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検索結果:143 件
「エスメラルダ、ただ今をもって、君との婚約を破棄する!」
「…………は?」
あまりにも仕事が忙しく9徹の真っ最中だった私は、オフィスで倒れてしまった。
が、気が付くと私の目の前には、妙にキラキラした金髪のイケメンが、ドヤ顔で立っていた。
こ、こいつは……!
辺りを見渡すと、これまたキラキラした貴族風の男女に囲まれたキラキラ空間。
そして頭に伸し掛かる、ズッシリとした重み。
ふと触れると、そこにはケバブかよってくらいぶっとい、金髪縦ロールが。
――間違いない。
ここは私がやり込んでいた乙女ゲー、『あなたに捧げる悠久の唄』――通称『あな悠』の世界だわ!
私はあな悠の悪役令嬢である、エスメラルダになっているらしい。
――なるほど、さてはこれは夢ね!
流石に9徹が響いた私は、遂に寝落ちしてしまったに違いないわ。
ううむ、寄る年波には勝てないものね。
「オイ! 何とか言ったらどうなんだ、エスメラルダ!?」
「え? ああ、はいはい」
エスメラルダの婚約者である、王太子のヘルマンがギャンギャン喚いている。
ヘルマンは所謂メイン攻略対象キャラなので顔はいいのだが、如何せん性格がガキすぎて私の好みじゃないんだよなー。
――まあいいや。
ここが夢の中なら、またとないチャンス。
仕事で溜まった鬱憤を、存分に晴らさせてもらおうじゃないの!
「覚悟しろよエスメラルダ! 僕は絶対に貴様を――」
「セーーーイ!!!」
「ぶべらっ!?」
私はヘルマンの頬に、渾身のビンタを喰らわせてやった。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2024-05-10 21:03:17
2988文字
会話率:30%
IN:0pt OUT:9pt
総合ポイント:0pt 評価ポイント:0pt
「でね、その従姉妹の家で飼ってる猫ちゃんが、凄く警戒心が強くてなかなか私に懐いてくれないんだけど、おやつをあげた時だけはすぐ近寄って来て、夢中で食べてくれるのが、超可愛いの!」
「……そうか」
とある放課後の教室。
そこで俺はいつものように、隣の席の朝比奈と二人で、世間話に興じていた。
……嗚呼、今日も朝比奈は可愛い。
小動物を彷彿とさせる、小柄な身体とくせっ毛の髪。
いつもニコニコ笑っている、太陽みたいな明るい性格。
朝比奈は元来口下手でコミュ障な俺に、唯一優
しく話し掛けてくれた、天使のような存在だった。
そんな俺が朝比奈に分不相応な恋心を抱いてしまったのは、言わば必然だったのだと思う。
「……あー、ごめんね田村くん、また私ばっか喋っちゃって」
「……いや」
そんな、気にしないでくれよ朝比奈。
俺は朝比奈が楽しそうに話しているのを見てるだけで、赤スパを投げたいくらい心が満たされてるんだから……。
「私なんかと喋ってても、田村くんは楽しくないよね……」
「――!?」
朝比奈!?
いつも笑顔を絶やさない朝比奈が、目に見えてしょぼんとしてしまった。
嗚呼、違うんだ朝比奈ッ!
俺はただ口下手なだけで、楽しくないから話さないわけではないんだッ!
「あっ、もうこんな時間。私、家の手伝いしなきゃいけないから、先帰るね。またね、田村くん」
「……あ、あぁ」
何か言わなきゃという焦燥感に駆られたものの、結局喉から言葉は出ないまま、寂しそうに一人帰って行く朝比奈の背中を、俺はただぼんやりと眺めていた――。
「……はぁ」
その後俺は、藁にも縋る思いで、隣町にある占いの館で俺と朝比奈の相性を占ってもらうことにした。
「す、すいません」
勇気を出して仰々しい扉を開けると、店内は間接照明でいかにもオカルティックな空気を演出していた。
「あっ、いらっしゃいま……せッ!?」
「?」
狭い店内の中心に座っていた占い師風の人物が、俺の顔を見るなり、露骨に狼狽えた素振りを見せた。
占い師さんは顔を物々しい仮面で隠しており、声もボイスチェンジャーで加工しているので性別すら不明だが、体格的におそらく女性だろうと思われた。
「あのー、俺の顔に何かついてますか?」
「い、いえいえいえいえいえ! 何でもありません! ど、どうぞお掛けください!」折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2024-05-03 21:01:40
6678文字
会話率:54%
IN:0pt OUT:10pt
総合ポイント:514pt 評価ポイント:468pt
「映画凄い面白かったですね!」
「え?」
映画館で偶然隣の席になった、二十代中盤くらいの同年代の美女から声を掛けられた俺。
これをキッカケに俺と美女は仲良くなり、毎週末一緒に映画を観に行くような間柄になった。
彼女の名前は三奈戸伊織さんといった。
三奈戸さんは見た目の割に子どもっぽい一面もあり、そのギャップに俺の心は惹かれていった――。
そんなある日。
どうやって三奈戸さんに告白しようか悩みながら、会社帰りに一人で裏路地を歩いていると――。
「あっ、脇田さん
!」
「っ!」
後ろから不意に、声を掛けられた。
こ、この声は――!
「あっ、三奈戸さ、ん……?」
振り返ると案の定、そこにいたのは三奈戸さんだった。
だが、三奈戸さんの格好を見た俺は、その場で完全にフリーズした。
――三奈戸さんは、高校の制服を着ていたのである。
な、なにィイイイイイイ!?!?!?折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2024-04-19 21:01:54
5558文字
会話率:45%
IN:0pt OUT:14pt
総合ポイント:1506pt 評価ポイント:1270pt
「アハハ、何これー!」
「ん?」
今日も用事もないのに、何故か俺の部屋でゴロゴロしている幼馴染の沙也が、唐突に大笑いした。
「何だ? 何か面白いもんでもあったか?」
「これこれ、見てよ功輔!」
沙也に差し出されたスマホの画面を見ると、そこには時間を止める能力を手に入れた男が、女性にあれこれエッチなことをするという内容の、エロ漫画の広告が流れていた。
「これのどこが面白いんだ?」
「えー!? メッチャ面白いじゃん! そもそもまず唐突に時間を止められるようになるのが意
味不明だし、仮に止められるようになったとしても、それでいきなりエロいことに及ぼうとするのも、思考回路ブッ飛んでるじゃん!」
「そうか? でも、エロ漫画ってそういうもんだからなぁ。整合性を求めるだけ、野暮ってもんだぞ」
「……へー、随分エロ漫画に詳しいんだね功輔は。まあ、功輔も思春期の男子高校生だもんねー。そっかそっかー、うんうん」
クッ、いつもそうやってからかいやがって!
……何とかして沙也に仕返ししてやれないものか?
「……!」
その時だった。
立って部屋から出て行こうとしたまさにその刹那、壁に掛かっているアナログ時計が止まっているのが目に入った。
ああ、また止まってる。
この時計は最近調子が悪く、たまに止まってしまうことがあるのだ。
……あ、そうだ。
ここは一つ、これを利用して――。
「ほえ? どうしたの功輔?」
俺はその場で、パントマイマーみたいにピタリと身体を止めた。
これぞ、時間が止まったフリ!
