かつては国中で人が妖に襲われることが絶えなかった。やがて帝都などの栄えている町は文明開化が進み、ガス灯の普及により闇が後退し、妖は現れなくなっていた。しかし文明開化の波が届かない土地ではいまだ妖に悩まされている。紅里野村(くりのむら)もその
ひとつだった。
紅里野村は古より夜叉と契約することで妖の害を免れてきた。夜叉は結界を越えず雑鬼や妖蟲を獲ること、紅里野村は100年に一度贄として嫁を差し出すこと。夜叉の頭領は人の生き血を吸うことでその力を維持することができるのだった。
前の嫁入りから100年後。紅里野村から一人の乙女が嫁入りする。
心優しく面倒見がよく、責任感の強いしっかり者の娘・珠緒は、ただ一人の家族である妹や村人を救えるならと自ら贄嫁となった。しかし、最大の理由は仇討ち。幼い頃に両親を死に追いやった仇に近づくためだった。
気丈な珠緒は夜叉に囲まれて暮らしても怯まない。
強気でめげない花嫁の仇討ち婚姻譚。
※カクヨムにも投稿しています。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2026-03-09 19:15:21
35246文字
会話率:44%
時代が明治へと移り変わり、今とは違う道を歩み始めた日本――。
妖が見えるせいで器量なしと言われてきた千枝子は、ある日、妖に襲われていた隻眼の青年・至恩を助ける。
至恩は代々帝都を妖から守る『護妖師』の一族で、自身の目を奪った妖を探している
という。
目を奪われたせいで力が半減しており、千枝子に協力してくれないかと持ち掛けてきた。
かわりに妖が見えなくなる方法を探してくれるという至恩に、そんな義理もないのにと躊躇う千枝子。
ならば『契約結婚』としてしまえばいい、と至恩は提案してくる。
強引に事を進める至恩だが、時折見せる優しさとまっすぐな愛情表現に、千枝子は惹かれていく。
護妖師、帝都図書館館長、そして――。
三つの顔を持つハーフの旦那様と、妖を見る目を持つ花嫁が、本当の夫婦になっていく物語。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2026-03-09 19:00:00
39661文字
会話率:35%
※この作品はフィクションです。架空のものであり、実在の人物・団体・事件とは一切関係がありません。しかもご都合主義です。
男前女子である|鬼頭《きとう》 |桜《さくら》は、町でナンパ男に絡まれていた和服姿の美少女を助ける。しかし美少女だと
思ったのは|鬼ヶ瀬《おにがせ》 |魁《かい》という男だった。華麗にナンパ男を振り払ってみせた|魁《かい》は実は鬼で、桜と契約結婚したいと鬼頭家へと現れる――――
「美少女だと思ってたけど、男の人、だったんだ……」
※別タイトル「鬼の封印花嫁~甘い香りと契約結婚」で他サイトにも掲載中。
※他サイトにも掲載中折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2026-03-09 12:00:00
12081文字
会話率:36%
真珠は白狐。薬をもらうために人間に変身して、医者の家に行った。
医者の名前は草世。狐の耳を出してしまった真珠に驚きつつも、見ないふりをした。
真珠は優しい草世に恋をして、彼のお嫁さんになることを決めた。
真珠は押しかけ女房として草世と暮らす
うちに、奇怪な事件に巻き込まれる。
ピュアな白狐の女の子と心に傷を持つ医者との、異類恋愛譚。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2026-03-09 09:30:00
17312文字
会話率:50%
タイトル : 『常若比売の天降り婚』(とこわかひめのあまくだりこん)
いにしえより、日本全土には「神遺」(かむい)と呼ばれる八百万の神々が齎す気まぐれな災害現象が降り注いでいた。「神遺」を鎮魂するため、人界には「山を司る異能」を山神よ
り授かった十二柱の現人神が顕現する。御方々は「客神十二柱」(まれびとじゅうにはしら)と呼ばれた。
