その世界に、本当の「空」はない。
分厚い岩盤に閉ざされた地底世界(アンダーワールド)。人々は天井に張り付いた古代の遺物、「偽りの太陽」の下で息を潜めて暮らしている。
文明の光が届かぬ森の奥で、猟師の両親と共に暮らす猫族の少女、ルナ。
右は白、左は黒の耳を持つ彼女は、五歳にして類稀なる才能を持っていた。
それは、獲物の気配を絶つ「忍び」の足音と、生きたまま獲物を解体する「無垢な残虐性」。
「パパ殿、ママ殿。これ、あったかいぬ」
溢れる血に頬を染め、臓物の温かさに陶酔する愛らしい怪物。
これは、やがて王国の闇を駆ける伝説の「影」となる少女が、まだ何者でもなかった頃の物語。
血と鉄の匂いが充満する地下世界で、幼き猫の修羅の道が幕を開ける。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2026-02-11 00:00:00
56517文字
会話率:26%