自衛軍に入り、若くして退役後、中南米のゲリラに参加した。それがミユキ・ハジメの略歴だ。自己を主張したかった。自らの美学を貫きたかった……、なんていうのは言わば後付けの理由であって、実のところ、狙撃手という立場で仕事ができることで調子に乗って
いたのだろうと彼自身、思っている。
そんなふうに彼には確固たる信念がない。だからそう。張り詰めていた気持ちだって突如として破綻する。簡単に言うと、ニッポンが恋しくなったのだ。帰国後、まったく給料が得られなくなって職探しをしている折に『治安会』という組織の後藤と出会う。「ウチに来なよ」と勧誘される。新しい職場、新しい環境。どんな仲間ができるのかドキドキした。この上なくドキドキしたのだった。
折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2019-07-14 10:10:56
91428文字
会話率:79%
多くの任務を荒事に費やす非公開の公的集団、その名も『治安調査会議(通称:治安会)』。
元『マトリ』の『特別強行班』の一員だった忍足悠は『治安会』にヘッドハンティングされた。組織のボスである後藤からたびたび指示や連絡を受け、悪人を締め上げた
り殺めたりする。それはもはやルーチンワーク化していると言っていい。より連続的な反復運動と言っても過言ではないくらいだ。眠っているか仕事をしているか愛猫とじゃれているか、たまに飲みに行くかのいずれかくらいしか行動しない。面白味には欠けているものの、のんべんだらりと過ごすには打ってつけの職場、環境だ。
すなわち、繰り返しのような毎日が悠の生活を支配している。
とはいえ齢三十歳。生きているうちに色々なものを見てきた。色々なことを耳にしてきた。その中で得た知見、経験則については存分に活かしてやろうという意気込みくらいは彼にもある。
折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2019-05-23 10:08:48
92600文字
会話率:83%
本庄(ほんじょう)朔夜(さくや)は『治安調査会議(通称:治安会)』なる非公開組織に身を置く公務員だ。
業務といえば、なんでもござれ。がさいれ、人質救出、麻薬捜査など、多岐に渡る。なんでも屋的な側面が多分にあり、中でも荒事が専門である。
最も近しい同僚の名は泉(いずみ)伊織(いおり)。スタイル抜群のセクシー美女だ。
そんな相棒と仕事を続けていく中で、彼は三人の女と出会い、彼女達と親密になってゆく。
一人は女子高生、一人は隣人、もう一人は幼女。
しかし、『ある日』の『ある事』をきっかけに、朔夜は彼女らに抱いた恋心をすべて清算することになる。
そうすることが、三者に対する彼の最大限の愛情表現だった。
折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2019-03-09 08:28:35
107097文字
会話率:72%