万枝常若(よろずえとこわか)は、客神十二柱が一柱、「呪いの客神」として幼き頃から屋敷の結界の中に閉じ込められて過ごしてきた。常若の呪いの異能の強大さはまさに、千年に一度現れるか否かの逸材。凄まじい才能を秘めているがゆえに、異能の力に魂が呑まれ、常若自身が正真正銘の「神」そのものへと成りかけてしまっていた。
常若の強大な呪いの異能を恐れた人々は常若を忌み嫌い、疎み、遂には国の脅威として殺すべきだと判断し、「常若の異能制御の役を担った結婚相手」と称して常若を殺す指令を請けた男——斗戸千種(しなとちくさ)を派遣してきた。
しかし、千種は常若を以前から知っているような素振りを見せ、「あなたを国に殺させるわけにはいかない。俺はあなたを神から人へ『天降り』させるために、契約結婚を申し込みに来たんだ」と語る。
こうして常若は、「神から人への天降り」を目指し、一年という期限付きで千種と契約結婚を果たすのであった。
これは「呪いの少女神」×「少女神に己の全てを捧げる献身を誓った従者」による、神から人へと生まれ変わる天降り婚姻譚。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2026-03-09 08:30:28
26320文字
会話率:36%
イケメン神獣「まさか人化した瞬間〝モドシテ……〟と泣かれるとはな」(困惑)
★毎日07:40に1エピソード更新中!★
●あらすじ●
〝桃花(タオファ)〟は若くして国一番の錬丹術師となった才女。
しかしそんな彼女に恥ずかしげもなく「惚れ薬
の制作依頼」などしたり、何なら下心満載の男どもに言い寄られたりと、二十歳を過ぎた頃には男にも恋愛にも絶望しきっていた。
そんな時に、やつれた白い子猫を拾い〝白(パイ)〟と名付ける。白と共に都を離れ、特製ごはんをあげて暮らしていると……あっという間に大きくなった白は、猫では全然なく虎と判明。しかも神獣〝白虎〟だった。
まあ別に虎でも神獣でも、あとなんか喋るんですけど特に問題にせず、桃花は白と幸せモフモフ生活を送るのだった。
しかも神獣は人化すら容易に成し、その容貌は超絶美形と、これには男にうんざりだった桃花も動悸動悸(ドッキドキ)で――!
「あ、パイちゃん、人化しなくていいからね?」
「そんな馬鹿な……」
※この作品は「カクヨム」様にも掲載しています。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2026-03-09 07:40:00
31232文字
会話率:61%
【妻はいらないと、夫は言った。欲しいのは……母なのだとか】
ずっと、家族が欲しかった。
ただ血がつながっているとか、同じ家に住んでいるとか、そういうものではなくて。
心からの慈しみを持ち、時には諍い合い、それでも最後にはやはり「ここは世界
で一番安全で、愛情に満ちた場所なのだ」と思えるような、そんな家族の団らんに、見澤那子(みさわなこ)はずっと憧れていた。
それなのに、夫となる妖怪画家の砂川露景(すなかわろけい)は開口一番に告げたのだ。
「妻はいらない。欲しいのは、母なのだ」と。
ちょっと常識からずれた妖怪画家×
居場所が欲しい雇われ妻(母)×
元気いっぱいすぎる妖狸の子ども
三人は本当の家族になれるのか。
契約結婚から始まる、大正あやかし家族譚
※カクヨムさんに掲載中
折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2026-03-09 07:10:00
36128文字
会話率:41%
妖を封じる一門である八重樫の家に生まれた初音は、高い能力を持っていた。しかしそれに嫉妬した父親と双子の妹美琴から虐げられ育った。そんなおり、帝からもうひとつの妖を退治する一門である宮應帆澄と結婚するよう勅令がおりた。理由は優秀な子孫を残すた
め。
初音には春人という許婚がいたが、彼とは分かれ宮應に嫁ぐことに。春人は以前から初音より美琴と親しくしており、初音と別れたあとは美琴と結婚すするという。
八重樫の時期当主になることが唯一の自分の価値だと思っていたのに、優秀な子供を産むことだけを命じられ困惑する初音。
