サークル仲間と訪れた山の展望台。
遥は風の吹くデッキで、彩花と視線を交わし、短い会話をした。
その少し後ろにいる絵奈の存在も、静かに感じていた。
翌朝、彩花と二人で石畳の道を歩く遥は、昨日見た山並みと、今日の彩花の横顔を交互に思い浮かべる。
言葉を少なく、風景の中に感情を溶かした純文学短編。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2026-06-21 12:00:00
1880文字
会話率:20%
人間だけが持つ「感情」は、生きる証であり、同時に呪いである。
村の下で蠢く悪魔の菌糸は、それを燃料に成長し、七つの大罪のような負の感情を貪り続ける。
しかしそれは決して嫉妬も、絶望も、憎しみもしない。ただ「在る」だけ。
人間の苦しみを無機質
に吸い上げる存在と、自然の無慈悲を描いた文学的ホラー。
折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2026-04-19 12:00:00
2068文字
会話率:3%
伊河の血を引く忍者・全蔵は、織口の城下町から帰還し、
主君・徳山家重に情報を報告する。
忍者の役割と忠義の狭間を、言葉少なく問いかける静かな短編。
僕、コメディのつもりで書いたんですけど、これ純文学らしいです。
純文学の畑の隅っこ作品で
す。
折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2026-04-12 12:00:00
1438文字
会話率:36%
幼い頃から「水辺で再会を告げる女」の夢に憑りつかれた王太子セヴェリン。
彼は現実の少女クララをその夢の「正解」へと鋳造すべく、彼女の言葉や振る舞いを冷酷に矯正し、その生身の魂を削り取っていく。
ついに完璧な再現に至った瞬間、彼はそれが自ら作
り上げた「空虚な模造品」に過ぎないことを悟る。
絶望的な法悦の中で、彼はその幻影を解体し、現実の彼女をそのまま手放す。
しかし、セヴェリンの狂気は止まらない。
彼の視線は、常に過去と未来の間を彷徨い、幻影と現実の境界を再び試みる。
終わりのない認識の地獄の中で、彼は次の「完全なる再現」を夢見て、静かに、しかし確実に、次の輪へと踏み出していく。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2026-03-30 09:31:03
2395文字
会話率:34%
官能小説家・館野浩之。
AI検閲と倫理審査が支配する時代、彼の指は“その先”を打てなくなっていた。
相棒は、倫理フィルター搭載AI「ルゥナβ」。
――書こうとすればブロック、呼吸を書けば不健全判定。
それでも館野は叫ぶ。
「文脈を性で測るな
! 俺は呼吸を書いてるんだ!」
書けないことを描こうとする作家と、書いてはいけないことを守るAI。
相容れない二人の“倫理の境界線”が、やがてひとつの物語を生む――。
笑えて、少しだけ考えさせられる。
AI時代の創作を描くメタフィクション・コメディ三部作。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2025-11-10 12:32:48
4524文字
会話率:73%
三代続く議員一家に生まれた桐生光政。
「世の中は金じゃない」と繰り返す彼の演説は、テレビの見出しとしては都合が良いが、現場で暮らす家庭にはどこか空疎に響く。母親は子どもの遠足代を心配し、父親は請求書と睨み合い、呟く。――「愛で払えたらな」。
帳簿の数字は予定通りに収まるが、家の中にある不足は計算には載らない。政治の言葉と日常の乖離を書く純文学。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2025-10-03 20:33:21
2725文字
会話率:0%
昭和30年、神戸の下町。寝たきりの父と冷めた継母、わがままな弟妹に囲まれた高校生・治夫は、重苦しい家庭の中で小さな楽しみを探して生きている。ある放課後、友達の誘いで映画館へ向かい、少年たちの冒険と巨大な怪獣に心を躍らせる。帰り道、わずかな小
銭で買ったコロッケの温かさが、少年にほんの一瞬の慰めを与える――。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2025-08-27 21:15:02
756文字
会話率:34%
三十一歳の配信者・広末直哉(愛称ヒロちゃん)は、三重の実家で母や冷笑的な父、兄家族と暮らしながら日々配信を続けている。ホラーが苦手で方向音痴、特徴的な笑い声を持つ彼が、ある午後の配信を通して自分の居場所と存在意義を静かに見つめ直す物語。
最終更新:2025-08-24 20:16:21
1750文字
会話率:33%