「おーい功輔? 功輔ってばー?」
俺の顔の前で手をブンブン振ってくる沙也をガン無視して、尚も時間が止まったフリを続ける俺。
さて、沙也はどんなリアクションをするかな?折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2024-04-05 21:02:10
3858文字
会話率:41%
IN:0pt OUT:22pt
総合ポイント:1988pt 評価ポイント:1730pt
「ねえねえ、星凪さんはさ、好きな人いないの?」
「え? す、好きな人?」
「「「――!!」」」
とある昼休み。
ゴシップ好きで有名な黒川さんが、星凪さんに唐突にそう尋ねた。
その瞬間、クラス中の男子から息を吞む気配がした。
さもありなん。
星凪さんはクラス一の美少女で、大半の男子は星凪さんに片想いしていると言っても過言ではない。
その星凪さんに、好きな男がいるか否かという質問なのだ。
そりゃ気にならないほうが噓ってものだろう。
「う……うん。いないことも……
ないような」
「「「っ!!?」」」
男子たちに電流走る――。
いた……、星凪さんに、好きな男が――!(倒置法)
これは世界を揺るがしかねない大事件だ。
今までまったくそんな素振りは見せなかったというのに。
やはり星凪さんも年頃の女の子。
そりゃ好きな男の一人や二人、いて当たり前だよな。
だがこうなると、俄然誰がその相手かというのが気になってくるが――。
「えー! そうなんだー! ねえねえ、誰か教えてよ、教えてよー!」
「そ、それは、流石にここじゃ……」
うん、そりゃそうだ。
こんなクラス中の人間が聞き耳を立ててるところじゃ、言えるわけないよな。
「あー、そっかー。じゃあゲームしようよ! 今から私が、『はい』か『いいえ』で答えられる質問を4回だけするから、それで星凪さんの恋の相手が誰か推理するよ! それならいいでしょ?」折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2024-03-22 21:03:57
1909文字
会話率:33%
IN:0pt OUT:24pt
総合ポイント:3552pt 評価ポイント:3106pt
俺がこの高校に入部して、早や二ヶ月。
そろそろみんながどれくらい親しくなったか確かめるためと言って、担任の先生が、『一人三問、自分に関するクイズをみんなで出し合う』というレクレーションを開いたのだが、俺のように未だに友達が一人もいないボッチ男には、ハッキリ言って拷問以外の何物でもない。
そんな中、クラス中の視線を一身に受けているのは、『氷の女王』の異名を持つ雪村さん。
雪村さんは男女問わず魅了する絶世の美貌を持っているにもかかわらず、普段は誰かと会話することは滅多にな
く、いつも教室で一人本を読んでいる、孤高の存在。
それだけに、雪村さんがどんな答えを書くのかが一番の注目ポイントだったのだが、雪村さんはここまで出された問題全てに対して、『わかりません』としか答えていなかった――。
「よし、では、次は福永の番だな」
「あ、は、はい」
そして遂に、俺が問題を出す番がきてしまった。
だが、大丈夫。
俺は無難な問題を用意してきたからな。
その問題とは――。
「で、では、第一問です。俺の身長は、何センチでしょうか?」
これである。
これなら大体見た目で、誰でも何となくはわかるからな。
因みに答えは173.4センチ。
まあ、雪村さんの答えは、どうせ今回も『わかりません』なんだろうが……。
――が、何と雪村さんが出した答えは、『173.4センチ』で……!?折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2024-03-08 21:07:39
3643文字
会話率:25%
IN:0pt OUT:27pt
総合ポイント:3884pt 評価ポイント:3406pt
「実は俺は、NTR属性を持っているんだ!」
「…………ん?」
「俺は、NTRれることに快感を覚える、生粋のNTR男なんだよッ!!」
「先輩ッ!?!?」
同じソフトテニス部の尊敬する阿藤(あとう)先輩から、突然衝撃のカミングアウトをされた俺。
「だから俺から――妹の麻里子(まりこ)を寝取ってほしいんだッ!」
「――!!?」
阿藤先輩の妹であり、ソフトテニス部のアイドル的な存在でもある阿藤麻里子さんは、重度のブラコンで、阿藤先輩のことが大好き。
そんな妹のことを、阿藤
先輩も溺愛している。
だが、生粋のNTR男である阿藤先輩は、俺に妹を寝取ってほしいと懇願してきたのであった――。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2024-02-23 21:04:39
4930文字
会話率:49%
IN:0pt OUT:40pt
総合ポイント:904pt 評価ポイント:796pt
入社二年目の平凡なサラリーマン筒井(つつい)は、『氷の女王』の異名を持つ美人キャリアウーマンである先輩の浅霧(あさぎり)に、入社以来ずっと片想いをしている。
だが毎日筒井は仕事で浅霧に叱られてばかりで、男女の仲になれる雰囲気は微塵もなかった。
そんなある日、筒井は官能小説投稿サイトで、浅霧が書いたとしか思えない、こんなタイトルの小説を発見してしまう――。
『キャリアウーマンは性奴隷!? ~オフィスで繰り広げられる、禁断の雌犬調教~』
最終更新:2024-01-19 21:03:43
5010文字
会話率:38%
IN:0pt OUT:34pt
総合ポイント:994pt 評価ポイント:870pt
「お兄ちゃん、起きて起きてー」
「んん?」
夏休み初日。
優雅に惰眠を貪っていると、9歳になる妹の葉那(はな)に無理矢理起こされた。
「勘弁してくれよ葉那。俺は夏休みの間は毎日昼まで寝るっていう縛りを課すことで、呪力を底上げしてるんだよ」
「そういうのはいいからー。ラジオ体操に連れてってよー」
「ラジオ体操?」
葉那が?
確かにラジオ体操は夏休みの風物詩ではあるが、毎日家でアニメばかり観てる、生粋のインドア派である葉那がラジオ体操だと?
どういう風の吹き回しだ
?
ひょっとしてこの葉那はもう死んでいて、遺体をドラゴンが操っている状態だとでもいうのだろうか?
「あのね、ブリキュアがラジオ体操やってるんだって!」
「…………は?」
どゆこと?
「ほらお兄ちゃん、あそこだよ!」
「……おお」
眠い目を擦って葉那と二人で駅前の公園に来たところ、そこには既に10人近い人が集まっていた。
しかもそのほとんどは、葉那と同年代の女児ばかり。
「よい子のみんな、よく来てくれたね! これから私と一緒に、ブリキュア体操頑張ろう!」
「「「おー!」」」
その女児たちの前でカッコイイポーズを決めているのは、現在放送中の『バーニングブリキュア』の主人公である、『ブリレッド』のコスプレをした20歳前後の美女。
炎をモチーフにしたフリフリのミニスカドレスを身に纏っており、髪もブリレッドと同じく真っ赤に染めている。
なかなかに本格的なコスプレだ。
だがその中で、首に下げているシルバーのネックレスだけは浮いていた。
はて?
ブリレッドはあんなネックレスはしていなかったはずだが?折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2024-01-05 21:03:01
5428文字
会話率:43%
IN:0pt OUT:37pt
総合ポイント:1078pt 評価ポイント:944pt
「ごめんね下井(しもい)君、待った?」
「い、いや、俺も今来たとこだよ」
文化祭当日。
ドキドキしながら自分の教室の前で竜田(たつた)さんを待っていると、メイド服に身を包んだ竜田さんが現れたので、心拍数が更に53万くらい上がった。
竜田さんのクラスの出し物がメイド喫茶だというのは聞いていたが、頭の中でどれだけ思い描いていたメイド姿よりも、実物は可愛かった。
自分の想像力の乏しさを、改めて実感する。
「じゃあ時間もあまりないし、早速回ろっか」
「うん」
竜田さん
と並んで歩きながら、俺はそっとポケットの中のシールの感触を確かめる。
同じ文芸部の竜田さんに片想いして早や半年。
何度もチャンスはありながらも、今まで告白できずにいたヘタレな俺だが、今日こそは決めてみせる!
そのためには、このハート型のシールが必要不可欠。
うちの高校には、代々『文化祭当日好きな人に気付かれずに、身体のどこかにハート型のシールを貼れたら両想いになれる』というジンクスがあるのだ。
毎年何組かは、このジンクスのお陰でカップルが誕生しているらしい。
だからこそ俺は何としても、今日中に竜田さんの身体にシールを貼らなければいけないのだ――!
※「なろうラジオ大賞5」の参加作品です。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2023-12-22 21:02:05
1000文字
会話率:38%
IN:0pt OUT:42pt
総合ポイント:646pt 評価ポイント:592pt
子爵令嬢のエルゼは、貴族学園に通う一年生。
エルゼは学園祭の出し物として、祖父の故郷の文化である『落語』を披露し、会場を爆笑の渦に包み込んだ。
だがその直後、落語を観ていた生徒会長の公爵令息から、「おもしれー女」と言われ……!?