帆澄にとっても不本意な結婚だからうまくいかないと思っていたが、意外にも帆澄は初音に優しかった。一緒に暮らすうちに妖に対する考え方の違いが露わになり、それとともに初音が持つ妖への感情も変わっていく。
これは、冷遇された環境で孤独に妖を退治していた娘が、その心の痛みと辛さを分かち合う人に出会い、愛されていく物語。
カクヨムに投稿していたのを改稿しました。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2026-03-09 07:10:00
24988文字
会話率:32%
「皇帝の命を救って欲しい。お前の力が必要だ」
綾華国、景明朝。都から離れた天都山でひっそりと暮らす星薬師の末裔・凌香凛の元に、皇帝の侍衛だという月瑛然が現れる。
星薬師とは前皇朝時代に栄華を誇った薬師の職だが、景明朝になってからは人々に忘
れ去られてしまった存在だった。
香凛は星薬師の技術が途絶えないよう、朝廷にその地位を戻してほしいと願い、瑛然と契約を交わす。しかし、皇帝の病の裏には、宮廷を揺るがす恐ろしい陰謀が隠されていた。
無邪気に見えてもしたたかな香凛と、軽薄な笑みの裏に秘密を隠す瑛然。異なる世界に生きる二人は、皇帝の命を救うため、徐々に心を通わせていく。
※ハッピーエンドです。
※他サイトにも掲載中です。
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内容の全部または一部を、著者の許可なく複製・転載・改変・二次配布することを固く禁じます。
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42225文字
会話率:41%
現代のバリキャリ薬剤師で研究員の蒲生凜華は、実験中の事故が原因で中華風の異世界に憑依型転生する。
人買いに拉致されて後宮へ納品されてしまったが、そこは迷信と陰謀が渦巻く、公衆衛生の概念なき魔窟だった。
凜華は漢方薬学と科学の知識とぶっとびワ
ーホリ根性で、妃たちの陰謀や奇病を次々と「除菌」し、古臭い伝統を石鹸水と論理で洗い流していく。
冷静かつ情熱的な凜華の性格に、若き皇帝・景雲はすっかり魅了されるが、彼はなんというか……頭のネジが外れた天才、美形の無駄遣いを地で行く変な男だった。
毒使いの暗殺者や天才外科医との対決、そして皇帝のおかしな求愛をのらりくらりと躱しながら、凜華は処方箋一枚で歴史を書き換える。
知的好奇心を刺激する、若干設定盛りすぎて全部乗せReady GOな本格ハイブリッド医療中華ファンタジー。
折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2026-03-08 23:30:00
90799文字
会話率:40%
※「三人」いるけど当て馬はいません※
少女サナエは、京の都の郊外で貧しくとも幸せに暮らしていたが、ある日知らない場所に召喚されてしまう。そこは黄泉の国と呼ばれる死者の世界。支配者である黄泉神(よもつかみ)が、巫女を務める花嫁としてサナエを
招いたのだ。
彼女は村を疫病から守ってもらう約束と引き換えに、神の花嫁として一年間を過ごすことを決める。
仮にも夫たる黄泉神はサナエと距離を置きたがり、思い悩む彼女の夢には「火垂」と名乗る優しい青年が現れるようになる。
御役目か愛かを選ばねばならないのか? 揺れるサナエに寄り添う二人の男にはどこか重なるものがあり……。
●この作品はカクヨムにも投稿しています。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2026-03-06 18:23:46
9158文字
会話率:44%
とある神に守護された洲、玉垣にて。
十七歳の実緒は、山奥に溜まった障気を身をもって鎮める贄としてまさに捧げられていた。粛々と役目を果たそうとしていたところ、突然に現れた若者により、障気から助けられ求婚される。
贄になり損ねたと思う実緒は若
者の申し出を断るが、彼の態度はかたくなであり、三か月だけでよいと言う。三か月が経ったときには障気の溜まり場へ連れて行くとも約され、実緒は若者の妻となる。
