポイント:1784pt
右手でウサギ、左手でキツネをつくりましょう。
最終更新:2024-01-07 07:00:00
333文字
会話率:0%
IN:0pt OUT:26pt
総合ポイント:106pt 評価ポイント:102pt
「踵まで冷たい泡はベタベタな」を上の句にしている短歌です。 文字数を埋めるためにお見苦しい点はあると思いますが、ご容赦ください
最終更新:2024-01-03 10:00:00
295文字
会話率:0%
IN:0pt OUT:20pt
総合ポイント:0pt 評価ポイント:0pt
「君は、辞退しようという気にはならないのか」
今日も今日とて、彼を侮る高位貴族の子弟が学園内で子爵家の次男を呼び止める。誰だか知らないが、知らなくても誰かは分かる。その用事も。
「子爵家の次男ごときが、本当に自分が彼女の夫として相応しいとでも思っているのか?」
「あ、その件でしたら公爵家の方へ直接お願いしますね」
「なに……?」
「そもそも婚約者を公募なさったのは公爵家ですし、公募自体も公女さまご自身のご意向だと伺っております。私をお選びになったのも公女さまご自身だと、当
の本人から伺っておりますので」
「くっ、それは」
「ですのでご不満がお有りなら公爵家に、そして公女さまに直接申し上げてくださいませ。では」
そこまで言い捨てて一礼し、子爵家の次男は踵を返す。まさか反論されると思っていなかったようで驚きに顔色を染めていたが、知ったことではない。
やれやれ、自分だって釣書を送って、その上で落選したんでしょうに。相手がしがない子爵家だからって、思い通りにしようとか傲慢ですよ先輩?
筆頭公爵家には女児がひとりしか生まれなかった。将来的に男児の誕生を期待したものの生まれずに、唯一の娘である公女は正式に跡継ぎとなった。
そんな公女の婚約者を、なんと広く公募して決めると公爵家が表明したのだ。たちまち彼女の元には応募の釣書が殺到した。
そんな公女に悲劇が訪れる。学園の放課後に友人たちと街遊びに行って、ひとり公女だけが誘拐され乱暴されたのだ。
純潔を失ったことで、公女の婚約者への立候補者たちはみな辞退していった。そうして中々決まらなかった彼女の婚約者は、公募開始から2年を経てようやく決まった。
なんと、しがない貧乏子爵家の次男だったのだ。しかも決まったというのにふたりの仲はどう見ても険悪で、だから一旦は辞退した高位貴族の子息たちも色めき立った。
そういうわけで、今日も子爵家次男の元には婚約者を辞退するよう迫る子息たちがやって来る。公女とその婚約者が何を画策しているか知らぬままに。
そんな中、王国の第三王子が声高に宣言したのだ。公女の誘拐暴行事件の犯人が、他でもない子爵家次男だと⸺!
◆例によって設定なし、主役のふたり以外に名前はありません。全11話、1話あたり約1500字ですっきりハッピーエンド。
◆この作品はアルファポリスでも同時公開します。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2023-12-31 21:00:00
17786文字
会話率:43%
IN:0pt OUT:19pt
総合ポイント:2774pt 評価ポイント:2242pt
魔王。それは、『魔物を生み出す』という人智を超えた権能を持つ存在。
不死とも呼ばれたそんな魔王を倒した三人の英雄がいる。
内の一人、『封魔のヴェルテ』。
彼は魔王討伐後、故郷近辺の森林にある親友の墓参りへ赴いていた。
そこで、英雄である彼の運命を狂わす出会いを果たす。
墓標として建てていた石碑に纏わり付く魔物の影。
肉塊にただ目玉と不揃いな口をつけただけのような見た目をした、数々の魔物を倒した彼ですら初めて見るその悍ましい魔物は明らかに何もできない低級のものだ
った。
彼は親友の墓を汚すその魔物を一閃しようとした。──が、魔物は魔法を極めたはずの彼が絶句するような、想像を超えた魔法を行使する。
『入れ替わり』
それは、肉体を奪い魂を交換するという馬鹿げた魔法。
彼はその魔法と魔物の存在について、一つの可能性を思い出した。
自分以外の他の二人の英雄が研究していた禁忌の古代秘宝にそれに近しいものがあった。
こんな異常事態を招いたのは、異常者としか思えないあの二人による謀りと見て間違いない。
肉体を奪われ低級魔物に身を堕とされた彼は、踵を返す自分自身だった背中を見上げて誓う。
この姿で生き残り必ずあの肉体を取り戻す。そして、なんとしてでも自分をこの状況へと陥れた二人の英雄を見つけ出し、殺す。
冒涜の錬金術師──ディラ=フェルディア。
傀儡の異端官──シシリア=デンフォード。
もはや英雄でなくなったヴェルテの殺意の渦はこの二人に向けられた。
──が、彼は知らなかった。
英雄たちの思惑と、ヴェルテに与えられた試練の真実を。
◆◇◆
短編を書いてみたくて執筆しました。