最終更新:2023-12-15 21:06:18
13584文字
会話率:53%
IN:0pt OUT:81pt
総合ポイント:1734pt 評価ポイント:1584pt
将春(まさはる)と加奈子(かなこ)は、チャンネル登録者数60万人超えの『マサカナチャンネル』を運営している、幼馴染の高校生配信者コンビ。
ある日、『マサカナチャンネル』の人気企画の一つ、『緊急ドッキリ企画』で将春がライブ配信中、加奈子に「実は俺、引っ越すんだ」ドッキリを仕掛けたところ、「ずっと前から好きだったのにッ!!」と号泣されて……!?
最終更新:2023-12-08 21:03:19
5983文字
会話率:73%
IN:0pt OUT:46pt
総合ポイント:2444pt 評価ポイント:2068pt
高校生男子の鴨川洋一(かもがわよういち)は、累計発行部数50万部を突破している人気ラノベ、 『防犯ブザーと伊達メガネ』の作者、『タラコ紳士』である。
だが洋一は、自分が『タラコ紳士』だということを、クラスの誰にも言えないでいた。
何故なら『防犯ブザーと伊達メガネ』のヒロインは小学五年生の女の子で、しかもそのヒロインのモデルは、クラスメイトで新人アイドル声優でもある姫島(ひめじま)さんだからだ――。
もしも密かに姫島さんを小学五年生女子のヒロインのモデルにしていることがクラスメ
イトにバレたら、ロリコンストーカー野郎のレッテルを貼られることは必至――。
だからこそ洋一は、『タラコ紳士』であることを、何としても隠し通さねばならないのだった。
――だがそんなある日、ふとしたことから、クラスメイトに洋一の正体がバレてしまい……!?折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2023-11-24 21:02:36
6478文字
会話率:37%
IN:0pt OUT:72pt
総合ポイント:1334pt 評価ポイント:1150pt
「ハァ……、ハァ……!」
とある放課後の帰り道。
人気のない河川敷の高架下まで来たところで、いつもの発作が起きた。
だが、ここまで酷いのは初めてだ……。
全身から脂汗が噴き出て、視界が歪む。
「うっ……があああああッ!!」
俺の上の二本の犬歯が伸び、鋭く尖った。
「クッ、クソッ!」
思わず右の拳をコンクリートの壁に打ちつける。
「…………あっ」
すると、壁が拳の形にポッカリと陥没してしまった。
ヤ、ヤバい……。
力が制御できなくなってる……。
――俺は所謂吸血鬼だ。
中世の吸血鬼狩りで大分数を減らした吸血鬼だが、現代でも僅かながらその子孫は残っている。
俺もその一人。
吸血鬼は思春期になると、今の俺のように吸血衝動が抑えられなくなって発作が起きるのだ。
とはいえ、誰かの血を吸って吸血鬼だとバレたら、人間に駆除されるのは必至。
俺は血が吸いたい本能と、吸ってはいけないという理性の間で、板挟みになっていた。
「と、虎木君!?」
「――!!」
その時だった。
聞き慣れたアニメ声がしたので振り返ると、そこにはクラス一の美少女である十文字さんが、大きな瞳を更に見開きながら立ち竦んでいた――。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2023-11-03 21:14:46
9079文字
会話率:46%
IN:0pt OUT:60pt
総合ポイント:1698pt 評価ポイント:1440pt
「じ、実は私――ずっと理駆(りく)くんのことが好きだったのッ!」
「――!」
とある放課後の校舎裏。
俺は親友である遡螺(そら)の妹の、羽御(うみ)ちゃんから告白された。
――だが俺は、これが噓告白であることを知っている。
昼休みに遡螺から、「羽御が放課後お前に噓告白するぞ」と聞かされていたのだ。
確かに羽御ちゃんはラノベの表紙に載ってるレベルの超絶美少女で、凡人の俺とは住む世界の違う人間。
羽御ちゃんが俺なんかのことを好きになるわけがないから、噓告白だというの
もさもありなんといったところだ。
とはいえ、ここで断るのも大人げない。
俺は遡螺に頼まれていた通り、騙されたフリをして羽御ちゃんの告白にOKした。
すると――。
「ほ、本当に!? ――嗚呼、夢みたい。り、理駆くん、大好きだよおおおお!!!」
「っ!?」
羽御ちゃんがガバリと俺に抱きついてきたのである。
んんんんんんんん!?
これ、本当に噓告白だよね!?折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2023-10-20 21:03:47
6399文字
会話率:46%
IN:0pt OUT:69pt
総合ポイント:4642pt 評価ポイント:3958pt
俺は三度の飯より百合が好きな、生粋の百合スキーだ。
そんな俺が今一番推している百合ップルが、駅前の高校に通っているアカリちゃんとユイちゃん。
二人はいつも放課後に、駅前のシアトル系コーヒーショップのテラス席でお茶をしているので、俺もそこでキャラメルマキアートを飲みながら、二人がキャッキャウフフしている光景を眺めるのが日課になっていた。
今日も今日とてありがたく百合成分を摂取していた、その時だった――。
「おっ、アカリとユイじゃん。何してんのここで」
突如二人と同じ学校の制
服を着たのいかにもなチャラ男が、不躾に二人に声を掛けてきたかと思うと、「今から三人でデートしよう」と、とんでもないことを言い出しやがった!?
フザけんなよッ!!?
俺は百合の間に挟まる男が、宇宙一嫌いなんだよおおお!!!!
「オイ、やめろよッ! 嫌がってるだろッ!!」
気が付くと俺は、チャラ男の肩を掴んで喧嘩を売っていた。
――が、何故か俺はそのチャラ男に、異様に気に入られてしまい……!?折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2023-10-06 21:05:45
4143文字
会話率:37%
IN:0pt OUT:64pt
総合ポイント:1590pt 評価ポイント:1390pt
「ねえねえ冷川(ひやかわ)くん」
「ん?」
高校のとある昼休み。
隣の席の愛内(あいうち)さんが、いつもの朗らかな笑顔を浮かべながら話し掛けてきた。
はて?
「なんだい、愛内さん」
「えへへー、冷川くんは『愛してるゲーム』って知ってる?」
「ん、ああ、あの交互に『愛してる』って言い合って、最初に照れたほうが負けってやつでしょ」
「そうそう、それー!」
愛内さんはパァッと、夏が弾けたみたいな顔になった。
ふふ、ホント愛内さんは、見てて飽きないな。
「今から試し
に、私と冷川くんで愛してるゲームやってみようよ!」
「え、俺と愛内さんで……?」折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2023-09-22 21:07:51
1014文字
会話率:48%
IN:0pt OUT:57pt
総合ポイント:744pt 評価ポイント:662pt
アラサー独身OLの長瀬は、ある日の仕事終わりに、憧れの上司である島田課長に食事に誘われる。
突然の僥倖に舞い上がる長瀬。
しかも食事の最中に、課長から「大事な話がある」と言われ、心臓の高鳴りは最高潮に――!
が、次の瞬間、飲酒運転で暴走したトラックが店内に突っ込んで来て、長瀬は命を落としてしまった――。
かに見えたが、その直後なんと長瀬は『学園に咲く一輪の薔薇』という乙女ゲーの悪役令嬢である、エステルに転生していたのだった。
しかも長瀬と同時に死んだ島田課長も、エステルの婚約
者であるカーティス王子に転生したことが発覚。
このままゲームの通りにシナリオが進めば、エステルの断罪エンドは避けられない。
果たして二人は、ゲームシナリオという絶対的な運命を変えることはできるのか――。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2023-09-15 21:06:57
8455文字
会話率:41%
IN:0pt OUT:99pt
総合ポイント:1658pt 評価ポイント:1520pt
「やっほー、現実世界恋愛おにいちゃん、元気ー?」
「っ! 異世界恋愛ちゃん……」
ここは日本有数の小説投稿サイト『小説家になりまっしょい』――通称『まっしょい』。
そのまっしょいで俺の隣に住んでいる異世界恋愛ちゃんが、突然俺の家に入って来た。
「なんの用かな異世界恋愛ちゃん。ちょっと今は忙しいから、できれば後にしてもらいたいんだけど」
「プププー! またそうやって忙しいアピールしちゃってー。どうせ暇なクセにー」
「くっ……!」
異世界恋愛ちゃんはこれでもかというニ
ヤケ面を浮かべながら、俺を煽ってくる。
この子は本当に……!