重いつとめを負う若者と、いのちに負い目のある少女。かりそめの夫婦となったふたりは、ささやかなふれあいの中、互いへの想いを深めていくが……。傷とふれあいと共鳴りの、古代和風幻想譚。
*瓊音のつまごひ(ぬなとのつまごい)
*カクヨムにも掲載しています。
*全四十話です。
*この話は空想の産物です。実在の人物、団体などとは一切関係がありません。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2026-03-06 13:00:00
17818文字
会話率:42%
『華の加護』がすべてを決める国で、ただ一人『無華』として生まれた少女すみれ。
虐げられ、存在を消されて生きてきた彼女は、ある日、皇族に連なる男の邸で目を覚ます。
恐怖と諦念の中で触れる、これまで知らなかった静かな優しさ。
これは、価値を持た
ないとされた少女が、自身の居場所と運命に向き合っていく物語。
表紙イラストは、やすお (Xアカウント:@KanKnive)さんに描いていただきました。
※イラストは描き下ろし作品です。無断転載・無断使用・AI学習等は一切禁止しております。
©︎無華の花嫁 / 木風 やすお折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2026-03-06 07:02:22
99146文字
会話率:19%
三百年を生きる鬼・紅月は、山里で出会ったひとりの人間の少女に恋をした。
永遠の命を与える力を持ちながら、彼女はそれを拒み続ける。
「有限だからこそ、美しい」――そう語る彼女の選択が、鬼の価値観を静かに変えていく。
最終更新:2026-02-10 06:10:00
1377文字
会話率:21%
最愛の妻・紫の上を腕の中で失った光る君。
栄華の頂点で彼が抱いたのは、癒えぬ悔恨と、彼女を孤独に追い込んだ自分への憎しみだった。
——だが絶望の淵で再び目を開けた時、彼はまだ幼い紫の上が待つ、あの春の日へ戻っていた。
「もう、あの日々を
繰り返さない」
誰にも触れさせず、誰にも奪わせず、ただ自分の手で守り抜く。
運命の筋書きを書き換え、光る君は紫の上を甘やかな溺愛で包み込んでいく。
――しかし、無垢な瞳で彼を見つめる紫の上もまた、ある「秘密」を抱えていて……。
古典の最高傑作を「逆行・溺愛」で塗り替える、最も美しく切実な、究極のやり直しロマンス。
表紙イラストは、shim(Xアカウント:@shim_46_)さんに描いていただきました。
※イラストは描き下ろし作品です。無断転載・無断使用・AI学習等は一切禁止しております。
©︎子供部屋悪役令嬢 / 木風 shim折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2026-02-06 06:40:00
102153文字
会話率:18%
旅籠の主人の娘として暮らしていた椿は、生まれつき盲目ながらも両親の愛情を一身に受け幸せに暮らしていた。
しかし、十歳の時に両親が逝去。後に後見人となった叔母夫婦に旅籠を乗っ取られ、屋敷の奥に押し込まれて暮らす日々。
唯一の救いは、盲目の椿の
話し相手として拾われた幼馴染の鈴だけ。
その鈴と、慎ましく、静かに暮らしていたが、叔母夫婦が椿を刀根田村へと売ろうと画策する話を偶然耳にする。
建前上は村長の養女だったが、実際は生贄。
椿はそうと知りながらも、鈴に別れを告げ刀根田村へと向かうことにする。そうすることで、自分に縛り付けていた鈴と決別するためだった。
椿は刀根田村へ。
そこで、椿は神の花嫁となる。
神がいるという蔵。
完全に閉じられた世界となった真っ暗闇のそこで、椿は朧と名乗る男と出会う。
二人は暗闇の中、約束を交わす。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2026-02-27 21:10:00
11321文字
会話率:33%
甘い香りと、藤紫。