4日連続更新、5話で完結する予定です。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2023-12-18 12:06:56
33013文字
会話率:19%
IN:0pt OUT:40pt
総合ポイント:24pt 評価ポイント:20pt
「やあ、君がここの責任者かね?」
「え、ああ、はい」
とある会社。カッ、コッ、ラタッと舌を鳴らし指を鳴らし靴の踵を鳴らし、そこに訪ねて来た男は辺りを見回しそう言った。見るからに上等なスーツ。溢れ出る自己肯定感。責任者の男は思わず身構える。
「ふーん、ビルの一室を借りただけの小さな会社。
狭く、資金もないのは明白。おまけに君も他の者も若い……がこの分野は情熱と閃きが物を言う。そうだろう?」
「ええ、まあ、あの、それであなたは……?」
最終更新:2023-10-23 11:00:00
3071文字
会話率:37%
IN:0pt OUT:24pt
総合ポイント:10pt 評価ポイント:10pt
あらすじなし
あらすじは書かなくちゃダメっすかー
最終更新:2023-08-17 21:04:03
248文字
会話率:0%
IN:0pt OUT:15pt
総合ポイント:0pt 評価ポイント:0pt
ある日、仕事に疲れてふと見上げた青空があまりに綺麗で、デパートの屋上まで来ていた。
子供連れの家族で賑わう喧騒から逃れようと、片隅にある倉庫の裏手へ。
そこには古びたベンチがひとつ。
そして、一人の女の子がひとり。
「……ん」
彼女は踵を返して帰ろうとする俺を引き止めて、ベンチを進めてきた。俺はそれに導かれるように腰をおろす。
名前も年齢も分からない彼女との、気楽でのんびりした時間。
いつしか、それが何物にも替えがたい時間になっていった……。
最終更新:2023-08-02 11:51:56
6979文字
会話率:37%
IN:0pt OUT:0pt
総合ポイント:116pt 評価ポイント:106pt
200文字のとても短い小説です。
この文字数なのであらすじを語ることは難しいですがすごく暗いお話となっています。
作者自身が日常というキーワードに首を傾げています。
最終更新:2023-07-12 18:30:42
200文字
会話率:0%
IN:0pt OUT:1pt
総合ポイント:10pt 評価ポイント:10pt
満ち足りた世界がどこかにあるとしても、ぼくの足もとまで、それはひろがっていない。
最終更新:2023-07-10 07:00:00
533文字
会話率:0%
IN:0pt OUT:53pt
総合ポイント:76pt 評価ポイント:76pt
ある日、九曜様に挨拶に伺ったら、予定を聞かれた。
約束を破り、行くのを尻込みして、踵を返した夜の事、赤い夢を見た。真っ赤な夕行の夢を見た。
……満足したのなら良い。
注意事項1
起承転結はありません。
短編詐欺に思われたら申し訳御座いません。
でも珍しくある気がします。
注意事項2
お前にも見せてやりたい。この賑わいを。この光景を。
いい物だろう? 人の愛は。
最終更新:2023-05-21 12:17:53
1709文字
会話率:35%
IN:0pt OUT:41pt
総合ポイント:8pt 評価ポイント:6pt
一人の少女がヤンデレに至った理由。
最終更新:2023-04-16 00:31:22
1139文字
会話率:35%
IN:0pt OUT:54pt
総合ポイント:16pt 評価ポイント:16pt
道ははるか、かなたまでつづく。
行脚——それこそ、人生。
最終更新:2023-03-27 07:00:00
247文字
会話率:0%
IN:0pt OUT:52pt
総合ポイント:54pt 評価ポイント:54pt
じゃあ、ゆくよ。
ずっとここにいたって、なにかはかわらないから。
最終更新:2023-02-21 07:00:00
288文字
会話率:0%
IN:0pt OUT:56pt
総合ポイント:46pt 評価ポイント:44pt
「俺を呼び出すとは良い度胸だ……なんだ、子ども、か? ……まあいいだろう。お前の願いを一つ叶えてやろう。さあ、願いはなんだ?」
美しい顔なのに妙に歪な笑顔で目の前の男、悪魔がそう言った。
私はいつもこの部屋の中にいる。
この部屋はただの物置。
私はここに一人でいる。
昔は、誰かの温かい腕の中にいて、明るい部屋にいたような気もするが、もう、あまり覚えていない。
それが今日の朝、驚いた。
隣に熊がいた。
そう、熊。
子ども向けの丸い可愛い熊ではなく、いわゆるガチな熊。
『メリークリスマス! このぬいぐるみはあなたのともだちよ!』
クリスマスの朝、ひとりぼっちは熊と二人になり、嬉しくて踊ったら、それは偶然に悪魔を呼び出す儀式になってしまい……。
寂しいのは、誰だった?