「ねえねえところで今日の日間ランキング、現実世界恋愛おにいちゃんは見たー?」
「……ああ、見たよ」
朝昼晩と一日三回、日間ランキングが更新されるたび、欠かさずチェックはしている。
「キャハハ! 見たんだー。現実世界恋愛おにいちゃんの一位の作品、今日も日間ポイントは1000くらいだったよねー」
「……ああ、そうだね」
ここ最近の俺の日間一位は、大体いつもそれくらいだ。
「そっかそっかー。因みにアタシは何ポイントだったか知ってるー?」
「…………1万ポイントでしょ」
「キャハハハハッ!! だーいせーいかーいッ!! つまりアタシと現実世界恋愛おにいちゃんの実力差は、10倍もあるってことなんだよねー。キャハハハハ! やーい、やーい、現実世界恋愛おにいちゃんのざぁこ♡ざぁこ♡」
「――!!」
(※本作はあくまでフィクションです。実在の人物、団体などとは一切関係がございません。あらかじめご了承ください)折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2023-09-08 21:01:14
2116文字
会話率:61%
IN:0pt OUT:66pt
総合ポイント:556pt 評価ポイント:520pt
みなさんどうもこんにちは。
『突撃! 隣の婚約破棄』のお時間がやってまいりました。
リポーターのヨネーケです。
本日私が訪れているのは、ここ、ニャッポリート王国でございます。
いやあ、緑が豊かで、本当にいいところですねー。
それでは早速行ってみましょう。
おお、これまた随分ご立派なお屋敷ですねぇ。
さぞかし名のある貴族のお家に違いありませんよ。
おやおや、どうやらお庭でホームパーティーの真っ最中みたいですね。
ちょっと覗いてみましょうか。
「オリヴ
ィア、ただ今をもって、君との婚約を破棄する!」
「そ、そんな!?」
あー、やってるやってる。
案の定婚約破棄が繰り広げられてますよ。
すいませーん、お取込み中失礼します。
「む? なんだ貴様は。どこかで見た顔だな……」
いやー、これは恐縮です。
『突撃! 隣の婚約破棄』、リポーターのヨネーケです。
「き、貴様があの!? ええい、今は忙しいんだ! 帰ってくれ!」
まあまあそう仰らずに。
少しだけお話を伺ったら帰りますから。
「クッ、ほ、本当に少しだけだぞッ!」
へへ、ありがとうございます。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2023-08-25 21:05:52
2412文字
会話率:38%
IN:0pt OUT:97pt
総合ポイント:1858pt 評価ポイント:1754pt
「ハァ……」
クソデカ溜め息を吐きながら、今日も一人会社へと向かう。
嗚呼、また月曜日が始まってしまった……。
なんで土日ってあんなに一瞬で過ぎ去ってしまうのだろう?
平日は体感十日くらいあるのに、土日は体感十二時間だ。
絶対に悪戯好きの妖精が時空を歪めてると思う……。
「ん?」
その時だった。
突如足元に魔法陣のようなものが浮かび上がり、それは眩いばかりの光を発した――。
えっ???
「おお! 成功だ! 悪役令嬢様が我が世界に降臨なされたぞ!」
「…………は?」
光が収まると、私はRPGとかによくある神殿の中みたいな場所に立っていた。
目の前にはやたらテンションの高い、神官服を着たハゲのオッサンが歓喜している。
こ、これは――!?
「え? なんのドッキリですかこれ? 私、これから出社しなくちゃいけないんで、こういうのはご遠慮したいんですけど……」
私はハッサン(※ハゲのオッサンの略)に、おずおずと声を掛ける。
「おお、これはこれは申し遅れました。私は神官長のハッサンと申します」
奇跡が起きたわ。
「残念ながらこれはドッキリなどではございません。あなた様はこの世界の救世主となっていただくため、悪役令嬢として召喚されたのです」
「……はぁ」
つまりこれは小説とかでよくある、異世界召喚ってこと?
……いや、でも、聖女として召喚とかならまだわかるけど、悪役令嬢として召喚ってのはどういうこと???
※高取和生様主宰『眼鏡ラブ企画』参加作品です。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2023-08-11 21:01:22
5397文字
会話率:39%
IN:0pt OUT:56pt
総合ポイント:2376pt 評価ポイント:2200pt
「ただいまー」
「もう! こんな時間までどこで遊んでたのよ晴太(せいた)くん! どうせまた友達の家でゲームばっかしてたんでしょ!」
「っ!?」
家に帰るなり開口一番、義妹の結愛(ゆあ)がいつも通りプリプリしながら文句を言ってきた。
完全に図星なのでなんと言っていいかわからず、「アハハハ」と乾いた笑いで誤魔化すことしかできない。
「もう! 来年は受験なんだから、浪人しても私は知らないからねッ!」
「わ、わかったよ。今から勉強するって」
「フンッ!」
頬をプクーと膨ら
ませながら、ドタドタと自室に戻って行く結愛。
父親の再婚で結愛が義妹になって早や半年。
何故か家族になった当初から、結愛は俺にだけは常にあんな態度を取っており、俺は未だに結愛との接し方に四苦八苦していた。
俺の帰りが毎日遅いのも、家で結愛と顔を合わせるのが気まずいからなのだが、そんなこととても本人には言えないしなぁ……。
どうしたものか。
「うふふ、晴太くん、ちょっと今いいかしら?」
「え? あ、はい」
その時だった。
義母の雪子(ゆきこ)さんが、いつものミステリアスな笑みを浮かべながら声を掛けてきた。
「ごめんなさいね、いつも結愛が失礼な態度を取って」
「あ、いや、その……」
これまたなんと言っていいかわからず、目を泳がせる。
「でもね、あの子も本当は素直ないい子なのよ」
「あ、はぁ……」
「その証拠を今から見せるわね」
「……は?」
証拠?折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2023-08-04 21:03:01
5013文字
会話率:48%
IN:0pt OUT:85pt
総合ポイント:1310pt 評価ポイント:1130pt
「ねえねえ宍倉(ししくら)くん! 実は折り入ってお願いがあるんですけど!」
「え?」
とある放課後。
帰り支度をしていると、隣の席の根古田(ねこた)さんから、唐突に声を掛けられた。
根古田さんは、道端で捕まえたカエルを親に見せつける子どもみたいな、無邪気な笑顔を浮かべている。
嗚呼、経験上こういう時の根古田さんは、大抵ろくなことを言わない。
俺は若干身構えつつも、「何かな? 内容によるけど」と慎重に聞き返した。
すると――。
「はい! 宍倉くんには、私のストー
カーになってもらいたいんです!」
「――!?」
そ……ッッ、そうきたかァ~~~ッッッ。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2023-07-21 21:04:33
4963文字
会話率:48%
IN:0pt OUT:77pt
総合ポイント:1674pt 評価ポイント:1458pt
俺と四方子(よもこ)さんは商店街にあるゲーセンの常連同士で、毎週日曜日の午後は一緒にメダルゲームで遊んでいる、親友とも呼べる間柄だ。
だが、何故かいつも四方子さんはサングラスとマスクをしており、素顔を見たことは一度もなかった。
ただ、四方子さんは明日から俺が入学する高校の一個上の先輩だということは聞いていたので、俺は密かに高校生活を楽しみにしていた。
――そして迎えた入学初日。
放課後に校舎を出たところで黒山の人だかりが出来ていたので何事かと窺うと、一人の女性をドーナツ状に大
勢の男女が取り囲んでいた。
みんな思い思いに「綺麗~」だとか「女神だ……」とか呟きながら、恍惚とした表情を浮かべている。
まるでちょっとした宗教画みたいな光景だ。
だが、中心にいる女性の顔を見て、腑に落ちた。
――その顔が、まさに宗教画の女神様並みに美しかったからだ。
サラサラの長い黒髪に、吸い込まれそうなほど輝く大きな瞳。
神が生み出したとしか思えない芸術品が、そこには存在していた。
そりゃみんなあんな風になるわな……。
「あっ! オォイ晴臣(はるおみ)! やっと見付けた、探したぜ!」
「「「――!?」」」
その時だった。
女神様が俺と目が合うなり、そう叫んだのだ。
こ、この声は――!?