どこを探せど陽光は見当たらない。天は覆い尽くされ、視界は全て、甘い香りの源である藤の花。その藤花の群生から、ひらひらと舞い落ちる藤色の花弁。それが行き着く先は、白い柔肌の上。耳をすませば、ざわめく藤花達の話し声も聞こえて
くる。
幻怪な藤の花に囲まれた槐(えんじゅ)は、手を伸ばすも――景色はふつと変わり、藤の花なぞ何処にもない格子で囲われた座敷牢の中だった。
幼い頃から座敷牢の中で育った槐は、そこから一歩も出る事は叶わず、日々血を採られていた。槐の血は特殊で、毒と言われいるが、槐にはその自覚はなかった。
日々は虚しく、慰めは藤の夢だけ。
そんな時、藤の夢に見知らぬ男が現れる。男にはまだらに鱗があり、どう見ても人ではない。そんな鱗の死にかけて今にも事切れそうだったが、槐に助けてくれと申し出る。血をくれと。
槐と鱗の男、二人の出会いが変化の始まりだった――。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2026-02-11 09:01:39
110001文字
会話率:38%
春の終わりの夜。山あいの城下町「月代」の稲荷社で、社務所の明かりを落とした咲月は、裏鳥居の先から甘い湯気の匂いを嗅ぐ。そこに立っていたのは、昨夜まで無かった朱塗りの茶楼――「月下茶楼」。卓の向こうで湯呑みを差し出したのは、点心職人の蒼生だ
。咲月の掌に戻ってきたムーンストーンが淡く光り、霧の奥の城下「龍城」と月代の境目がずれ始めていると、蒼生は静かに告げる。
祓い札を握る咲月は、怒る暇もなく餃子を勧められ、月餅と団子を食べ比べさせられ、霧の石畳で迷子犬を追いかけ、雨の夜には雑巾を奪われて指先を温められる。口が悪い屋台の仁愛は「腹が減ると帰りたくなるぞ」と怒鳴り、段取り命の乙女は案内板に「月代側へ」「龍城側へ」と矢印を増やし、最後にでかでかと「まずは一服」と書き足して笑わせる。仁愛は「叱る声があると客が安心する」と勝手に持ち上げ、咲月は眉を上げながらも、茶楼を守る手が止まらない。帳簿を「明日こそ」と挟み続けた咲月は、帳面みたいに気持ちを後ろへ挟む癖をほどき、泣きそうなときほど先に言う練習を重ねる。
蒼生は火傷を隠し、八角の香りを加減し、獅子頭を抱えて秋祭りの夜に境目を押し戻す。割れた石の欠片を合わせたとき、ひびは消えず、青白い筋と朱い筋が並んで光る――二つの街が同じ月を映す印だ。咲月は「見送るのが嫌い。離さない」と言い、蒼生は「帰ると言葉を盾にして逃げていた」と吐く。ふたりは茶楼を“間”に祀り、帰る場所ではなく会える場所にすると誓う。
満月の橋が薄れても、炉の火は沈まない。紅葉の残る朝、咲月は帳面を閉じ切り、桂花の香る点心を齧って「好きだよ」と今日言う。龍城の客とは甘酒の搾り粕を交換する約束を結び、子どもたちの「二つとも好き!」に胸を温める。湯気の向こうで「ただいま」「おかえり」が重なり、和と中華が重なる屋根の下、夫婦茶楼は月代と龍城の灯をあたため続ける。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2026-02-25 15:10:00
59202文字
会話率:41%
「わたくしに四夫人など務まりませんのに!」
とある田舎のお屋敷で、ひとりの少女の悲鳴が上がる。つい先日十八歳になった蓮華は、唯一の味方である式神に縋りつきながら、必死で両親と兄に反抗していた。何でも、皇帝より四夫人として後宮に入るよう命
令が下ったらしい。蓮華は一生田舎で自然に囲まれて暮らしていくことを望んでいたというのに、ひどい話だ。
蓮華が後宮の妃、それも四夫人に選ばれた理由などひとつしかない。……蓮華の血筋に生まれた女性は、必ず強力な式神を生み出せるからである。幼い頃から『いつか後宮に入ることになる』と言い聞かされてはいたが、だからと言って素直に受け入れられるものではないだろう。
そんな蓮華に、父はとある提案をした。それは『皇后選定』で貴妃に選ばれ、褒美に後宮を出たいと願い出ること。そして実現できたなら父からも口添えするということ。
少し悩んだ末に了承した蓮華は、後日後宮へと入内することになるが、そこで出会う妃は個性豊かな者ばかりのようで……?