冬童話2023参加作品です。
少ししんみり、でもほっこりしていただけたら嬉しいです。
よろしくお願いいたします。
m(_ _)m
折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2022-12-25 13:14:07
6861文字
会話率:33%
IN:0pt OUT:87pt
総合ポイント:1096pt 評価ポイント:1020pt
優子ちゃんはクラスのリーダーであかるくてやさしくて勉強ができてスポーツだって得意で出来ないことはなんにもなさそうな顔をしていた優等生で、名前の通りとっても優しくてちっとも偉ぶったところがなくて「二軍」のみんなとも普通に話すし私達が気持ち悪いなと思う男の子が相手でもそれを表情に出したりはしなかった。私たちはみんな優しくて顔がいい優子ちゃんが表向きは大好きだった。その大好きの方向を間違えた耕助くんが優子ちゃんにコクったのを優子ちゃんがさらっと受け流して教室の雰囲気がこじれてくるま
では。
んで自分が振られたことを理解できていない耕助くんは教室で優子ちゃんに付きまとい出して好き好きアピールしてて、露骨に拒否って逃げ出そうとしてる優子ちゃんの手を掴んで「なんで避けるんだよ」と叫んだ。「いいかげんにして」優子ちゃんは耕助くんの横っ面をビンタした。耕助くんは一瞬なにが起こってるのかわからない表情をしてきょとんとしたあと周りの男子が「ぷっぷー女にビンタされてやがる」冷やかして笑ったのを認識して、みみっちいプライドを爆裂させた。耕助くんはぶちぎれて優子ちゃんに襲い掛かった。拳固めて右頬を思いきり殴りつけて黒板に頭をぶつけて転倒した優子ちゃんに踵を振り落として胸を強打。それから馬乗りになって優子ちゃんの顔を殴り続けた。「誰かとめろよ」誰かが言ったけどぶちぎれた耕助くんに割って入れる男子は誰もいなかったし、女子は「勉強もスポーツも出来て男子に人気があるからには私達を見下してるであろう優子ちゃん」がぼこぼこにされていることに溜飲を下げていた。耕助くんは五分間優子ちゃんを殴り続けて休憩時間の終わりを告げるチャイムが鳴った。優子ちゃんの顔面への殴打は担任の向島先生が入ってきて血相を変えて耕助くんを羽交い絞めにするまで終わらなかった。草。折りたたむ>>続きをよむキーワード:
最終更新:2022-11-21 20:32:08
18103文字
会話率:34%
IN:0pt OUT:5pt
総合ポイント:154pt 評価ポイント:130pt
作:鈴宮(すずみや)
異世界[恋愛]
短編
N3093HV
「政略結婚のお相手に、わたしなんていかがでしょう?」
公爵令嬢ミラからの通算五度目となる政略結婚の提案。
公爵令息ソーリヴァイこと『ソーちゃん』はイエスともノーとも言わぬまま、今日も踵を返してしまう。
ソーちゃんが不愛想なのはいつものこと。この六年間、政略結婚のメリットはしっかりと提示しているし、この上ない程好条件だ。
けれどミラは、彼が他の令嬢と結婚してしまうのではないかと、気が気でない。
(いつか『わたしで良いよ』って言って欲しいな)
そんな中、ミラは王
太子アルバートに連れられ、王宮へと向かう。そこで彼女が知ったのは、思いがけない真実で――――?折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2022-09-09 23:04:14
11199文字
会話率:36%
IN:0pt OUT:27pt
総合ポイント:14690pt 評価ポイント:13126pt
これは三つの『ショウヒン』から成る物語。
一つは蜘蛛。
狂気を演じることはできない。
仮面は死が訪れた時に、必ず外れてしまうものである。
化粧は雨に打たれれば、流れ落ちてしまうものなのだ。
ゆえにこそ神は我々をこう呼ぶ。
道化師――ピエロと。
有象無象の愚民共よ。
命尽きる時まで踊り、歌い、叫び、喚くがいい。
それが賢明な行いだと、心の底から信じるのならば。
真に能ある者よ。常日頃から君子たらんと研鑽を積んでいる者よ。
望むなら、この籠(かご)を覗いてみるがいい。
さすれば
世界の真理に至る扉への道が、目の前に現れることだろう。
諸君等の旅が、実(みの)り多きものになることを私も望んでいる。
あなた様に、幸があらんことを。