「アッハッハ、なかなかブレザーも似合うじゃねーか、晴臣!」
「……四方子さん」
それは他でもない、四方子さんその人だったのである。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2023-07-07 21:06:46
6464文字
会話率:47%
IN:0pt OUT:6pt
総合ポイント:4676pt 評価ポイント:3970pt
「透果(とうか)、俺は……お前が大好きだッ!!!」
多くの生徒が登校している真っ最中の朝の校舎前。
今日も俺は幼馴染の透果に、全身全霊で俺の真っ直ぐな気持ちを伝えた。
嗚呼、今日の透果も何て可愛いんだろう……。
銀河を散りばめたかのような輝く大きな瞳。
最高級の絹糸もかくやというほど艶のある黒髪。
常に後光が射しているようにさえ見える神々しい笑顔。
更に容姿だけでなく性格も完璧で、誰に対しても優しく趣味は何とボランティア活動!
こんなパーフェクト美少女、惚れ
ない男がいるだろうか? いや、いない!(反語)
……だが、そんな透果からの返事は、今日も――。
「ありがとう勝琉(まさる)。私も勝琉が大好きだよ」
「――!」
透果は天使のような笑顔で、そう言った――。
……くっ!
「うおおおおおおおお!!!!!」
いたたまれなくなった俺は、透果をその場に残し一人校舎の中に逃げた。
嘘だッ!
透果みたいなパーフェクト美少女が、俺みたいなモブ男を好きなわけないだろう……!折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2023-06-23 21:02:29
4257文字
会話率:48%
IN:0pt OUT:31pt
総合ポイント:1588pt 評価ポイント:1358pt
セリアは卒業を間近に控えた貴族学園に通う公爵令嬢。
卒業と共に婚約者であり、王太子殿下でもあるアーロンとの結婚が決まっており、日々胸をときめかせていた。
そんなある日の昼休み。
アーロンと食堂に向かっていると、男爵令嬢のカルメンに声を掛けられた。
「セリア様! アーロン様! こんにちは!」
「やあカルメン、こんにちは」
「こ、こんにちは、カルメンさん」
「はわぁ! 今日のセリア様も、とってもお美しいですぅ!」
「そ、そうかしら……。ありがとう……」
「フフ、そうだろ
う、僕のセリアは世界一可愛いからね」
「で、殿下!?」
アーロンがセリアの肩をグイと抱きながら、ドヤ顔で胸を張る。
「ええ! ええ! もちろんですとも! ――実を言うと前から私、お二人のことが推しカプだったんです!」
「――!」
「おや、それは嬉しいね」
「はい! ですから今後も、是非お二人のイチャラブを私に見せてくださいね!」
「フフ、いいとも」
一瞬で打ち解けた二人を見ていたら、セリアの中にとある想像が浮かんでしまった――。
『アーロン様、私、もっとセリア様のこと知りたいです!』
↓
『フフ、いいよ。じゃあ今度、僕の部屋で秘蔵のセリアコレクションを見せてあげよう』
↓
『わあ! いいんですかぁ!』
↓
そして数日後――。
↓
『ほら、これが八歳の時のセリアの写真だよ』
↓
『きゃあ~! 可愛い~!』
↓
『そしてこれが貴族学園の入学式の時』
↓
『はうう~! これはもう天使ですよ~! ――あっ』
↓
偶然手と手が触れ合う二人。
↓
『ゴ、ゴメンなさい! 私ったら……』
↓
『いや、いいんだ。――どうか君のことも、僕によく教えてくれないだろうか』
↓
『ア、アーロン様……』
↓
禁断の関係とはわかっていながらも、互いの若いリビドーには勝てなかった二人……。
↓
そして迎えた貴族学園の卒業式当日――。
↓
『セリア、ただ今をもって、君との婚約を破棄する!』
「イヤアアアアアアア!!!!」
「セリア!?」
「セリア様!?」
あまりの最悪の未来に脳が焼かれたセリアは、その場で意識を失った――。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2023-06-16 21:03:53
3677文字
会話率:62%
IN:0pt OUT:87pt
総合ポイント:990pt 評価ポイント:916pt
「ゴメンね、松永くんみたいなデブのキモオタは、タイプじゃないから」
「…………え」
勇気を振り絞って片想いをしている吉岡さんに告白した俺。
が、吉岡さんの口から放たれた返事は、何とも残酷なものであった。
あまりのショックに河川敷で一人号泣していると――。
「アレ? 松永じゃん。どしたん、そんな泣いてさ?」
「――!!」
クラスメイトでギャルの木津根さんに声を掛けられた。
これは……、ラノベでよくある、『オタクに優しいギャル』というやつか……!?
俺は藁にも縋
る思いで、先程吉岡さんにされた仕打ちを話した。
――が、
「なるほどね。それは松永が悪いよ」
「っ!!?」
木津根さんからの第一声は、オタクに優しいギャルとは真逆のものであった。
「な、何で……」
「何でって。松永がデブのキモオタなのは事実じゃん」
「……!!」
「でも大丈夫。人間は努力次第で、誰でも特別になれるからさ! アタシが松永のことを、一人前の男に鍛えてやるよ!」
「は?」
――こうして俺の、オタクに厳しいギャルにシゴかれる日々が幕を開けた。
※柴野いずみ様主宰『ざまぁ企画』参加作品です。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2023-06-09 21:08:20
9464文字
会話率:49%
IN:0pt OUT:29pt
総合ポイント:3222pt 評価ポイント:2842pt
私は貴族学園内でクラスメイトのフランツ様に、淡い恋心を抱いている。
だがヘタレな私は、告白する勇気を出せないまま毎日を過ごしていた。
――そんなある日、放課後学園を出たところで、フランツ様にそっくりな大人の男性に声を掛けられる私。
その男性は、未来から来たフランツ様で、私の旦那様だと言い出し……!?
最終更新:2023-06-02 21:09:30
6772文字
会話率:44%
IN:0pt OUT:26pt
総合ポイント:2908pt 評価ポイント:2670pt
ここはテレア王国の執務室。
執務官のワッカとサワは、とある人物を待っていた。
「なあサワ、今日来る王太子ってどこの誰だっけ?」
「もう、ワッカは本当に忘れっぽいわね。ニャッポリート王国のダスティン王太子殿下よ」
「ああ、そうだったそうだった。いやあ、どんな話を聞けるのかな。楽しみだ。――ん?」
その時だった。
コンコンというノックと共に、執務室に一人の若い男性が入って来た。
「どうも、ダスティンと申します。本日はよろしくお願いします」
「ああ、これはこれはこちら
こそ。どうぞよろしくお願いします」
「よろしくお願いいたします」
お互い軽く挨拶を済ませると、前方にある教壇に立ったダスティン。
「それでは早速ではありますが、僕がどんなしくじりをしてしまったのかを、授業していきたいと思います」
そう、これはワッカとサワが業務の一環で始めたことで、各国のしくじってしまった王太子から話を聞き、それを反面教師として国の運営に活かそうというものなのである。
「まずは簡単に僕の経歴を説明させていただきます。教科書の1ページ目を開いてください」
「「はい」」
二人がダスティンお手製の教科書を開くと、天使のような笑顔を浮かべた、可愛らしい赤ちゃんの写真が載っていた。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2023-05-19 21:11:14
3624文字
会話率:78%
IN:0pt OUT:14pt
総合ポイント:1750pt 評価ポイント:1608pt
「く、櫛崎(くしざき)さん、おはよう!」
「…………」
「嗚呼櫛崎さん、今日もお肌がスベスベで見蕩れちゃうわ!」
「…………」
氷の女王こと櫛崎さんは、今日も男女問わずクラスの人気者だ。
辞書の『傾国の美女』の欄に載っててもおかしくないくらいの絶対的な美貌を持っている櫛崎さんなので、さもありなんといったところではあるが。
だが櫛崎さんはそんなクラスメイトたちに対して、いつも通り無表情のガンスルーを決め込んでいる。
にもかかわらずみんな「櫛崎さんはそうでなくっちゃ!」
とか「嗚呼、櫛崎さんの射抜くような冷たい瞳、素敵……」と、恍惚とした表情を浮かべている。
うちのクラスにはドMしかいないのだろうか?
