R200鉄道カーブ、平面クロス!! 1億2000万人のうちの2人くらいに響け!
同じ大学の廃線同好会に所属する僕、三塚と美咲殿は、常磐炭鉱の引き込み線跡を現地確認するために東京から特急に揺られ、2時間近くかけて向かった。
そこには、駅か
ら平行に伸びる2本の引き込み線の廃線があり、駅から4kmほどの一点でレール同士が直行する”平面クロス”をしている。しかも、その平面クロスしているところは、R200という現代鉄道カーブから見るととんでもない急カーブを描き、見通しが悪く、非常に危険だったことは想像に難しくなかった。
早速、美人オーラーが鼻につく廃線同好会会長 杉坂美咲殿が散歩していたおばあちゃんを軽く呼び止め聞き込みを開始した。
そこで知り合ったおばあちゃんに話を聞いているうちに、その、おばあちゃんは昔、昭和19年に戦争に送り出した旦那さんを亡くしていることを知る。
僕達はおばあちゃんに聞いた。
もう一度会いたいか。
……死んだ旦那さんに会いたいか……
会長の美咲殿は不思議な力をお持ちだ。
時を遡って、その場の風景を見ることが出来る。そして、美咲殿の見ている風景はリンクした相手と共有できる。
おばあちゃんの後悔。
喧嘩別れして、旦那さんと最後のお別れをしなかった事。
美咲殿の不思議な力は、その場の風景を見るだけ。
話す事も、その時代の人がこちらに気付く事も無い。
それでも良いというおばあちゃん=深雪さんと共にその時の、昭和19年の二人の最後の日を僕達は追体験することになった……。
折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2021-06-27 09:08:09
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