一つは蝶。
多くの者は、才能がないことに苦しむ。
自分にしかできないこと。自分だけに与えられた役目を全うすること。
決められた道をただ歩くだけの人生――それはどんなに素晴らしいものだろう。
動物で例えるなら、孔雀。虫で例えるなら蝶。
彼等は美しさという、唯一無二の贈り物(ギフト)を持っている。
では孔雀は幸福なのだろうか。蝶は苦など知らずに一生を終えることができるのか。
有象無象の愚民共はそんなこと、一度たりとも考えもしないだろう。
私の疑問を笑い飛ばして、踵を返して自身の人生にさっさと戻っていくことだろう。
足を止めた者よ。世界の真理を追い求める者達よ。
どうか、この虫籠の中を覗いてみてほしい。
きっと諸君等を阻(はば)んでいる、閉ざされた扉を開くための鍵が手に入るはずだ。
理想郷への道は、すぐそこにある。
一つはひぐらし。
ようこそ。お疲れでしょう、ゆっくり身も心も休めてください。
ここがあなた様達が求め探していた場所です。
いかなる望みも、願いもかなえられる。
嘘など申しておりません。紛(まが)うことなき真実ですとも。
疑うならば、試してごらんなさい。
言の葉の力が、あなた様の願望をたちまち叶えることでしょう。
ただし、楽園にいらっしゃる方はあなた様だけではございません。
すぐに他の方々も集まることでしょう。
願いと願いが搗(か)ち合い、望みと望みが鍔迫(つばぜ)り合いを始める。
ええ、そうです。
あなた様が魂(いし)を持つ限り、争いから逃れることはできません。
さあ、いかがいたしますか?
あなた様の選択――見届けさせていただきます。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2022-08-30 18:04:03
142324文字
会話率:35%
IN:0pt OUT:48pt
総合ポイント:16pt 評価ポイント:10pt
作:神連 カズサ
ハイファンタジー
完結済
N9818HT
「赤鬼」と言う異名で恐れられている女性騎士、桔梗。
上官のシアン大佐と共にとある密輸組織を追っていた彼女は無事に任務を終え、作戦本部に帰還しようとしていた。
踵を返した桔梗の元に、空から少年が降ってくる。
――友達を助けてほしい。
彼の一言で桔梗は世界を左右する戦いに巻き込まれていく。
狂ってしまった龍に少女の声は届くのか。
龍×少女、バトルファンタジー。
最終更新:2022-08-19 14:00:00
112684文字
会話率:40%
IN:0pt OUT:93pt
総合ポイント:14pt 評価ポイント:12pt
作:ヨルノソラ
現実世界[恋愛]
完結済
N4653HR
「だから、明日はどうしても外せない用事があってさ……」
「あたしよりも大事な用なわけ?」
「そ、そうは言ってないだろ。ただ、ずっと行きたかったライブなんだよ。デートはいつでも出来るけど、ライブは明日しかないし……」
「じゃあ選んでよ。あたしとデートするか、あたしと別れてライブに行くか」
「ま、待てよ。何でそんな極端な話になるんだっ」
「朝十時に渋谷駅集合ね。遅刻しても別れるから」
彼女は端的に告げると、踵を返して帰路に就いてしまう。
追いかけようにも、その気力が湧かなかっ
た。
どうせ、何を言ったところで聞く耳を持ってくれない。
──これまでの経験則から、俺はすでに諦めてしまっていた。
※カクヨムにも投稿しています。
※誤字脱字ありましたら報告していただけますと幸いです。
折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2022-07-24 20:05:48
73582文字
会話率:48%
IN:0pt OUT:43pt
総合ポイント:16066pt 評価ポイント:9142pt
7年間連れ添った最愛の婚約者であるジルベールの目の前で、コレットの体重に耐えきれなかったハイヒールの踵は、無残にもまっぷたつに折れた。
ことを重大にとらえた彼女は、意を決してダイエットに励む。オフシーズンに領地に籠り見違えるほどの変貌を遂げたのだが――
時すでに遅く、舞踏会シーズン初めに婚約者のジルベールの浮気現場に遭遇してしまい、7年越しの婚約はあっさりと解消されてしまったのだった。
やけ食いによるリバウンド!