まあ、俺は至ってノーマルなので、冷たく無視されるとわかっていて挨拶をする気概はない。
なので隣の席に座った櫛崎さんのことも、一瞥するだけですぐスマホに目線を戻した。
――が、
「…………」
「――!?」
何故かそんな俺のことを、今日も櫛崎さんは無言でギロリと睨みつけてきたのである。
またオレ何かやっちゃいました??
てなことがあった週末の日曜日。
妹のみちるに半ば無理矢理買い物に付き合わされ、二人で街中を歩いていると、偶然櫛崎さんと出くわした俺たち。
が、何故か櫛崎さんは俺たち二人を見て、絶望にまみれたような顔をし……!?折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2023-04-28 21:09:22
6294文字
会話率:50%
IN:0pt OUT:19pt
総合ポイント:4048pt 評価ポイント:3358pt
魔法学校に通う魔法オタク女子のリディは、生徒会長であるアベルに片想いをしていた。
そんなある日、リディは一人研究室で透明になれる薬を開発し、自分でそれを飲んで透明になることに成功する。
するとそこへ偶然アベルが訪れるのだが、リディは透明になっているので誰もいないと錯覚するアベル。
実験成功とほくそ笑むリディだったが、おもむろにアベルがとんでもない独り言を言い出し……!?
最終更新:2023-04-21 21:04:04
2709文字
会話率:36%
IN:0pt OUT:4pt
総合ポイント:1176pt 評価ポイント:1056pt
俺と律(りつ)は高校に入学して間もない頃、お互いアニメオタクだったことがキッカケで親友になった。
毎日律と一緒にアニメの話題で盛り上がりながら下校する時間は、至福のひとときだった。
そんなある日、律は怪しいおばあさんから貰ったという、『女になれる薬』を俺の目の前で飲んでしまう。
するとたちまち律の胸がムクムクと膨れ上がり、ボーイッシュな巨乳美少女になってしまい……!?
最終更新:2023-04-14 21:05:54
4904文字
会話率:53%
IN:0pt OUT:3pt
総合ポイント:840pt 評価ポイント:728pt
「ルリア、ただ今をもって、君との婚約を破棄する!」
「――!」
国中の貴族が集う煌びやかな夜会の最中。
私の婚約者であり、我が国の王太子殿下でもあらせられるガラム殿下が、唐突にそう宣言した。
そ、そんな――!
――私はおもむろに玉ネギをくし切りにし、それを油を引いた寸胴鍋に投入してさっと炒める。
「どういうことですか殿下! 理由をご説明ください!」
「フン、しらばっくれても無駄だぞ! 君がタメリに裏で陰湿な嫌がらせをしているのはバレているのだからな!」
「嗚呼、ガ
ラム様……」
男爵令嬢のタメリさんが、悲愴感漂う表情を浮かべながら殿下にしなだれかかる。
そ、そんな――!
――玉ネギが飴色になってきたら、一口大にカットしたニンジン、ジャガイモ、豚こま肉を入れ、それらに火が通ったらたっぷりの水を追加し、中火でコトコト煮る。
「誤解です殿下! 私はタメリさんに嫌がらせなどしておりません!」折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2023-04-07 21:04:55
2591文字
会話率:50%
IN:0pt OUT:88pt
総合ポイント:2912pt 評価ポイント:2656pt
一人暮らしをしている男子大学生の戸塚(とづか)は、ある日道端でテレビ局のディレクターだと名乗る男から声を掛けられる。
何でも男は、『サキュバス女子VS鉄壁男子』という番組のキャストをスカウトしているとのことだった。
サキュバス女子VS鉄壁男子とは、無作為に選ばれた二名の男女が一週間一つ屋根の下で暮らし、女性がさながらサキュバスの如く男性を誘惑するというものらしい。
サキュバス女子は一週間以内に男性を落とせたら勝ち。
鉄壁男子は誘惑に耐え切れば勝ち。
勝者には番組から賞金十万円
が贈られるとのこと――!
逡巡するも、十万円に釣られてスカウトを受ける戸塚。
――が、次の日指定された場所に向かうと、そこに待っていたのは同じ大学の絶世の美女、白畑(しらはた)さんで……!?折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2023-03-10 21:11:44
6301文字
会話率:48%
IN:0pt OUT:4pt
総合ポイント:1854pt 評価ポイント:1590pt
「シャルロッテ、俺が君を愛することはない。そのつもりでいてくれ」
「……はい。承知いたしました」
数え切れないほどの使用人たちに囲まれる中、今日から夫となるラインハルト様に、氷のように冷たい眼でそう言われた。
半ば予想していたこととはいえ、面と向かって言われると心に鉛を付けられたような感覚になる。
やはりラインハルト様は、お飾り妻を欲していただけだったのだわ。
『氷の貴公子』と名高い、美貌と名声を兼ね備えたラインハルト・アイヒベルガー侯爵閣下が、私みたいな下級貴族の
娘を妻に娶ろうだなんて、おかしいと思った。
女として、一人の男から愛されたいというささやかな夢も、今日で終わったのね……。
『というのは嘘で、俺は君のことを心の底から愛している』
「――!?」
その時だった。
私の頭の中に、ラインハルト様の声が直接響いてきた。
これは――!?
『くれぐれも表情は変えないでくれ。周りの人間に俺たちがテレパスだということがバレたら、お互いの命が危ないんだ』
『っ! は、はい』
必死に平静を装いながら、テレパシーで返事をする。
まさかラインハルト様もテレパスだったなんて……。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2023-03-03 21:03:00
8026文字
会話率:49%
IN:0pt OUT:27pt
総合ポイント:1754pt 評価ポイント:1558pt
「ウェーイ唐瀬(からせ)ぇ! 差し入れ持ってきてやったぞー!」
「ゲッ」
俺が一人暮らししている安アパートに、今日も菅木(すがき)先輩が合鍵で勝手に入って来た。
「……先輩、いつも言ってるじゃないですか。来る時は事前に連絡くらいくださいよ」
「キャハハ、ごめんごめ~ん。そうだよなぁ、唐瀬も健全な男の子だもんなぁ。自分磨きに勤しんでるところをアタシに目撃されたら、恥ずかしくて泣いちゃうよなぁ」
「またそういうことを……」
先輩が下卑た笑みを浮かべながら、俺の股間を見下
ろしてくる。
「先輩も一応は大人の女性なんですから、もっと慎みを持ってくださいよ。まあ、見た目は小学生ですけど」
「ウォイ唐瀬テメェ!? 見た目の話はすんなっていつも言ってんだろうがオラァ! 握り潰すぞ!」
「何をですか」
菅木先輩は大学の一個上の先輩で、21歳のれっきとした大人なのだが、身長140センチほどのロリ体型なので、俺と並んで歩いていたら傍から見たら完全に事案である。
2人で街中を歩いている時も、何度周りから白い目で見られたことか……。
そんな先輩からの誘いで、格ゲーで負けたほうが罰ゲームとして、勝ったほうの言うことを何でも聞くということになり……!?折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2023-02-24 21:14:51
5399文字
会話率:54%
IN:0pt OUT:44pt
総合ポイント:1582pt 評価ポイント:1346pt
平凡な高校生の久瀬(くぜ)は、ある朝起きるとその人に恋人が出来るまでの時間が見えるようになっていた。
戸惑いながら登校すると、何と片想いをしている高階(たかしな)さんの頭上に、『恋人が出来るまで8時間11分46秒』というカウントが――!
最終更新:2023-02-10 21:04:57
7333文字
会話率:43%
IN:0pt OUT:21pt
総合ポイント:1532pt 評価ポイント:1342pt
「ひ、氷海(ひうみ)さん、好きです! 俺と付き合ってください!」
「……死ねばいいのに」
「ガハァ!?」
とある高校の昼休み。
二階の教室の窓からふと裏庭を見下ろすと、今日もクラスメイトの氷海さんにこっぴどくフラれた男子生徒が、地面に倒れて天を仰いでいた。
これで今月だけで何人目だろうか……。
だが、倒れた彼はどこか恍惚とした表情をしていることから、そっちの趣味がある人種なのかもしれない。
だとしたらむしろご褒美なの、か……?