果たして、後宮という名の鳥籠に入った蓮華は無事に『皇后選定』を乗り切ることができるのか。皇帝と顔を合わせた蓮華の悩み、葛藤とは……?
『自由を望んでいると言う割に、この家から逃げ出さないのは、蓮華を引き留める何かがあるからに他ならない』
これは後宮において最上級の位を誇る妃が、とある試練を通し、自身の望みを叶えるまでの物語。
※全57話、番外編等未定、完結保証折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2026-02-22 21:00:00
73870文字
会話率:58%
蛇神ミズチ、現代によみがえる――。
湖の畔にある寂れた神社に、かつて荒神として封印された蛇神・ミズチは祀られていた。
参拝者ゼロ。自由もゼロ。話し相手もゼロ。
ただひたすら「人の益になることだけ」を命じられ、孤独に数百年。
そんな
彼女(彼?)の前に現れたのは、縁結びを司る神の使い・因幡の白兎。
「百人の縁を結び、徳を積んでください。さすればあなたは自由の身となるでしょう」
しかし神社に相談に来るのは……女の子同士の恋愛模様ばかり!?
「女の子同士とはいえ、縁を結べば自由が近づく! お前たちの願い、叶えさせてもらうぞ!」
面食らいながらもミズチは、百合カップルたちの恋を成就させる“百合縁結び”に奮闘することに!
オムニバス形式和風百合ファンタジー開幕!折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2026-02-22 18:13:18
76095文字
会話率:41%
虐げられて育った晴は、霊力のある瑞守家の血を引く者として、龍神様の生け贄にされてしまう。
ところが、千年以上生きているはずの龍神様の姿は、どこかあどけない少年のような雰囲気で……
「はるは、このまま浮き世に帰るといい。きっと、人間達に言われ
て無理矢理連れてこられたんでしょう?家で親兄弟や、好きな人が待っているんじゃないの?」
……って、ええ!?なんか追い返されてしまった……?
あなたに食べてもらえないと、村を救えないのですが!?
ピュアで可愛い龍神様と生け贄の少女の異類婚姻譚です。
なかなか食べてくれない龍神様と、村を守るために食べられたい少女の攻防と、心の交流のお話です。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2026-02-20 12:12:41
36270文字
会話率:30%
神官の名家に生まれた八重。
ある日、国を救った英雄――幼馴染が、報酬として八重を嫁に要求してきた。
「ゆ、唯一の友達だったじゃないか! 対等だと思っていたのは私だけかよ、チクショウ!」
怒り心頭の八重は、持てる手すべてを使って幼馴染からの逃
亡を図る。
逃げる神官と追う英雄。
目的のためなら手段を選ばない二人が、全力ですれ違う。
9話完結です。18:30と21:30に投稿します。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2026-02-19 21:30:00
34760文字
会話率:38%
明治、横濱。
没落士族の娘・天は、極道の愛人として孕んだことで命を狙われる。
逃げ込んだ先は、鬼が営む幽世の遊郭「華屋」。
「母となるお主に、妖たちへ人との交わりを教えてほしい」
種の存続のため、人との子を作りたい妖たち。
だが性交で繁
殖しない彼らには、手ほどきが必要で――
元退魔師の遊女が、不器用な妖たちに性技を教える、
ちょっと艶めかしくて笑える、異類性技教育譚。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2026-02-08 19:10:00
100043文字
会話率:45%