友人からの叱咤激励!
新しい恋の予感!
翻弄されるコレ
ットの舞踏会シーズンが今はじまる?!折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2022-06-27 07:00:00
105210文字
会話率:43%
IN:0pt OUT:82pt
総合ポイント:19686pt 評価ポイント:15466pt
「にゃあ」猫に呼ばれた。
その綺麗な白い猫は私と目が合うと、まるで誘うように踵《きびす》を返して路地裏の細い道に入った。
猫を追った先で眺めた風景、そして会いたかった人、伝えたかった言葉。
最終更新:2022-05-17 12:19:16
3204文字
会話率:17%
IN:0pt OUT:38pt
総合ポイント:42pt 評価ポイント:38pt
あたりまえじゃなものを、あたりまえのように享受する。
その礎を知らずに、恩恵だけにありつく。
痴れ者を戒めよ。
最終更新:2022-03-13 22:41:20
226文字
会話率:0%
IN:0pt OUT:13pt
総合ポイント:8pt 評価ポイント:6pt
青年が筋トレを始めるが、不可解なことが起きる。
最終更新:2022-03-08 11:48:34
242文字
会話率:0%
IN:0pt OUT:62pt
総合ポイント:0pt 評価ポイント:0pt
都会に憧れた彼女は、故郷の町を捨て去った。
夢見ていた都会で。
赤い靴をはかされ、踊らされる、その末路は?
最終更新:2022-01-27 00:00:00
435文字
会話率:0%
IN:0pt OUT:21pt
総合ポイント:0pt 評価ポイント:0pt
弱音なら、口にするのもはばかられる。
認めずに、前に進むことが強さだと信じてきたから。
だけど、本当は。
こんなふうに、誰かに声をかけてほしいのかもしれない。
最終更新:2021-12-27 07:00:00
322文字
会話率:0%
IN:0pt OUT:1pt
総合ポイント:30pt 評価ポイント:30pt
カウアンはトガル国の南端に馬を走らせていた。
数年前に海から侵攻してきたティング国の残党が村を荒らしているとの情報が入ったからだ。
トガル国各地に散っていた部隊を集めて残党を倒すことは出来たが、村は壊滅状態だった。
隊を撤退させたあと自分も戻ろうとした時、ある家屋で細い声がする。生存者かと中に入ると、賊の刀身を受けたであろう男が息絶え絶えに訴えてきた。
曰く、娘を村の奥にある森の大木のうろへ隠したと。
「どうか娘だけは、どうかトキを……」
頷くカウアンに、男はわずか
に笑みを浮かべ息を吐いた。
カウアンは踵を返して馬を走らせる。
ぽつりぽつりと顔に伝う雨をもろともせずに。
本作は長岡更紗さん主催
「小鳩さんブッ刺せ企画」に参加しています。
©️なななん2021
折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2021-12-19 18:53:33
4619文字
会話率:60%
IN:0pt OUT:30pt
総合ポイント:1216pt 評価ポイント:1066pt
画家をしている私ら妻と旅行に出掛けた先で、飛騨国の両面宿儺伝説のことを知った。自宅に帰った私は、顔が二つ。手足が一組ずつ。膝はあるが、膕と踵がないという両面宿儺を絵に描いていたが、ふと、両面宿儺は、どうやって歩いていたのかと疑問に思った。
最終更新:2021-09-10 18:17:11
2599文字
会話率:52%
IN:0pt OUT:90pt
総合ポイント:0pt 評価ポイント:0pt
リックは古今無双のスケべな妖怪ハンターです。
最終更新:2021-04-13 12:00:00
3816文字
会話率:47%
IN:0pt OUT:9pt
総合ポイント:0pt 評価ポイント:0pt
知らない街の落日と踵で石畳を鳴らす音。
最終更新:2021-04-01 00:00:00
19989文字
会話率:53%