氷海さんは氷のように冷たい威圧感
のある言動と、世界三大美女を彷彿とさせるその容姿から、【絶氷の女帝】の異名を持つ、雲の上の存在だ。
同じクラスというだけで僕とは神様とミジンコくらい住む世界が違うので、僕が氷海さんと関わり合うことは生涯ないと、この時は思っていた――。
※コラボ作品です。
【原案】しいたけ
【文】間咲正樹折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2023-01-27 21:05:15
5029文字
会話率:33%
IN:0pt OUT:38pt
総合ポイント:1224pt 評価ポイント:1088pt
「アメリィ、た、ただ今をもって、君との婚約を破棄する!」
「――!!」
国中の貴族が集まる夜会の最中。
わたくしの婚約者であり、我が国の王太子殿下でもあらせられるレオン殿下が、急にそう宣言しました。
そんな――!?
「ど、どういうことですか殿下! 悪い冗談はおやめください!」
「冗談ではない! 僕は僕なりに、深く考えた末の結論なんだ!」
何てこと……。
わたくしと殿下は政略結婚の間柄とはいえ、心は通じ合っていると信じていましたのに……。
しかも人生で一度も味
わったことのない絶望にめまいがしているわたくしを、周りの貴族たちはニヤニヤしながら無言で見つめています。
ヒドいわ……!
「……つまり殿下は、わたくしのことがお嫌いになってしまったということですね?」
ああ、もう、いっそ死んでしまいたい……。
レオン殿下から愛されない人生なんて、何の意味もありません……。
「そ、そんなわけないじゃないかッ!」
「……え?」
殿下……?折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2023-01-20 21:04:36
1347文字
会話率:53%
IN:0pt OUT:36pt
総合ポイント:1958pt 評価ポイント:1772pt
狭霧課長は28歳という若さで課長に就任した才媛で、常に冷静沈着な態度と、女王様を彷彿とさせる美しい容姿から、陰で『氷の女王』と呼ばれている俺の憧れの上司だ。
狭霧課長に認められたいがために、日々の仕事を頑張っていると言っても過言ではない。
――そんなある日のこと。
定例のリモート会議で、いつもはオフになっている狭霧課長のパソコンのカメラがオンになっており、課長の部屋が画面に映ってしまうというハプニングが――!
しかも部屋の壁一面には、夥しい数の俺の写真が貼ってあり……!?
最終更新:2023-01-13 21:08:55
2374文字
会話率:45%
IN:0pt OUT:14pt
総合ポイント:2698pt 評価ポイント:2318pt
貴族学園のとある放課後。
侯爵令息のレスター様が、男爵令嬢のクレアさんにプロポーズする現場を偶然目撃してしまった私。
だがそこに、「ちょっと待ったぁ!!」と怒鳴り声を上げて乱入してきた男性が――。
それは公爵令息にして我が学園の生徒会長でもある、通称『暴君』ブラッド様。
ブラッド様もクレアさんのことが好きで、所謂三角関係だったのだ。
その場で自分もクレアさんにプロポーズするブラッド様。
そしてクレアさんに選ばれたのは――ブラッド様だった。
一人残されたレスター様は、天を仰ぎな
がら声を押し殺して泣いた。
――私は今にも胸が張り裂けそうだった!!
私はロマンス小説でも、いつも当て馬キャラに感情移入してしまうタイプなの――!!
とはいえ、私に何ができるわけでもない……。
こっそりその場から離れようとした、その時――。
「――!?」
「――! 誰!?」
私が一歩下がった先にたまたま木の枝が落ちていたらしく、それがポキリと子気味いい音を鳴らしたのであった。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2023-01-06 21:07:49
5930文字
会話率:48%
IN:0pt OUT:18pt
総合ポイント:2618pt 評価ポイント:2428pt
「お兄ちゃん」
「ん? ――!」
おもむろに俺の部屋に入って来た祐実(ゆみ)を見て、思わず息を吞んだ。
祐実は青を基調にした花柄の振袖を着ており、普段は下ろしている髪をアップにしていたのだ。
艶めかしいうなじが覗き、得も言われぬ背徳感がよぎる。
「どうしたんだよその格好」
「……お兄ちゃんと、初詣に行きたくて」
「……ああ、初詣か」
確かに今日は大晦日。
子どもの頃はよく二人で初詣に行ったものだが、祐実が高校に入ってからは、祐実は友達と初詣に行くようになり、去
年も一昨年も大晦日は別々に過ごしていた。
「今年は友達とは行かないのか?」
「……うん、今年はお兄ちゃんと行くって言ったから」
「そ、そっか」
何故今年に限って俺と行きたいなんて言い出したのかは見当もつかないが、別に断る理由もないしな。
「じゃあ、久しぶりに二人で行くか」
「……うん!」
「――!」
普段は無表情な祐実が不意にヒマワリみたいな笑みを浮かべたので、俺の心臓がドキリと一つ跳ねた。
イ、イカンイカン、妹に対して、何をドキドキしているんだ俺は。
今から約10年前、俺が9歳、祐実が8歳の時に親が再婚して義理の兄妹になった俺たち。
この10年、俺は祐実のことを兄としてずっと守ってきたんだ。
最近はめっきり大人の女に成長しつつある祐実を見て、煩悩に頭が支配されそうになることが増えたが、いい機会だ、除夜の鐘を聴いて煩悩を退散させよう。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2022-12-30 21:06:53
4236文字
会話率:50%
IN:0pt OUT:45pt
総合ポイント:1642pt 評価ポイント:1402pt
「イェッタ、ただ今をもって、君との婚約を破棄する!」
「――!!」
時は12月24日。
国中の貴族が集う夜会の最中、公爵令嬢イェッタの婚約者であり、王太子殿下でもあるベルンハルトが唐突にそう宣言した。
ベルンハルトの隣には、男爵令嬢ペトラの姿が。
ベルンハルトはイェッタが裏でペトラに陰湿な嫌がらせをしていることを理由に、婚約を破棄してきたのだ。
だがそれはまったくの事実無根。
ペトラの虚言に、ベルンハルトはまんまと騙されているのである。
イェッタがいくら弁明しても、聞く耳すら
持たないベルンハルト。
絶体絶命かと思われた、その時――。
「ホッホー、メリークリスマァス」
「「「――!?!?」」」
バルコニーから突然、赤鼻のトナカイが引くソリに乗った、謎のイケオジが会場に乱入してきた。
謎のイケオジはモフモフの赤い服とナイトキャップを身に纏っており、立派な白髭を生やしている。
そして大きな白い袋を背負っていた――。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2022-12-23 21:12:19
2924文字
会話率:50%
IN:0pt OUT:35pt
総合ポイント:1640pt 評価ポイント:1552pt
隣の席の水川(みずかわ)さんは、常にクールで男女問わず見蕩れるほどの美貌を誇っているため、僕は密かに『氷の女王』と呼んでいる。
そんな水川さんをこっそりモデルにした小説を書いたところ、小説投稿サイトのランキングに載り、今ではそこそこ固定ファンがついた僕。
中でも『リート』さんというファンの方は、デビュー当時から毎回欠かさず熱い感想を書いて僕を支え続けてくれている、とてもありがたい存在だ。
――だがそんなある日、とあることがキッカケで、リートさんの正体が水川さんだとわかり……!
?折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2022-12-16 21:12:00
5738文字
会話率:42%
IN:0pt OUT:5pt
総合ポイント:2218pt 評価ポイント:1892pt
「リヒャルト様、このフリーダ、本日よりあなた様の妻として精一杯務めさせていただきます。何卒よろしくお願い申し上げます」
「……ああ」
桜の蕾が長い眠りから目覚めたばかりの、麗らかなある日。
広大なバラデュール侯爵家の一室にて、私は今日から夫となるリヒャルト様に、うやうやしくカーテシーを取った。
だが、リヒャルト様から返されたのは、「……ああ」という素っ気ない返事だけ。
絵画に描かれる魔王を彷彿とさせるような、冷たくも美しい瞳が私を刺す。
でも然程ショックはない。
何せ私はつい先月、婚約者に浮気された挙句、婚約を破棄された身なのだ。
理由はどうあれ傷物となった私と、新たに結婚してくれる人など現れるはずもない。
そんな中唯一打診をくれたのが、何とあの名門バラデュール侯爵家だったのである。
一人息子のリヒャルト様の妻に、私を欲しいとのこと――。
私の両親は大層喜び、二つ返事でこうして結婚の運びとなったのだった。
何故バラデュール侯爵閣下が、私なんかを大事な一人息子の妻にしたがったのかは見当もつかないけれど、当のリヒャルト様からしたら迷惑極まりなかったことだろう。
だからこそ、リヒャルト様のこの態度も当然よ。
傷物の自分をもらっていただいたことに感謝こそすれ、文句を言う権利は微塵もないわ……。
……ん?