IN:0pt OUT:94pt
総合ポイント:2pt 評価ポイント:0pt
多種族国家フィオーレ王国。様々な種族が暮らすこの国には、人々が容易に足を踏み入れない、否、侵入不可能な場所が存在していた。名を、メウヤアルの森という。陽も届かずいつもほの暗い鬱蒼とした深い森は、死を運ぶ毒草や凶暴な獣が蔓延っている危険な場所――人々は口を揃えて《還らずの森》と呼んだ。
誰も近寄らない、どんな猛者でも踵を返すようなそんな場所で、ひとつの出会いがあった――。
「…………君は何者だ?(何故、麻袋を被っているんだ?)」
「森に住む、た、只人、です(どどどどうし
よう。私喋ってる、人間と喋ってるわ)」
人々に避けられた深い森の中でひっそり生きる(引き籠る)ちょっと不思議な少女と、理由あって森に迷い込んでしまった青年が出会ったことから始まる物語。
※R15、残酷な描写タグは念の為の保険です。ストーリー上、残酷な描写があるかもしれないのでタグつけさせていただきました。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2021-03-29 20:00:00
18284文字
会話率:10%
IN:0pt OUT:71pt
総合ポイント:12pt 評価ポイント:6pt
彼女がロッキンホース・バレリーナの踵(かかと)を三回打ちつけても、行きたいところへ行けない。
だけど彼女がギターの弦を三回かき鳴らせば、世界はほんの少しだけ変わる。そんな気がする。
※この作品はカクヨムでも掲載しています
最終更新:2021-03-23 20:30:07
4546文字
会話率:40%
IN:0pt OUT:30pt
総合ポイント:8pt 評価ポイント:8pt
別作「王道、ふあんたじぃ」のサイドストーリーです。
閑話として挙げていたものを、別立しました。
『父親の領地が魔物の被害に会い、貧しくなった少女ミリエル。
彼女には思っている人がいたが、その思いを抱えたまま、新しい人生を歩むことになる。
父の持ち込んだ縁談から思わぬ展開がひきだされ、彼女は思い人と親しくなるが。
縁談の相手も不思議なことを言い出し始めて……』
「王道、ふあんたじぃ」先読み推奨です。
読まなくても、理解できるように書き進めていく予定ですが、
先に読んでい
ただければ、世界観などより一層理解していただけると思います。
※本作をはじめ、拙作の無断転載・内容の転用・翻訳をかたくお断りさせていただきます。
折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2021-01-17 22:31:47
1035文字
会話率:4%
IN:0pt OUT:24pt
総合ポイント:12pt 評価ポイント:10pt
副題 金狼姫は婚約破棄されたので好きにします
王国の第一王子には婚約者がいた。王国の伝統と格式ある公爵家の娘だ。公爵家には二人の娘がおり、どちらも美しさは折り紙付だった。
だが王子は、その英知で国内外に名が知れる長女ではなく、女だてらに剣を握り、金狼姫などとあだ名される次女が自身の婚約者であることが不満で仕方がなかった。そのうえ相手も全く自分に興味がない様子。
日々降り積もる不満はついに爆発し、王子は婚約破棄を令嬢にたたきつけた。
「王子、本当に、でしょうか」
「くどい! 貴様との婚約は破棄する。二度とその顔を私の前に見せるな!」
王子の三度目の言葉にほろほろと涙を零した令嬢は、素早く踵を返すと駆け出し、とある人物の腕の中に飛び込んだ――。
三十年前ぐらいの「目が合うだけで幸せだった」みたいな話を目指した。王子は紛れもなく当て馬ですので人によってはちょっとかわいそうに感じるかもしれません。いや王子はかなりのクズになり果てたのでたぶん可哀そうに思わないかも……。
最初は副題がタイトルで、ヒロインがメインのはずだったんですが、気が付いたら王子サイドで語られる王国史がメインになってしまった。ヒロインはハッピーエンドだよ!!!
なお、時代背景的な舞台装置として、女性蔑視、人権侵害ともとれる発言を登場人物が悪気なくしております。あくまでもそう言った時代であり、それが普通の世界である。という認識で一つお願いします。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2020-12-06 00:00:00
102719文字
会話率:31%
IN:0pt OUT:74pt
総合ポイント:8550pt 評価ポイント:5706pt
高校3年生の夏、彼の世界が大きく変わった。
「おっかしい、君面白い、興味が出た。霊体よりも蟻が怖いなんて、アハハハ。暑いしランチルーム、行きましょう、夏休み中は開放してあるから」
そう言うとサラサラと髪を揺らして、踵を切る彼女。足早に校舎へと戻る。その後を慌てて、ついて歩く。
――、嘘だ!虹子様が男といるぞ!人間なのか?
誰だ!あの野郎!狐かなんかが化けてるとか……。
いやぁ!虹子様が『穢けがれ』ちゃう!『男』といるぅぅ!
学園イチの美人さんの
玉虫虹子さんは、魑魅魍魎、妖怪怪異が見えるお方。そんな彼女に見込まれた、関山(せきやま )清(きよら)君は初恋の告白をすべく、彼女の助手になったのです。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2020-08-24 18:59:59
13809文字
会話率:39%
IN:0pt OUT:36pt
総合ポイント:62pt 評価ポイント:40pt
夏のホラー2020用の短い小説です!千文字ちょっとだよっ!
──地図にも表記されていないが存在するらしい既に廃れた駅を求め、ホラースポット巡り好きな詩春は自転車を漕いでいた。
突如現れたその駅に入ると、雰囲気が違った。
しかし特別何も起こりそうになく、帰ろうと踵を返すと……?
最終更新:2020-07-09 23:08:23
1455文字
会話率:37%
IN:0pt OUT:13pt
総合ポイント:16pt 評価ポイント:16pt
リックは古今無双のスケベなイケメン妖怪ハンターです。
最終更新:2020-06-07 12:00:00
2429文字
会話率:35%
IN:0pt OUT:96pt
総合ポイント:36pt 評価ポイント:32pt
ある夏の日の朝、いつものように登校した僕は、自分の靴箱にラブレターが入れられていることに気付いた。差出人不明でなんか怪しいし、周囲の冷やかしが鬱陶しいけど、手紙に指定された日時と場所で待つことにした。だけど、時間になっても誰も来ない。程度の低いイタズラだったかと踵を返そうとしたその時、あの悲しい事件が起こってしまったんだ。
最終更新:2020-05-06 18:00:50
17592文字
会話率:50%
IN:0pt OUT:1pt
総合ポイント:4pt 評価ポイント:4pt
誰にでも、悩みはある。その種は知らないうちに、根を張り深く絡みつく。無骨で堅物な“僕 ”と、ある日出会ったすれた女子高生の“佳香さん ”。僕たちの『問題』は、不思議な現象と共に、少しずつだけれど前に、踵を鳴らして歩み始める。
ー葛藤の終止符は、不思議な出会いと共にー
※ただ今一話目からリブート中です。もう読まれた方、またはまだ読まれていない方も、是非一話から楽しんで頂けると幸いです。
最終更新:2020-05-02 23:24:42
39443文字
会話率:50%
IN:0pt OUT:23pt
総合ポイント:51pt 評価ポイント:37pt
多少のコミュ力がある普通の高校生、宇治 水沙(うじ みなざ)はいつも通りの何気ない日常を送っていた。
しかし下校時、道端で見慣れない野良猫を見つけその毛並みの美しさに目を奪われてしまう。猫を通り過ぎ、前を見ると前方からは携帯片手に不安定な運転をする自転車が。それに気付かぬ猫を助けるため、宇治は猫を移動させようと踵を返すが…。
最終更新:2020-04-18 19:40:26
5333文字
会話率:22%
IN:0pt OUT:75pt
総合ポイント:0pt 評価ポイント:0pt
ここはルビシア王国のとある学園。
中庭の少し背の高い木々に囲まれたベンチである男女が寄り添っていた。
男は第一王子のギルベルト。
女は男爵令嬢のアリス。
近くに護衛を置くこともなく、人目に触れる事も厭わず顔を寄せ合い幸せそうな空気を醸し出している。