その時だった。
リヒャルト様の隣でずっと笑顔で佇んでいた従者さんらしき人が、どこからともなくスケッチブックを取り出し、物凄い早さでそこに何かを書き始めた。
い、いったい何を……?
従者さんはスケッチブックをリヒャルト様の後頭部辺りにそっと掲げた。
そこにはこんな文章が書かれていた――。
『ふわああああん!! 俺のバカバカバカ!! 何であんな素っ気ない返事しかできなかったんだよおお!!! ホントはフリーダのことが好きで好きで堪らないのに!!! 婚約破棄されたって知った時は、「ヨッシャアアアアア!!!!」ってガッツポーズして、速攻で父上に結婚の打診をするように土下座までしたのにッ!! でも、愛しのフリーダを目の前にしたら、緊張して上手く喋れねえよおおおお!!!』折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2022-11-25 21:01:49
3998文字
会話率:34%
IN:0pt OUT:79pt
総合ポイント:36202pt 評価ポイント:32468pt
「姉ちゃん、こいつがいつも言ってる淳弥(じゅんや)だよ」
「あらいらっしゃい。雄馬(ゆうま)がいつもお世話になってるね」
「――! ど、どうもはじめまして……」
「ふふ、こちらこそはじめまして」
最近友達になった雄馬の家に遊びに来たところ、雄馬のお姉さんが出迎えてくれた。
――俺の全身に雷に打たれたかのような衝撃が走った。
な、何て綺麗な人なんだ……。
大人の余裕を感じるショートボブの茶髪。
獲物を狙う女豹みたいな蠱惑的な瞳。
プルリと艶のある唇。
そして抜群
のスタイル……!
そのうえ服装は薄手のキャミソールにホットパンツという、思わず「そんな装備で大丈夫か?」と訊きたくなるくらい、布面積の乏しいものだった――!
今にもキャミソールから、たわわわわわな双丘がセカンドインパクトしそうだ……。
「俺の部屋二階だから、そこで遊ぼうぜ」
「あ、うん」
「後でジュースとお菓子持ってってあげるね」
お姉さんからニコリと微笑まれ、また一つ心拍数が上がった。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2022-11-18 21:10:17
5105文字
会話率:48%
IN:0pt OUT:29pt
総合ポイント:1494pt 評価ポイント:1280pt
「ゲェ、私の負けかぁ」
「イエーイ、勝ちー!」
「じゃあ約束通り、ちゃんと津島君に告白してよね」
「……わかったわよ」
――!
とある昼休み。
図書室に向かう途中、人気のない科学室の中で、僕と同じクラスの女子三人がこそこそとジャンケンをしている光景を目撃してしまった。
ジャンケンに負けたのは、我がクラスのスクールカーストトップの冬森さん。
誰もが羨むような美貌を持つうえ、実家もお金持ちという、絵に描いたようなお嬢様。
そして津島というのは僕の名前だ……。
こ、
この流れはまさか――!
僕は慌てて、その場から立ち去り教室に戻った。
「ね、ねえ津島君、放課後ちょっと話があるんだけど、裏庭まで来てくれない?」
「あ、はい」
教室で一人ボーっとしていると、案の定冬森さんから声を掛けられた。
――そして迎えた放課後。
「つ、津島君、実はずっと前から好きでした。私と付き合ってください」
「――!」
僕たち二人以外誰もいない裏庭で、抑揚のない声で冬森さんからそう告げられた。
いや、正確には僕たち以外にも、先ほど冬森さんとジャンケンをしていた二人も、草むらに隠れてニヤニヤしながらこちらを窺っている。
――噓告白キターーー!!!!(大歓喜)
毎月二十冊以上ラノベを読んでる僕だからわかる!
この流れは、ラノベの定番中の定番、『噓告白』だッ!
最初はドッキリで付き合っていたスクールカーストトップの美少女と、スクールカーストドベの陰キャボーイが段々と心を通わせていき、やがて本物の恋人同士になるという、ラノベ界の王道オブ王道!
盛 り 上 が っ て ま い り ま し た。
……お、おっと、一人でズンドコしてる場合じゃない。
ここは噓だとは気付いていないフリして、何にせよ告白は受けないとね!
「あ、うん、ぼ、僕なんかでよければ、喜んで」
僕は敢えて声を震わせ、オドオドしながらそう返事した。
「あ、ありがとう、とっても嬉しいわ」
微塵も嬉しくなさそうな、引きつった笑顔を向ける冬森さん。
それに反して草むらに隠れている二人は、満面の笑みでハイタッチを交わしている。
「……じゃあ、早速二人で帰りましょ」
「そ、そうだね」
さてと、見せてやるとしますかね、ラノベ主人公の力ってやつを(倒置法)。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2022-11-04 21:12:57
4736文字
会話率:44%
IN:0pt OUT:55pt
総合ポイント:2796pt 評価ポイント:2538pt
「いらっしゃいませ」
「――!」
まだ眠い目を擦りながら店内に入ると、焼きたてパンの香ばしい匂いと共に、いつもの店員さんがヒマワリのような笑みを向けてくれた。
俺の心臓がドキリと一つ跳ねる。
たったこれだけのことで、「今日も一日がんばるぞい!」という気持ちになるので、我ながら単純だなとつくづく思う。
俺はこのパン屋の店員さんのことを、密かに心のアイドルと崇めている。
この人がいるから、毎日の辛い仕事も何とか乗り越えられているのだ――。
――だが、まさかこの店員さんが、俺が推し
てるエロ同人作家であることを、この時は知る由もなかった。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2022-10-21 21:04:46
4082文字
会話率:30%
IN:0pt OUT:53pt
総合ポイント:2306pt 評価ポイント:2012pt
「ミレーヌ、どうか僕と、契約上の夫婦になってもらえないだろうか?」
「――!」
公爵家の次男であるファビアン様が、思わず見蕩れそうになるほどの、憂いを帯びた表情でそう提案してきた。
こ、この流れはまさか――!
「僕も立場上、そろそろ結婚しろと親からせっつかれていてね。でも僕は、地位や財産目当ての令嬢はゴメンなんだ。その点君はそんな人間じゃないことは、昔からよく知っている。何不自由ない暮らしをさせることは約束するし、家は兄が継ぐから、跡継ぎを作る必要もない。ほとぼりが冷
めたら愛人を囲ってくれても構わないよ。どうかこの提案を、受けてはくれないだろうか?」
「ファビアン様……」
白い結婚キターーー!!!!(大歓喜)
ふおおおおお、日頃ロマンス小説を読み漁っている私だけど、まさか自分の身に大人気ジャンルである『白い結婚』イベントが降ってくるとは……!
最初は契約上の夫婦に過ぎなかったのに、段々と互いの心に惹かれていき、最後は本物の夫婦になるという、ロマンス小説の王道パティーン!!
盛 り 上 が っ て ま い り ま し た。
……お、おっと、一人でズンドコしてる場合じゃないわ。
ここは若干不安な表情を滲ませつつも、提案をお受けしなくては!
「は、はい、私なんかでファビアン様の妻が務まるのか自信はありませんが、精一杯頑張らせていただきます」
「うん、よろしく頼むよ」
よーし、これは私の腕の見せどころね!折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2022-10-14 21:28:07
2572文字
会話率:37%
IN:0pt OUT:74pt
総合ポイント:5968pt 評価ポイント:5522pt
占いが趣味の高校生、能勢(のせ)。
その占いは当たると評判で、毎日のように能勢の下には、自分も占ってほしいと依頼人が殺到している。
そんなある日、能勢は隣の席の栗原(くりはら)さんから恋占いをしてほしいと頼まれる。
何でも栗原さんには、片想いをしている男がいるらしく……!?
最終更新:2022-10-07 21:04:28
3620文字
会話率:51%
IN:0pt OUT:45pt
総合ポイント:1390pt 評価ポイント:1228pt
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