その様子を確認していたギルベルトの婚約者であり、公爵令嬢ヴィクトリアは溜息を吐いたのち、踵を返したーーー
最終更新:2020-04-06 19:51:11
7747文字
会話率:62%
IN:0pt OUT:0pt
総合ポイント:16418pt 評価ポイント:13200pt
究極の方向音痴が災いして、スカーレットは奇妙な森に迷い込んでいた。
そこは仄暗く、生暖かく、湿っぽい風が絶えず吹いている。
これまでの世界とは根本から違うようだった。
土に根を張れなかったのか、根を剥き出しにした花が前を横切った。
そこの低い枝では、片翼しかない番の鳥が抱き合って飛ぶ練習をしているが、毎回墜落している。
そこへ胡散臭い猫がやってきた。
「おい、そこの赤髪、罪の象徴。
どうやってここに来た?」
彼女はそれが一番分からなくて困っている。
猫は着いて来いと合
図しているが、何者かに引き止められた。
「そっちは、奥まで続いてて更なるカオスです」
彼女を引き止めた少年だ。
手足が折れそうな程に細い。
「カオスへ行けばもう帰れないですよ」
「私は帰れるのかしら?」
少年はタキシードにシルクハットという出で立ちで、どうしてそんな礼装を着込んでいるのかが気になるが、その疑問は後回しにする事にした。
「うん、僕と一緒なら」
いいかな?
と俯き加減で自信がなさそうに言う。
「そう」
スカーレットは踵を返し、来た道を戻ろうとしている。
「勝手にすれば」
少年はパッと明るい笑顔を灯してスカーレットの隣を歩く。
「道案内してくれない?方向音痴なの」
「知ってる。全然違う方向に向かってるよ」
「…そう」
この奇妙な森を抜けて、その先にはスカーレットが生きる世界が広がっていた。
朝日に透けた彼女の髪は、より一層鮮やかに輝いた。
色褪せた森で生きてきた少年にとって、衝撃の色彩だった。
「名前、教えて」
「…スカーレット。あんたは?」
「僕に名前はないんだ。
ずっと昔あったかも知れないけど、忘れた」
「ふーん、変なやつね」
「この世界には、あなたの赤い髪より美しいものはある?」
「もちろん、たくさん、ね」
スカーレットは笑った。
逆光を受けたその姿は、女神と見紛う程で、少年はスカーレットに神秘を見た。
これが、世界を慈しむ旅に出た2人が織り成す、冒険譚の始まりである。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2020-03-06 14:47:55
15696文字
会話率:25%
IN:0pt OUT:47pt
総合ポイント:0pt 評価ポイント:0pt
昔通った高校を訪ねてみた。卒業以来のことで、面影も感慨もなかった。
踵を返し坂を降り歩くと、前を下校する学生たちがいて、気づくとその中にわたしがいる。
最終更新:2019-12-14 17:27:59
1479文字
会話率:31%
IN:0pt OUT:19pt
総合ポイント:0pt 評価ポイント:0pt
超能力は当たり前の世界だった。
人々は皆、生まれる時に超能力が産声となって現れる。
そんな世界でただ一人、産声を上げずに産まれた赤子がいた。
彼は今年で高校二年生になった。いつまでも超能力が発現しないことで周りから浮き、虐められるのがこの世界のルールだと、本人も受け入れつつあった。だが。
「柏木美琴です」
この転校してきた美少女によって彼の運命は大きく変化を遂げた。
「柏木、一番後ろの席が空いてるからそこに座れ」
「いいえ」
先生にそう言い放つと、踵を返して彼の元へ駆け寄り、
「久し振りだね、お兄ちゃん」
思いっきり抱きついたのであった。
彼が動揺を隠しきれないうちに以前からの顔見知りで親しかったということで隣の席を獲得した美琴は、それから彼のそばを離れることは無かった。授業中に放課後、家の前まで送ってきたり、朝に出迎えてきたりしていた。ことの中心にいる彼はといえば、単純に彼女に流され続けていた。
折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2019-09-17 14:51:29
638文字
会話率:38%
IN:0pt OUT:70pt
総合ポイント:0pt 評価ポイント:0pt
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